かつて、喜多方ラーメンのブームがあって、その頃に関東近辺にぶわっと広がったのが坂内グループ。俺は平打ち縮れ麺が好きだが、ここのはまさにどストライクだったので、けっこう利用していた。スープが醤油でさっぱりしているのに対し、チャーシューがバラ肉脂コッテリでしかも枚数が最低5、6枚入っている絶妙の組み合わせ。若かった俺の胃袋に、濃く味付けした豚の脂がこれまたどストライク。今日は特にガッツリいきたい、という日にはここの焼き豚ラーメンをチョイスしたもんだ。しかし、ブームというものは必ず沈静化する。世間の流れに沿うように俺の中の喜多方ラーメン信仰も薄れていった。若くて脂っ気やコッテリ味を求めていた俺は、さらに個性の強い背油チャッチャとかに興味を移していって、その後さらに年齢的な問題でこってりがきつくなった。そして今、嗜好が一周回ってここに戻ってきた。

今回食べたのは、いやどうしても食べたくてわざわざ自転車を飛ばして行ったのが、この店の冷やしラーメン。若い頃は突き詰めると原理主義に陥って「ラーメンは熱い物! 冷やしなんてナンセンス。冷やしを食いたきゃ冷やし中華食う」とイキがっていたが、数年前に初めて「たまには違うもん食ってみっか」と思い立って、食ったら意外と美味しかった。今年の夏は記録的な猛暑。これは冷やしラーメン日和!と再び思い立ったので、メニューは決まった。

何故サンシャインシティまでわざわざ行ったのか? 実はモバイルクーポンで麺類全品70円引きのを見つけ、利用できる店がここくらいしかなかったから。たかが70円、されど70円。もっとも、他にも用事もあったし「たまにはサンシャインシティみたいな繁華街でも覗いてみっぺ」という物見遊山気分もあった。最初に店に着いた時には夏休みまっただ中で昼時ということもあり、店には行列ができていた。他にも、水族館に行くためのエレベーター前にも家族連れの行列。まさにかき入れ時であり、これは仕方ないのでちょっと時間を潰してから出直し、3時過ぎにもう一度入店。それでもまだ客はけっこういた。最近のラーメン屋は熱狂的なブームが落ち着くと、途端に潰れたり店舗が一気に減ることが多いけど、喜多方ラーメンはブームの後にも比較的生き残った方ではないだろうか。

bannai

冷やしメニューには2種類あり、今回頼んだのは和風冷やしラーメン750円。中華冷やしラーメンもあるが、前回食べたのは和風だったと思ったので、あくまで前回の味を踏襲したくてこっちにした。そうそう、スープに氷が浮いているんだ! 冷やし、とはいえこれは衝撃。置いておくだけでどんどん冷えていく。スープは和風の出汁が濃いめに出ていて、塩味も強い。

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麺は普通の喜多方ラーメンのものと同じだと思うが、むしろ俺はそれが良い。冷麦に近い味わいで、食べやすく、脂が浮かないようにチャーシュー5枚が別皿でついてくるのも嬉しい配慮。わさびがついているが、これは意外と合う。あっという間に平らげてしまったので、氷がまだ溶け残っていた。

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ここ1、2年ほど、比較的コンスタントに行くようになった「坂内」。「坂内」は時々創業時価格で食べさせるとか、一気に250円引きとかいう超気前の良いセールをやっているので、その時には必ず行くようになったからだ。それまでは、通勤途中とか必ず目につく場所で告知していることもなかったので、セールをやっていたのを気づかないでスルーしてしまったこともあった。しかし最近は、モバイルサイトで情報が来るようになって、しっかりチェックできるようになったからチャンスを逃すこともない。何だかステマみたいになってしまったが、喜多方ラーメンに気持ちが戻ってきたタイミングと合致して、かなりのヘビーユーザーになりつつある。どの店も昼時には小ライスと小漬物がサービスされ、さらに水曜には味玉が付く店もあって、次はそっちかな、などと企んでいるが…肝臓・腎臓やばいな。

Text by 大王

喜多方ラーメン 坂内  池袋サンシャイン店ラーメン / 東池袋駅東池袋四丁目駅向原駅
昼総合点★★★☆☆ 3.6