第31話 「未来」 | ばーす屋旅館 in Blog

第31話 「未来」

pop   第31話 「未来」


いつの頃の話かわかりませんが、

そんな夢を、見てみました、、、



「いいよ、『ふじ』で行っても、、」
「ほんとっすか?」
「新幹線が工事で運休なんだから、しょうがないだろ。」


ビンボたれなウチの会社の中で「リニア」を出張に使えるのは
エグゼクティブ、つまりは社長他役員のみ。


ペーペーの我々は旧態依然とした新幹線を使わされる。
待遇の差なのだから、これはしょうがない。


はるか昭和の時代より延々と走り続けてきた東海道新幹線に
いよいよガタがきた。
構造物の老朽化が主な原因であり、全面的に補強ないしは
再工事が必要となった。


当局は約半年間の東海道新幹線の全面運休を決定した。
短期間の突貫工事ではあるが、補強が主になるので何とか
なるそうである。


世界の「シンカンセン」も寄る年波には勝てなかったのだった。



先年、「中央リニア」が開業した。

リニアが開通していたことで、東海道新幹線の大改修工事が
可能になったとも言える。


もし仮にリニアの開業前であれば、当局が「大動脈の手術」
という英断は下さなかったであろう。


先に全通していた北陸新幹線の輸送力のみでは、東海道の
旺盛な需要に全く応え切れなかった。


北陸新幹線はベースが8両編成。

東海道の2倍の密度で走らせることなど当然ながら不可能。

何せ車両が足らないので、いかんともしがたい。


開業当初は安全上の問題等から東京-大阪間を1時間30分
要していたが、昨年より「夢の1時間」運転が始まった。


この1時間運転が始まったことで、航空業界は深刻な打撃を
受けることとなった。

東京-大阪間は往時の4分の1にまで減便された。


東京駅、名古屋駅、新大阪駅の真下に各ターミナルがあり、
至便なことこの上ない。
既に東京-大阪間の鉄道シェアは95%を超えたそうな。


打撃はそれだけに留まらなかった。
新大阪で山陽新幹線に乗り継げば、岡山までが1時間45分、
広島でさえ2時間30分。


山陽路ではかの「蒼きロケット」500系をがちょんがちょーんと

8両編成に組み替えなおして生まれた夢の列車。

最高時速300キロの各駅停車こと「こだまレールロケット」が

好評を博している。


南からやって来る九州新幹線の「紅きロケット」こと「つばめ」と

ともにヘタな「のぞみ」より指定が取りにくいらしいと聞く。


山陽新幹線の大攻勢で結果的に各空港への減便も相次いだ。




リニアの列車名は速達の「ひかり」タイプが「ふじ」
各駅に停車する「こだま」タイプが「さくら」


「富士」と「さくら」という伝統名の復活意見は多かった。
現に愛称の公募結果も圧倒的な1位は「富士」だった。


ただ、毎度毎度の繰り返し。
当局の当初発表では「いなずま」と「いかづち」。
「雷」と「電」の組み合わせである。

いかにも磁力で走行する列車っぽい。


昭和、平成と「名付けベタ」と酷評されたJ各社だが、新世代に
入ってもそのヘタクソ加減は変わらない。
しかもお得意の公募結果無視、、


「雷電」ってば、江戸時代の相撲取りでなかったっけ?
でも、「富士桜」も昭和時代の人気力士の名だよな、、、


富士桜と麒麟児の突っ張りあい、激しくて好きだった、、、


さておき、愛称決定に係る異論の陳情は連日J社に相次ぎ、
挙句、国会議論の場にまでお世話になる始末。


『リニアは日本が威信を掛けた国家プロジェクトである。
 よって国民の総意を素直に愛称にすべきである、、、、、』


小錦や魁皇なみに腰の重い政府は、珍しく迅速な議論を行い、
晴れて「ふじ」、「さくら」という愛称の決定となった。



ありがたいことに、出張でリニアの初乗りと相成った。
開業以来、乗りたくてたまらなかったのである。


だが、新幹線の倍近い料金ながら滅多に空席のないプラチナ
チケットの入手が困難で断念していた。


今回は費用も入手も会社持ち。
こんなにメデタイ話はない。



出張当日、朝。
自宅より東京駅に向かう。


奇怪な運行体系を誇る首都圏の各路線。
平成の頃より始まった各路線のスルー運転はやったモン勝ち
というレベルにまで複雑化してきた。


昨年、JRの「常磐品川ライン」が開業。
常磐線の土浦、柏、我孫子あたりから小田原、熱海まで直通の
快速運行が始まった。


「りんかい線」はテレポート駅から分岐し浜川崎を経て桜木町
から根岸線に乗り入れを始めている。


私鉄では相模鉄道が東急線を経由して念願の渋谷入り。
東京メトロ副都心線は東武、西武、東急、相鉄が入り乱れ、
ホームで待っていると車両の見本市のような状況である。


尚、「常磐品川ライン」に対抗すべく、「つくばエクスプレス」も
一昨年に秋葉原-東京間が開通。
物議を醸しながらも東京乗り入れの悲願を果たしている。



あぁっ、もういったい何が何だか手前どもにはっ、、((((^-^;))))



関東に住めばわかるが、いつも利用する路線と電車、時刻が
決まっていれば特に迷うことはない。

しかも、首都圏ではたいていのエリアの駅周辺に住んでいれば
最寄駅から東京か新宿に直行できてしまう。
迷うことなんぞ全くないのだった。



リニアの東京駅は、深いし不快と言われた京葉線ホームの
更に下に造られた。
そろそろマグマでも噴き出さないかと思う程の深度である。


リニアのホームに向かうエスカレータに乗る。
現時点では世界一の長さを誇るらしい。
確かにどこまでもどこまでも地中深く潜っていく。


大容量の専用エレベーターも設置されたが、待ち時間が発生
するほどに混雑し、使う気が起きない。
ちらと見たところ、50人ばかりが列を成している。


それにしてもこのエスカレーターが長い。
開業当初、立ちくらみなどの体調不良を起こして倒れる乗客が
いたのもわからなくもない。


ホーム階まであまりに時間を要するので、エスカレーターの
高速運転も試みられた。


高速運転はかつて、大阪の近鉄難波駅で行われていた。
ただ、元々イラチで曲乗りがごとくエスカレーターを利用する
関西人に対して、関東人の歩調は余りにノロ過ぎた。


乗り口の所でマイケルウォークのようにタタラを踏む者や、
降り切れずにベタなコントのように転倒する乗客が続出し、
高速運転はやむなく中止された。


ちなみに対となる「リニア新大阪駅」では、高速エスカレーター
では全くもの足らず、先日、ついに「快速急行エスカレーター」が
登場し好評を博している。


恐るべし、関西人、、、(-_-;)


243   これは「こだま」だっちゃ、、(-_- ;)



続くよ、、d(^-^)