禍福人生 奮闘日記 『快晴の夜明け』

 

病室から投稿している。梅雨の真っ盛りなのに雨が降らない。澄み切った月夜、日本晴れの夜明け、うつ伏せ寝で腰が痛いが、松山地方は空気乾燥注意報が出るほど、本当に爽やかな夜明けである。平年降雨量の半分以下である。子供のころより私の誕生日(63日)のこの時期はうっとうしい季節であった。

 

この時期、農家は麦刈り・菜種油収穫・レンゲソウのサイロ詰め・薩摩芋植え・田植えと忙しく、私の誕生日はいつも忘れられていた。当時は農作業の機械化が普及する前で農家の人たちは朝から晩まで働いていた。母が気付いた時が私の誕生日だった。柴餅かぼた餅(おはぎ)での誕生祝だった。お菓子のない時代の農家では柴餅かぼた餅は子供にとって天にも昇るほどの嬉しさだった。通訳がいるほどの宇和弁(なまり)の地域だった。明るい農村だった。NHK朝ドラ「ひよっこ」の北茨木の方言が残るあさ子の実家の光景と重なる。あれから60年、喧噪な街の暮らしに慣れ、うっとうしい梅雨時のあの暮らしは記憶の中だけの光景になってしまった。