小説家になりたい今日この頃

小説家になりたい今日この頃

小説とかかいてみてます。※『小説家になろう』というサイトにも掲載しています。

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こんにちは、真羅です!



投稿欄見てみたらもう2ヶ月ぐらい経ってますね(笑)

やっと大学の生活に慣れてきたので、続き書こうかな……と思って舞い戻ってきました!

相変わらずぼっちです!でも元気です!


いつになるかは分かりませんが、これからも宜しくお願いします!!

勢いで承諾してしまったけれど、後になって、やっぱりやめておけばよかったと後悔した。

どこに家があるかはわかる。問題はそこじゃなくて、特に罰を与えられたわけでもないのに、昨日一日学校を休んだという状況が、昔の栞からしてみるとちょっと、いやだいぶ違和感を覚えたからだ。

彼女にとってそんなにショックなことだったのだろうか。浅井との喧嘩は。

そんなことを考えて、こうして栞の家の前まで来て怖気づいているのだが。我ながらかっこわるい。

栞の家は今現在の僕の家とは少し離れているが、昔はお隣さんだった。今はもちろん違う人が住んでいる。

『松井』の表札の下にある、インターホンに手を伸ばす。しかしやっぱり決心がつかない。どうしよう、すごい怖い。

何が怖いのだろう。栞が昔と変わってしまっていることだろうか。わからない。

ぐだぐだと押せないでいると、突然足元に何かがふわっと触れた。

「うおあっ!?」

すごい吃驚した。僕はビビリなんだ。脅かすな。僕の声とほぼ同時に

ピンポーン・・・

「あ!・・・押しちゃったし・・・。」

驚いた拍子にチャイムを鳴らしてしまっていた。とりあえず足元を確認するが、何もない。慌てて周りを見回すと、遠くで黒くて小さい何かが、こちらを見ていた。あれは・・・?

「猫・・・?」

目が合った瞬間その黒い物体はフッと民家の影に消えてしまった。あの時僕の足に触れたのは、あの黒い・・・おそらく猫だったのだろうか。

『あの・・・どちら様でしょうか?』

突然インターホンから声が聞こえた。またしても僕は驚いて

「おあ!??」

変な声を出してしまった。

『あれ・・・?その声はもしかして、陽斗?』

「今の声で分かったのか!?僕普段あんな声じゃないと思うけど。」

『やっぱり陽斗なんだねー!あれ、でも今日はどうしたの?何か用?』

「あ、ああ。そのー・・・昨日休んだろ?それで、先生にプリント持って行ってくれって言われてさぁ。」

これは嘘ではない。昨日、美術室からの帰り、行きは迷わなかったのになぜか帰り、学校内で迷ってしまっていたところを担任に捕獲され、五組の担任のところに連れて行かれたのだ。普通同じクラスの人に頼むことだと思ったのだが、何故か僕のところに回ってきた。家が近いから、だそうだ。

『あー・・・そうなの。ごめんねわざわざ。』

「いや、別に大したことじゃないし。実際のところ、家近いしな。」

『うん。ありがとう。プリントは、ポストに入れといてもらえる?あとで取りに行くよ。』

「え?出てこれないのか?」

それはちょっと困るのだが、別に顔を見てはなさなければいけないというわけではないだろうが、でも大事なことだしちゃんと伝えたい。

『えーっと・・・。その、け、化粧してないからさ!』

「もともとしてないだろ。」

『うんと・・・風邪!風邪気味だし!』

「すげぇ元気じゃん。」

『ふ、服装が・・・。』

「今更気にしないだろ、そんなの・・・。」

やっぱり、何かおかしい。どうしてかたくなに出てこようとしないのだろうか。

「・・・何か、おかしいぞお前。」

『そんなこと、ないよ。いつも通りだよ。あたし。』

「そうか?」

『そうだよ。』

「・・・わかった。じゃあ、ポストに入れとく。」

『うん。ありがとうね、陽斗。じゃあね。』

「あ、ちょっと待った。まだ用はあるんだ。」

『ん?何?』

「伝言があるんだ。浅井から。」

『え・・・?』

「昨日の騒ぎって、お前と浅井が原因だったんだろ?浅いから聞いた。それで、浅井がお前に、また学校に来て欲しいって、また仲良くしようって、それを伝えてくれって頼まれたんだ。」

『・・・。』

「手紙も預かってきたから、一緒に入れとくな。」

『・・・。』

「・・・栞?聞いてるのか?」

浅井の名前が出てから、栞はずっと黙ったままだった。不自然な沈黙に僕は違和感を感じた。

「栞?」

『やだ・・・そんな・・・。』

「・・・栞?何だって?」

ブツっ。と、そこで切れてしまった。

「え?おい、栞?栞!!」

何度か呼んでみるが、もうまったく反応なしだった。ここからなら、家の中まで聞こえているはずだが。

「・・・とりあえず、ポストに入れて帰るか。」

あきらめの早い僕は本当にさっさと帰ろうとした。だがそこで背後から声がした。

「ウチに、何か御用かしら?」

「え!?あ、いやその・・・。」

驚いて振り返った僕の目の前には見たことのある女性が立っていた。

「あ・・・。」

ちょっと考えてみれば当たり前のことだが、そこに立っていたのは

「・・・あら?もしかして、もしかすると陽斗ちゃんじゃない!久しぶりねぇ!!」

栞の母、寛子おばさんだった。

「まず、私と栞ちゃんが出会ったのは、一年の時よ。同じクラスだったの。そして私も栞ちゃんも、あと佐伯くんもだけれど、クラス委員だったの。あぁ、クラス委員は各クラスに二人ずついるのよ。・・・知らなかったの?」

「・・・はい。」

あまりにも佐伯が目立ちすぎてもうひとりのクラス委員が誰なのかわからない。

「それ大丈夫なの?・・・まぁいいや。とりあえず、私と栞ちゃんは、すぐに打ち解けたわ。すごく、楽しかった。でもね、私、親から色々と期待されていてね。習い事やら塾やらで忙しいのよ。委員の仕事はやりがいがあって楽しかったけど、習い事の方も忙しかったの。だから、悩んでたの。委員やめようかなって。」

そこで少し微笑みながら、続ける。

「でもね、栞ちゃんが、忙しい時には、私がやっておくから・・・。委員を続けて欲しいって、言ってくれたの。すごく嬉しかったわ。そうして、私はなんとか委員を続けていられた。ほんとに栞ちゃんには感謝しているのよ。二年になって、また同じクラスになって、また一緒にクラス委員ができるって思って、嬉しかった。でもね・・・。」

一転して、困ったような顔をする。

「栞ちゃんは、入らないって言ったの。もうクラス委員はやらないって。」

「それは・・・どうして?」

「私も、その時問い詰めたのだけど、教えてくれなくて・・・。私、納得できなかったから、昨日・・・また聞いたの。」

「・・・。」

「そしたら、何故か怒っちゃって。暴れだして・・・。」

「なんでそんな・・・。」

正直、信じられない話だ。僕の知っている栞は、確かにやんちゃではあるけれど、その程度のことで、怒るなんて。

浅井明菜が、保身のために嘘を付いている。なんて可能性だって、0じゃないのだ。

「・・・栞ちゃんはね、もう、私のいいなりになるのは嫌だって言ったの、私、そんなつもりなかったのに・・・!」

浅井は辛そうな顔をして、僕の方を見る。

「そこでね、野村くん。頼みたいことがあるのよ。」

「それは、僕へのもうひとつの用事・・・ですか?」

「そうよ。栞ちゃんの家がどこにあるかは、知っているわよね?」

「はぁ・・・知ってるけど。」

「これを、届けて欲しいの。」

そいうと、僕の下駄箱に入っていたものと同じ封筒を取り出し、僕に渡した。

「・・・手紙?」

「ええ。そうよ。仲直りしたいって・・・そういう内容。」

「でも、それなら自分で届けたほうがいいんじゃないの?大事なことなんだし。」

「・・・私、知らないのよ。家、どこにあるか。住所なんて、今時先生に聞いたって教えてくれないのよ。」

「そう・・・。」

「あと、伝えて欲しいの。言葉で。もう一度、学校に来て欲しいって。また仲良くしようって。」

「そんな、ずっとこないわけじゃないでしょう。」

「わからないじゃない!今回のことで、私は栞ちゃんを深く傷つけてしまったかもしれないし・・・。」

あまりにも真剣で、僕はいつしか、この浅井明菜という生徒に感心してしまっていた。嘘を言っているかもしれないなんて、失礼な考えだったと、思うようになっていた。

「大丈夫でしょう、きっと。あいつ、栞は神経太いし。それに栞なら、きっとわかってるよ。君の想いも。」

思わず僕は、励ますようにそんなことをいっていた。すると、浅井は微笑み

「・・・そうかな。ありがとう。そう言ってもらえると、嬉しい。」

「い、いや・・・。」

思わずちょっとドキドキしてしまった。

「じゃあ、お願いできるかな。伝言と、手紙。」

「うん・・・。わかった。明日はちょうど土曜日だし、明日持っていくよ。」

「ありがとう。・・・君の言うことならきっと、栞ちゃんも聞いてくれる。」

「え?・・・それってどういう・・・?」

「じゃあ、よろしくね。」

ニコッと笑うと浅井は僕を置いてさっさと帰ってしまった。