池袋西口界隈を徘徊していて、中途半端に腹が減った。安く腹を満たそうと物色してみたが、しっくり来る店が見当たらない。

しばらくして、この中途半端さ加減を適当に充足してくれそうな店として見つけた。いかにも安っぽい。店頭のセットメニューが安い。安いなりだろうな、とかなりハードルを低くして入店。カウンターだけの店内。水はセルフサービス。立ち食いの店に椅子を置いただけだ。そういえば、最近は純然たる立ち食い蕎麦屋って減ったと思う。最大手と思われる「富士そば」だって椅子はある。駅のホームにある面積を限られた店くらいではないだろうか。

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かき揚げ丼セット580円。かけ蕎麦がついてこの安さ。しかもかき揚げは揚げ立てだ。かき揚げ丼では某駅のホームにある駅名を冠した丼のあまりのまずさにトラウマがあるのだが、どうやらここはそのような心配はないらしい……。

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出てきたかき揚げ、何だかとっても焦げ臭い。そばはネギがまあまあ入っていて嬉しい。俺はネギが大好きなんだ。昔は立ち食い蕎麦屋にもちょくちょくネギが入った容器が卓上や丼受取場所に備えられて「ネギ入れ放題」の店があったものだが、ネギも価格が高騰したり不安定なことがあったのだろう、すっかり少数派になってしまった。しかし、俺を喜ばせてくれたのは、このネギを確認した瞬間だけだった。

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臭いの元はどうやらかき揚げ。具が玉ねぎばかりなのだが、玉ねぎに火が通り過ぎていた。所々黒くなっている。揚げ立てであることがアドバンテージだと思っていたが、揚げ場の人間の技量により、むしろ足を引っ張ってしまったようだ。いや、店のマニュアルがそのようになってしまっているのか。揚げ立てゆえに油っこさも前面に出てきてくどい。10年以上前の、胃袋に歯が生えていたような食欲の塊だった頃なら、あるいは今でも食欲が十分あったら、それなりに消化できたかもしれない。タイミングも最悪で、安っぽい雰囲気以上に安っぽい料理が出てきた。残念だ。蕎麦がどうのというよりも、玉ねぎの焦げた臭いが全てをだいなしにした。嗅覚が味覚に大きく影響することを、改めて実感した。

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落ち込んでいる所に若い学生風の客がドヤドヤと6人くらい一気に入ってきて、店内が急に狭くなった。安っぽい店にお似合いの賑やかぶり。超居辛い。安きゃ良いってもんじゃない、とまた改めて感じた。いろいろな負の要素が重なってしまい、俺は逃げ出すように店を出た。ご馳走様も言わずに。だってご馳走じゃなかったもん。

Text by 大王

いわもとQ 池袋店そば(蕎麦) / 池袋駅要町駅
夜総合点☆☆☆☆ 1.8