板橋区役所前にほど近い、日本一分厚い鯛焼きを売りにしている店。ちょっと前には白い鯛焼きの店があったような…そして、皮が薄い鯛焼きもその前に流行ったような…とにかく、ブレまくっている鯛焼き業界に結論を出すのか? なお、日本一といいつつ「けんぞう」は十条駅近くにもあり、食べログではそっちの店は「鯛焼き専門店 けんぞう 十条店」で登録されている。こっちもブレブレだな。

kenzo

確かに分厚い。というより不恰好なくらい分厚い。美意識ゼロ。しかし味さえ良ければ…。

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やはりこういうのは焼き立てをすぐ食べてみたくて、近くの東板橋公園へ向かう。休日なので、すぐ近くのグランドでは運動会をやっているし、公園では子供達が遊んでいる。俺、不審者っぽく片隅のベンチで腰かけて、所在なさげに食べ始める。分厚いのは生地だけだった。厚過ぎて、口の中でくっちゃりする生地。連想したのはタコ焼きだった。初めて大阪本場のタコ焼きを食った時、中、生じゃん!っていう衝撃を受けた。それまで食べてきたタコ焼きは中までしっかり火が通っていて生地は硬かった。それなのに本場であるはずの大阪のタコ焼きは中まで火が通ってなくて液体なのか、と驚かされたのだ。ところが、慣れてみるとその方が美味しく感じるから人間の味覚というのはあてにならない。果たしてこの鯛焼きも、このくっちゃりした生地が俺の舌に馴染むのか?

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一つ食べ終わって結論、やっぱり俺が好きなのは、昔から食べていた露店とかで出している重曹とほんのり塩味がするあの安っぽい感じの鯛焼きだなあ。ウチの田舎では、市が立つと露店で売っていた。鯛焼きもあったけど、多かったのは栗の形をしたのだ。新聞紙に包まれて、インクと新聞紙の独特の臭いも混ざり、焼き立てだから蒸気で蒸れて生地もクタクタ、形もボロボロ。あんこの量の調節もいいかげんだから、ところどころあんこが飛び出して焦げている。でも、それら不確定要素の全てが魅力に感じた子供の頃。

振り返ってこの生地の厚い鯛焼き。生地の厚さにあんこの量が比例して多いわけじゃない。だから、少なく感じる。かと思いきや、しっぽ側からあんこはみ出る。量の問題ではなく、成形の仕方の問題か。今回は小豆あんだけでなく、栗餡も注文した。でも、一個でほぼ満腹になるボリュームなのでとても食い切れない。半分だけ食べて、後は持ち帰った。さっきの失敗を考慮して、今度はしっぽ側から食ったけど、やっぱりあんこは少なく感じた。後はほんのり塩味があれば。それによってむしろあんこの甘さが際立って、少なく感じないかもしれない。人間の舌なんていい加減だから、錯覚を起こさせればいいんだよね。とにかくボリューム重視のこの鯛焼き、価格の140円は適正って言えば適正のもんだが、当分鯛焼きを見たくなくなるのはどうしたもんか。土産に持って行って出落ちになるネタ用品かな。

Text by 大王

けんぞうたい焼き・大判焼き / 板橋区役所前駅大山駅下板橋駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.6