ようやくつゆがあけてちょっと先週末海へ出かけたら凄い数のパラソルが・・・。

やはり夏は海へ行きたくなるのは万人共通の気持ちらしい。


我々はBBQをしていたのでさして食べ物に困ることは無かったが海といえば海の家。

何故か、ビーチで食べるお好み焼きや焼きそばは異常に美味しく感じる。たとえそれが美味しくなくても・・。


そんな海の家、実際儲かってんの?とよく思っていたのだがここに本当に海の家をやっておられる方のインタビューを見つけたので記載したい。


出所:MSN


http://special.msn.co.jp/2006/07/02/d_1.html

夏の風物詩のひとつともいえる海の家。海水浴場で利用してるものの、実際のところどうやって開業・運営するのか、どのくらい儲かっているのかなど疑問はいっぱい。
そこで22年間、兵庫県・須磨海水浴場で海の家を経営している荒木裕貴さん(64才)と、娘であり現在店長を務める久米彩実さん(31才)に「海の家の事情」をうかがいました。

◆海の家のお値段はいくら?

Q: まず、海の家を取得されたきっかけと購入金額を教えていただけますか
荒木さん:私が海の家を始めたきっかけは新聞広告から。「海の家を譲ります」という広告が掲載されていたんです。とはいっても皆さんご存じの通り、海岸というのは国有地なので、当然「土地」を所有したり、勝手に売買することはできません。つまり取得したのは「海の家を営業する権利」です。金額的には、立地や大きさによって大きく違いますが、2~300万から5,000万円を超える店舗もあるようです。

Q: 取得にあたっての条件というのはあったのでしょうか?
荒木さん:取得というか営業するにあたっての条件はきちんとあります。私が海の家を営業している須磨海水浴場は、国から任されている形で神戸市が管理しています。我々オーナーは全員、毎年神戸市に「占用許可申請書」を出し、決められた規定を守ることを条件に営業許可をもらってるんです。

たとえば須磨海岸の場合、営業期間は海水浴シーズンの7月から8月までの2カ月間。6月10日から6月30日までの20日間で建設工事をして、8月末で営業終了。そしてその後は9月10日までに解体工事を行い、現状に戻すという規定が定められています。だから私たちは建築と解体を毎年繰り返しているわけです。

海の家を建設できる区域や、1軒1軒ごとの敷地スペースもはっきり決まってます。それぞれの自治体によって規定の内容は違うでしょうが、海の家は「臨時休憩所」として営業を許可されているものですから、勝手に業態変更することはできませんね。

Q:ではライブハウス風の海の家にしたり、雑貨を販売することも難しいのでしょうか。
彩実さん:湘南海岸などでは、ライブハウス風なイベントで盛り上がることもできると聞いていますよ。一方、須磨海岸は住宅地と海岸が隣接しており、「クロンボ」の近くには多くの人が住んでいます。近隣に迷惑をかけないため、原則として「騒音を立てたり、深夜の花火をしない」などのルールがあります。よって、大音量を発するライブなどのイベントをすることは難しいんですよ。その分、お客さんにはスタッフと一緒にバーベキューをしたり、記念撮影をしたりして、「クロンボ」のアットホームな雰囲気を楽しんでいただいています。また、物販については、その店オリジナルの商品(Tシャツやアクセサリーなど)の販売をすることもありますよ。

しかし一番気になるのは、海の家が商売としてどのくらい魅力があるかということ。次に営業期間中の売り上げや、商品単価の決め方などをお聞きしました。




◆売り上げはすべて立地と天気で決まる?

Q:例年、海の家の売り上げはどのくらいあるのでしょうか?
荒木さん:売り上げは2カ月間で数百万円の店もあれば、2~3千万円の店もあり、店によって大きく異なります。その差は、各店のオリジナリティーや雰囲気もありますが、駅や駐車場から近いという立地条件も大きく影響しています。また、気象条件によって売り上げが左右されるといったところも、海の家経営の厳しいところです。

彩実さん:売り上げ比率でいえば、7月対8月で4:6の割合。私たちの店の場合だと1日20~30人のくらいのペースから徐々に入客数が上がっていって、8月の第一日曜で例年ピークを迎えます。この日は売り場に行列ができるほどなので、スタッフも20人くらいいないと回せない状態です。1日で1000人を超えるお客さんが来てくれますから、ホントに目の回る忙しさですよ。

Q:オフシーズンはどのように過ごされているのですか?
彩実さん:父は本業が建設業ですから、夏以外は本業に専念しています(笑)。他のオーナーも漁師の家族が運営していたり、飲食店経営者やTV局関連会社だったりとまちまちです。ただ初期投資にまとまった資金が必要ですから、学生さんがいきなりオーナーになるのはちょっと大変かもしれませんね。


◆海の家の食べ物には価格のルールがある!?

Q:商品の価格はどうやって決めているのですか?
彩実さん:ビール、おでん、かき氷などいわゆる「海の家の人気商品」は、ある程度決まった価格設定があるんです。それは自治体が決めているわけではなく、海の家のオーナーが属する組合ごとに決めている「決まりごと」です。うちの場合、ビールは500mlで500円、食べ物は600円くらいで販売しています。原価率は平均すると20%くらいでしょうか。かき氷は氷とシロップだけなので10%程度ですし、レトルトでしたら原価もそう安くはないので30%くらいになります。粗利益率としては悪くないでしょうが、スキー場などと比べたら比較的良心的?じゃないかなと思っています。

ちなみに食材、飲料、氷,などはそれぞれ組合で付き合いのある納入業者からまとめて仕入れています。また、当店では「ラーメン」の麺は神戸の人気店舗へ卸している麺を使用するなど、独自で買ってくる食材もあります。


立地条件を見極める目や資金さえあれば成功する可能性も高い(?)海の家。しかし多くの店が立ち並ぶ中、どうやってお客さんを呼び込んでいるのでしょうか。その点を詳しくうかがってみると…。

◆海水浴場ごとに違う?「呼び込み」のルール

Q:お客さんの「呼び込み」は、どのようにされているのですか?
彩実さん:私たちの店では、入り口の前に今まで来ていただいたお客さまの写真を飾ったり、スタッフやよく来ていただいているお客さまの名前を覚えたりして、「クロンボ」ファンのリピータを増やす努力をしています。

また店の前を通るお客さまだけに声をかけられるという、組合内の「決まりごと」もあるんです。ほかには、お客さまが隣同士の店で迷われているようだったら、スタッフでじゃんけんして決めるなど、お客さまに楽しんでいただけるよう配慮もしています。だから店同士でお客さまを奪い合うといった光景は見られませんね。シーズンが終わればお店同士でサッカー大会をやったりや遊びに行ったりすることもあるので、「ライバル」というよりは「仲間」という感覚です。

Q: 海の家によって、呼び込み方に違いは、あるのですか?
彩実さん: 呼び込み方は店というより地域ごとで違いがあると思います。前に湘南にある海水浴場に行った時に私が驚いたのは、スタッフが店の遠くにいるお客さんを呼び込んでいたこと。というのは、須磨海水浴場の場合だと「呼び込み」というよりは、須磨海岸に来ていただいたお客さまに気持ちよく挨拶するといった感じですね。店の内装が個性的な作りであったり、その店独自のフードメニューがあったり、海の家ごとに特徴があるので、それをお客さまに分かりやすくお伝えする工夫も必要だなと思います。

◆毎年来てくれるお客さんやスタッフがいる喜び

Q:最後に、海の家を営業していて一番うれしいことは何でしょう?
彩実さん:短い営業期間ですが、毎週通ってくれたり、毎年来てくださる常連さんがいることが一番うれしいですね。学生のアルバイトの子が、1年生のときに海の家のアルバイトを始めて、4年生になるまで毎年手伝ってくれ、その後もずっと店を慕ってくれるのはうれしいですね。営業が終わったらみんなで旅行に出かけるなど、本当に仲良くお付き合いさせてもらっています。一度「クロンボ」でアルバイトを経験したスタッフの中には、学校を卒業しても、結婚をしても、毎年顔を出して手伝ってくれる人もいます。1984年の「クロンボ」開店以来、多くのスタッフが旅立ちましたが、一緒に仕事をしたスタッフは、今でも私たちのかけがいのない仲間です。