フリーゲージトレインが開発停滞!そもそもフリーゲージトレインって何なの? | スジックスの地方創生ブログ

スジックスの地方創生ブログ

鉄道と歴史が好きです!
最近は地方創生にハマってきてます!
※広告は当ブログとは一切関係ありません。

フリーゲージトレイン(FGT)の開発が行われています。一般の方にはあまり知られていませんが新幹線と在来線では線路の幅が異なります。新幹線の線路を敷設するには時間がかかるので暫定措置として新幹線とは線路の幅が異なる在来線に新幹線の車両を乗入れるために開発が進められています。

現在フリーゲージトレイン(FGT)の導入が予定されているのは北陸新幹線(敦賀以西)と、九州新幹線長崎ルートです。ですがフリーゲージトレインの開発に深刻な不具合が去年見つかって詳しい原因が未だに不明だというのです。

フリーゲージトレイン、実用化に暗雲 不具合で試験中断
http://www.asahi.com/articles/ASH6M35NFH6MUTIL004.html?iref=com_alist_6_02

〈前略〉現行のFGT試験車は鉄道・運輸機構が2014年春に完成させ、昨年10月、車輪間隔を変えて直通走行を繰り返す耐久試験を熊本県などで始めた。60万キロ走行の目標に向けて3万3千キロを走った約1カ月後、台車の車輪近くの樹脂製部品32カ所のうち10カ所が欠け、4カ所にひびが生じた。

 詳しい原因は不明で、機構広報課の安部徹英さんは「FGT特有の構造を持つ台車の不具合なので慎重に調べている」と説明する。JRの新幹線技術者の一人は「車輪幅が変わるFGTだと故障が脱線に直結する恐れがあり、深刻な不具合」と指摘する。


フリーゲージトレイン(北陸仕様)の開発には少なくともあと10年かかると言われています(参考リンク:JR西「フリーゲージトレイン開発間に合わない」 北陸新幹線の開業前倒しで)現在導入が予定されている線区では工事が進められております。工事の完成までに開発が間に合うのか・・・

導入予定線区は九州新幹線(新鳥栖駅・~武雄温泉駅)と北陸新幹線(敦賀駅~新大阪駅)です。北陸新幹線の場合は在来線特急で敦賀駅~大阪駅が1時間20分程度。金沢~敦賀はフル規格新幹線なら45分~50分で結ばれると思います。

北陸新幹線にFGTを導入すると?


現状の最速列車が金沢~大阪を2時間30分程度。FGT導入でそれがおよそ40分ほど縮まって、1時間50分程度で大阪まで到達できるようになると思われます。しかし上記のようにFGTの開発は暗礁に乗り上げてしまっています・・・。

金沢~大阪は約250km(湖西線経由)なので、これは東京からだと浜松や福島と同じくらいですね。そうすると仮に全線フル規格新幹線で整備すると、75分~90分程度の所要時間でしょうか。(参考:東京~浜松は最速76分、東京~福島は最速82分)

FGT1時間50分とフル規格1時間15分では全然違いますね!北陸新幹線の全線開通で、金沢回りでも東京~新大阪は3時間台で結ばれることになります!しかし敦賀~新大阪は着工許可どころかルートすら決まっていないので、敦賀~大阪のFGT導入は暫定措置ということになります。

JR西日本『フリーゲージトレイン』
http://www.westjr.co.jp/company/action/technology/movie/fgt.html

こちらの動画を見てみるとJR西日本が考える敦賀~大阪のルートは琵琶湖西岸(湖西ルート)のように見えますね。動画冒頭でも『1日も早いフル規格での整備が望まれる』という表現が使われており、膠着しているルート選定にJRが業を煮やしてFGT導入を決定したと見るべきでしょうか。

長崎ルートにFGTを導入すると?

結論から言うとこれはもう目を覆いたくなるような惨状と言ってもいい。FGTはあくまでも暫定措置という位置づけでこちらも一刻も早いフル規格新幹線での開通が望まれます。

佐賀県『所要時間:九州新幹線』https://www.pref.saga.lg.jp/web/at-contents/kenseijoho/shinkansen/shoyoujikan0804.html
長崎~博多間108分→80分、佐賀~博多間35分→33分


時短効果が薄いのです。たったの2分...。長崎県はともかく佐賀県にこの新幹線を整備するメリットが本当にあるのでしょうか?どうしてこうなった?

FGTとは地元にのしかかる負担を軽減するための妥協の産物


簡単に言えば佐賀県が乗り気ではなかったのです。佐賀~博多は30分台と充分近いですからね。全線をフル規格新幹線にしてしまうと佐賀県の地元負担があまりにも大きいので、新鳥栖~武雄温泉は狭軌で残すことになりました。その結果歪な新幹線計画になったのです。

佐賀県の地元負担問題が解決しない限り残った狭軌区間をフル規格に格上げすることはできないでしょう。北陸新幹線のルートが決定しないのも既に東海道新幹線が通っている滋賀県の地元負担が重いために滋賀県が乗り気でないためです。


FGTを導入すれば高額な新線を建設しなくても大都市に直接乗り入れられます。しかし課題が多い技術な上、速度の低い在来線の線路を使うため車幅が狭く他の在来線列車とのダイヤの兼ね合いもあるためFGTは時短効果や輸送力が低い。フル規格新幹線に比べて効果が大きく見劣りしてしまいます。

正直地元負担の割に見返りが少ない地域(佐賀県・滋賀県など)の国の負担分をもっと多くしてフル規格新幹線での早期整備が最も望ましいでしょう。政府は何をためらう必要があるというのでしょうか?わけが分かりません。

ではでは☆