仁王誕生日企画に参加中 | 月夜の夢は桜の下で

月夜の夢は桜の下で

好きなことや日記、夢小説などを書いていきたいと思っています。



変わりモノ



今年もまた冬がやってきた。
息を長く吐くと、目の前が白くなる。
今年もあと一か月か、と机に頬杖を突きながら呟くと隣からククッと笑い声が聞こえる。


「なによ。」
「いや、なんも。」
「何も無いわけないじゃない。今、笑ったでしょ!」


そう言って隣の席の彼を睨みつける。
すると、さも面白そうに笑みを深める銀髪の男。


「いや・・・ただ、年よりくさいと思っとっただけじゃ。」


「気にしなさんな。」と付け加えた彼。
自分が聞いたことだけど、そう面と向かって言われるとムカツク。


「年よりくさくて悪かったですね。もう、ほっといてよね!」


そう言って反対へ顔を向けた。
窓際の席は冬になると寒いと言ってみんな嫌がるけど、私は結構好きだ。
目の前に立っている大きな木の枝は、すっかり葉っぱが落ちてしまっている。
この寂しい雰囲気が、どこか心地よいのだ。


「まだ15歳なんじゃから。」
「残念でした、私はまだ14歳ですー!」


舌をベーっと出して彼を見れば、プッと吹き出した。


「ちょ、なんで笑うのよ?」
「いや、なんでもなか。」
「じゃあなんで笑ったのよ!」
「・・・・・・ただ。」


彼は言葉を切ると急に真面目な表情をした。


「可愛い、と思ってな。」
「え?」
「中学生にもなってあっかんべーなんてする女子はレアじゃな。」


またクスリと笑ったところを見ると、からかわれたんだと理解する。
一瞬見せた真面目な表情に少し見とれてしまっていた自分に腹が立つ。


「怒らんでもええじゃろ?」


私が睨みつけると、「悪かった。」と素直に謝った。
別にそこまで怒っていたわけでもなかったから許してあげることにした。


「ま、反省してるんなら許してあげてもいいけど?」
「反省? ああ、しとるしとる。」
「本当に?」
「ほんとほんと。」


彼の口から出る言葉はどれも本心では無いような気がする。
本当だと言う時だってなんだか適当な感じだし。


「・・・もういいや。」


結局私の方がどうでも良くなって根負けしてしまった。
ため息をついて前を向こうとした私は、肩をたたかれてもう一度彼の方を見る。


「今度は何?」


ため息交じりに答えると、思い出したかのように言う。


「そういえばお前さん、まだ14歳なんじゃろ?」
「え? あ、うん。そうだよ。」


さっきの話は完全にスルーされたのかと思っていたから、ちゃんと聞いていたことに少しだけ驚きながら頷いた。


「じゃあ、俺の方が年上じゃな。」
「え?」
「誕生日、今日。」


自分を指さしながら言う。
そして、私の顔をジッと見る。


「あの、何か・・・?」
「誕生日なんじゃが?」


疑問形で返されて少し戸惑いながらも、ああ! と思いつく。
彼の言われたいのであろう言葉を。


「お誕生日おめでとう。」
「・・・・・・。」
「あれ、違った?」


無反応の彼を見て、聞き返すと彼が手を差し出してきた。


「なんか無い?」
「なんかって・・何?」
「プレゼントに決まっとるじゃろ。」
「いや、だって知らなかったし。何も用意してないけど。」


ポケットや鞄の中を漁ってみたけど、飴玉一つ入っていなかった。
「何も持ってないや。」と彼に言うと、腕をガシッと掴まれた。


「な、何!?」
「なんかくれるまで離してやらんぜよ。」


やや不機嫌そうにこっちを見る彼。
こっちの方が怒りたい気分だよ、と思ったけど誕生日くらいは大目に見てやろうと思って聞いてやる。


「じゃあ、仁王は何が欲しいの?」


私のその一言を聞いた瞬間、怪しげな笑みを浮かべて掴んでいた腕をグイッと引っ張った。
私が彼の方に傾くと、慣れた手つきで私を支えて耳元で囁く。


「彼女が欲しい。・・・お前さんのような女がいい。」
「えっ!?」
「ダメ、か?」
「いや、だって・・・そんな急には・・・・・・。」


慌てて彼から離れると、座ってこっちを見上げている彼と目が合った。
ドクンと胸が大きく鳴った。
視線が、外せない。


「嫌じゃ。お前以外は何もいらん。」


聞かれているのに、なぜか私に決定権が無いようだ。
この人はなんて強引な人なんだろう。


「私に拒否権は無いわけ? というか、なんで私?」


そう彼に尋ねれば、返ってきた答えはただ一言。


「お前さんが面白いから。」


好きだから、とか言うんだろうかという私の予想を簡単に裏切ってくれた彼の言葉。
もう笑うしかなかった。
怒りでもなく、悲しいわけでもなく、ただ可笑しかった。


「面白い、だけ?」
「そうじゃな。」
「・・・はぁ。」
「お前さんはどうなんじゃ?」
「仁王くんのこと?」
「ああ。」
「変な人だと思った。」


私が率直に言うと、彼の目が少しだけ優しく笑った。
それは初めて見る彼の表情。
いつもの私だったらきっと気づかない、ほんの少しの変化。


「じゃあお似合いじゃな。面白い女と変な男で。」
「変人カップルじゃない。」
「決まりじゃな。」
「えっ・・・?」


私のブレザーを引っ張って顔を近づけたかと思うと、額に彼の唇が触れた。
ほんの少しだけ、触れただけのキス。


「好いとうよ。」


彼の言葉はどこまで本気なんだか分からない。
やっぱり彼は変人なんだと思う。
でももう少しだけ彼のことを知りたいと思った私も、もう変人なのかもしれない。


「・・・ありがと。」
「やっぱり可愛いのう。」
「からかわないでったら!」


昨日までの、いつもと変わらない日々とはおさらばだ。
少しずつ変わっていく毎日も、いい・・・よね?










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どうも~。藍緋ですw
におちゃん、誕生日おめでとう!!
そして素敵な企画に参加させてくれた雪ちゃん、ありがとう!!

雪ちゃんのところから飛んできて下さった方もいるのでしょうか?
そうしたら、「初めまして」ですね。

毎年恒例(笑)の仁王誕生日祭・・・今年も参加できて嬉しい限りっス!
本当にありがとうございますーm(_ _)m
もう12月なんだねww
早かったなぁ、1年・・・←

まぁその話は年末にもう一度しますね!w




改めまして、私のgdgdな夢を読んで下さり、ありがとうございました。

仁王誕生日企画は雪萌様のサイトで絶賛始動中ですので、他の参加者様の夢小説もぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
僕もちゃんと見に行きますよ!
今はテスト真っ最中だと思うので、テストが終わってからになりますが・・・ぜひ皆様の作品を読ませていただきたいです。(←日付を設定して更新してます)

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!
雪萌様のサイト→肝っ玉かあちゃんのひとり言