三人の女子高生が泣き出すのに出くわした
学校から帰る途中、ボクは紅葉が舞い落ちる公園の中を。腕を組んで歩いている三人の女子高生を見かけた。
彼女らを見ていると、一人の綺麗さを残りの二人が引き立て、一人の可愛さを二人が引き立てて、一人の淑やかさを二人が引き立てている。
まるで映画やドラマのワンシーンのようだと思ってしまった。
ボクがそんな彼女らに見蕩れていると、突然一人が泣き出し、続けて他の二人も泣き出してしまった。
素敵な彼女達に一体何が起こったのかと思い、ボクは木の陰に隠れてこっそりと聞き耳を立てる事にした。
「…それ…ね、……あいつ………浮気を………………」
「…ひど…、あんなやつ……本気で………最悪………」
「…わたくし……、信じ………弄んだ……」
かすかに聞こえる言葉を繋げてみると、彼氏に浮気をされて泣いてしまい、それに同情して残りの二人も泣いているんだと思った。
あんなに素敵な彼女がいるのに浮気をするなんて、ボクにはとても信じられない。
一体どんな男がそんな酷い事をしたんだ?
ボクはその男に対し、殺意に近い怒りを覚えたが、拳を握り、落ち着くように深呼吸をして、より詳しい事を知るために彼女達に近づいた。
「「「キャハハハハ」」」
え? 笑っている? 何故? 傷心を抱いてるんじゃないのか?
「ところで、あいつの事いつ振ろうか迷ってるんだけど? 次のプレゼント貰ったら捨てようかな?」
「それより、ヤクザとかに売れば金になるんじゃない?」
「むしろ、漁船に乗せて、突き落としてしまうのはどうかしら??」
さっきのはもしかしてこんな会話だったのか?
「それでね、バカなあいつは浮気をしてるのに気づかないの」
「ひどい馬鹿、あんなやつと本気で付き合うなんて最悪よね」
「わたくしは、信じてたわよ、弄んだだけだって」
だとすると、あれは泣き笑い?
素敵な彼女たちの本性は、醜かったのか?
笑い声を上げる素敵で醜い彼女たちを、ボクは呆然と見送った。