チェーン店で安いとんかつ屋と言えば「かつや」が有名だが、その後追いをするべく松屋グループが仕掛けたのがこの「松乃家」で、当初はかつ丼490円の「かつや」に対して500円でやっていたのと、「かつや」は割引クーポンをくれる、という理由で、ほとんど「かつや」にばかり行っていた。しかし、この日はたまたま「今すぐとんかつ食いたい」と発作的に感じたので、すぐ近くのこの店に入った。時間もランチタイムピッタリじゃなかったので、ここにしか入れなかったのも理由の一つだけど。

しかも注文したのはロースかつ定食の上。90gの並ではなく150gの上。値段も190円高い分、実際に厚い肉々しさ溢れるシロモノが登場した。相手にとって不足無し。

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松屋グループらしく、卓上には調味料が充実。大きな肉をいろいろな形で食える喜びを満喫できる。しかし…塩が無かった。揚げ立てだけができる、一口目は塩で食う食べ方がとっても楽しみだったのに。次回、ちゃんとしたよそのとんかつ屋まで楽しみは取っておくか。

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ここはソースに入れる用にゴマがミニすり鉢に入って出てくる。俺はこれも好き。知っている限りでは、新宿西口の「浜勝」(リンガーハット系のとんかつ専門店)とかで出てくるとんかつ専門店独特のサービス。これにカラシ、ソースを加えて自分なりの混合ソースを作って食べるのがたまらんのよ。レモンもしっかり絞るしね。

ゴマについて気になりだしたのは、かつて某チェーン店がソースにゴマやおろしショウガを入れて独自の味を出しているのを知った時。確かにゴマも入れていたのだが、そこは粒のまま。ゴマって香りが命だから、食べる直前に擦るのが一番だと思う。おまけに消化に悪いから、しっかり擦らなきゃいけないし、自分で納得できるまで擦れるすり鉢提供タイプは理想的。俺の中でそういう結論が出て以来、すり鉢提供店はワンランク上の店になった。とんかつの味そのものよりも評価に大きく影響する。

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たまには厚い肉でのとんかつも良いなあ。目黒の有名店「とんき」のも肉はでかかったけど、衣が薄過ぎるんだな、俺には。基本、揚げ物はしっかりした衣が好き。自分で海老フライを作る時は衣を二度づけしちゃうから。最近はすっかり揚げ物なんか自宅でやらなくなったけど。後始末が面倒だから。やっぱ揚げ物は店で食うもんだ。
一時期新宿の「豚珍館」で出す、薄い「紙かつ」にはまったことがあったし、今でも好きなんだがたまにはこういう「肉食った~」って堪能できるタイプも食っておかないといけない、と実感した。欲を言えば、もっと腹が減った時ならさらに美味しく感じたことだろう。東海林さだおの「人間ドック上がりのとんかつに生ビールが最高だ」というエッセイを読んだことがあるが、まさにその通りだ。

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こういうチェーン店も使い勝手が良いし、クオリティもかなり底上げした。最近、仕事で世話になった人に教わった、ニンニク片が入った「ニンニクかつ」なんてのも知って、例え値が張っても個性があって魅力的なとんかつはまだまだある。ちょっと揚げ物も肉の塊も食うのが辛くなってきた年齢だが、ちょっと体を鍛え直してとんかつを美味しく食える体にしたいものだ。って、そんな理由で体鍛えるんかい。

Text by 大王

松乃家 本蓮沼店とんかつ / 本蓮沼駅板橋本町駅志村坂上駅
夜総合点★★☆☆☆ 2.3