メロキュンプレゼンツ!! 《ハッピー♡プレゼント!!》に提出しますなSS | 自家中毒

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こんにちは
当ブログは挨拶を1年半あまり忘れる人間による妄想ブログです
(二次創作を含みます 作者さま・出版社さまにはかかわっていたらとても書けないようなブツが並びます)

間に合ったあ!
メロキュン企画が期間限定で再開ときいて、ぜひとも参加させていただきたいと思っていたのですが、ようやく参加表明できました(*゚∀゚)

うん…むしろ――大恩ある企画にようやく名乗りをあげるんだね そういうのは前もって用意するのが礼儀ってものなんだよ 期間内に投稿しただけでよくこうも誇らしげになれるものだね(←初期敦賀さん風)って感じですよねw


主催者は皆様存じていると思われますが、風月様、ピコ様、魔人様です
読み手としても書き手としてもたいへんお世話になった企画なので、期間限定でも復活されて嬉しいです(≧∀≦)
お三方、お忙しいなか、復活してくださってありがとうございます!
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【メロキュンプレゼンツ!!《ハッピー♡プレゼント!!》  幾重もの愛の言葉を】



「もしもし キョーコちゃん!?」

「社さん!? どうしたんですか? そんな焦って……」

「蓮が急にいなくなったんだ! 今日の仕事は終わってる でも、明日の遅くても9時にはこっちにいないとまずい
 だから、どこにいるかわかったら連絡ちょうだい!!」


 社さんの声だけでわかる焦りきった(それは天手古舞いという言葉も飛ぶ旅行シーズンの女将さんくらいの)様子に、申し訳なくてたまらなくなった。

「…うちに帰っている途中です」

「え?」

「ひとりは寒いから嫌だと、明らかに酔っぱらった様子で連絡がありました」


 やたら大きい声で話すわ、何度も同じこと繰り返すわ。
 あんないかにもな酔っぱらいになったのは初めてで、その姿を実際に目にするのがちょっと楽しみだったけど。そんな気分もふっとんだ。

 車を運転してるんじゃなくて、タクシーで帰ってきてるって聞いて心配ないって思ってたけど、まさか社さんに連絡もせず帰ってきてるなんて。


「ええ!? アイツ、今日の現場で何度も咳してたのに、そこまで酔っぱらうほど飲んじゃったのか……」

 もう! 何やってるのよ!
 というか、風邪ひいてるならお酒なんて飲まないで早く休まなくちゃだめでしょ!!


「今、●●●(※お好きなロケ地をご想像ください)でしたよね?」

「そう そっちから向かって間に合わないこともないんだけど、そんな様子だったから泊まらせて休息を長く摂ることを優先させることにしたんだよ
 伝えたときには不満げな様子もみせなかったんだけど…本当はキョーコちゃんと一緒にいたかったみたいだね まったく…そうならそうと素直に言えばいいのにな」

「すみません……」

 敦賀さんったら、こんなところで役者魂を発揮しなくてもいいのに!


「まあ、そんなわけだから、キョーコちゃんもうつされないように気をつけてね」

「はい」

 敦賀さんに大事があったわけじゃないとわかってほっとしたみたいで、切る前には社さんはすっかり優しいお兄さんの口調に戻っていた。


 ※

「キ、…君かい? 今向かってるところだよ」

 いつもより掠れていても、心地よく響く声が電話ごしに聞こえてくる。

「向かってるところだよ、じゃありません!! ちゃんと社さんに伝えてから帰ってこなくちゃだめでしょう!?」


「社さん? あれ? そういえばいないな」

 ああ こういう人、旅館の宴会場でみたことがある。

 初めてだわ。ここまで酔っぱらってる敦賀さん。…いえ、そういえば家でもみたことなかったわね。


「…ちゃんと、このマンションの場所は伝えていますか?」

 風邪でも、酔っていても、敦賀蓮は抜けていないみたい。こういうところはさすがだと思うの。
 でも、だからこそ、事務所に帰るとか伝えちゃってる可能性があるわ。


「さすがに事務所を家だと思うほど仕事人間じゃないよ」

 そんな私の考えを読んでたらしく、苦笑ぎみの笑い声が聞こえてきた。


「もうっ 風邪なら大人しく寝てなくちゃだめでしょう?」

「大丈夫 そんなに症状は重くないんだ 君の言ってたとおり、食事も摂ったし、ちゃんと早めに薬も飲んだんだよ?」

「どうせ、食後だしついでに飲んでしまおうかなんて考えでお酒と一緒に飲んだんでしょう! お薬はお水かぬるま湯で飲まなきゃだめなんです!」

 お酒と飲むのがどうかしらないけど、絶対にからだに悪い!!
(※それが原因で酔いがいつもより過剰にまわりました)



「ずっと気になってたんだけど…俺(敦賀蓮)には、敬語のままだよね たまには名前を呼び捨てて親しげに話してくれてもいいのに」

「何度も言ってるじゃないですか 慣れないんですよ
(↑見事に話題転換されてる)

 それに、うっかり馴れ馴れしく話しかけて他の人たちにバレるよりはいいでしょう?」


「他の奴らには、呼び捨てだしくだけた話し方なのに、不公平だ……」

「役者・敦賀蓮のことは尊敬してるんです 恋心と崇拝は、同時に抱ける想いなんですよ」


「俺だって"最上さん"に恋人らしいこと言われたいと思っているんだよ? アイツ(クオン)ばっかり、いい思いして本当に不公平だ」

「愛しています 貴方の横がふさわしい演技者になることを私はいつも夢見ています」


「やっぱり、アイツに対してよりも恋人らしさが足りない気がする」

 そんな不満げな一言なの!? 人がものすごく恥ずかしい思いをして愛を口にしたのに!

「もうっ あまりしつこいと本当に嫌いになっちゃいますよ?」



『愛しすぎると嫌いになるのか? 俺にはお前しかいないのに……』

「敦賀さん?」

『俺以外の男の名前なんて呼ぶな お前は俺だけを見ていればいい』

 この口調は、カイン兄さん?
 やだ 懐かしい。


『あら またヤキモチ? 嫉妬ぶかい兄さんね』

『お前が可愛すぎるのが悪い』


『兄さんのせいよ? 好きなヒトの前では最高の姿でいたいじゃない? アタシの場合、好きなヒトがいつもそばにいるんだもの』

『その最高の姿で他を見るのが気にいらない』


『しかたのない兄さん 兄さんがアタシだけなのと同じで、アタシも兄さんだけよ』

『もっと聞かせてくれ』



 風邪声なんて状況が重なって、私のいたずら心に火がついてしまった。

「はやく帰ってきてくださいね 私、ちゃんとおかゆ作れるようになりました」

「それよりも君が食べたいな やっと、堂々と恋人だといえるようになったんだから」


「だめです 風邪ひいてるのにそんなことしたら悪化します」

「じゃあ、言葉だけでも聞かせて」

「嘉月さんと恋人になれて私も幸せです 早く帰ってきてくれるの待ってますから」


 電話ごしでも社さんに迷惑かけたことを謝っておいてと言おうとしたはずなのに、思わぬ反応に盛り上がって、結局、彼がこちらに着くまで懐かしい役を憑けて話し込んでしまった。


 ※

「おかえりなさい コーン」

「ただいま キョーコ」

 ドアを開けて出迎えると嬉しそうに微笑んでくる。でも、その様子が、私はなにかおかしいと感じた。


「ねえ、俺のこと好き?」

「もちろんよ」


「あのとき言ったことが全部本当だとしても?」

「ええ それでも、好きだって気持ちは消せないわ」


「ほんとう?」

 どこか影を帯びた表情を見て、やっと気がつく。
 どんな役が憑いていても、彼が求めてきたのは愛の言葉。



「…誰もいないわよ 久遠」

 そうだった。

 風邪をひいたときって、喉とかが痛くて息苦しくて、
 そして、とてもさびしくて不安になるもの。


「ごめんなさい 不安になっていたのに気がつかなくて」

「……………」


「私は久遠を愛してる どんな過ちを犯していたとしても貴方が好きよ」

 あえて、普段は禁じている名前で呼んだ。
 どこに目があるかわからないから呼ばないようにしているけど、今の貴方の不安を取り除くためにはこれしかないから。


「ほんとう…? 本当に俺でいいの? 蓮やコーンじゃなくて?」

「どれも貴方でしょう? どの貴方も私の愛しい人よ
――だから、こんな自分を痛めつけるようなことしないで 今日はもう、水分とって寝てくださいね」


「うん……」

 穏やかな素顔の笑みを見て、この瞬間のためならば、後に長い叱責が待っていてもかまわないと思った。


 ※

「おはよう」

 病み上がりのときに脂の多いロケ弁を食べさせるわけにもいかないしと、お弁当を作っていると、キラキラすました顔で挨拶された。
 どうやら自分が何をしたかは覚えているみたい。


「体調はよくなった?」

「おかげさまでね まだひきはじめだったから」


「社さんには直接向かうって連絡しておいたわ タクシーも予約してあるから、念のため車内でも休んでね」

「ごめんね 色々と……」


 しゅんとした様子は正直殺人的に可愛いけど、ここは心を鬼にして言わないと。

「こんなことはもうこれっきりにしてくださいね」

「はい……」


 ばつの悪そうな表情をしながらも素直に返事をしてバスルームのほうへ向かっていく後姿。
 ああ、垂れきった耳としっぽがみえる……!



「本当は会いたがってくれて嬉しかった」

 この意思の弱さが恨めしい。
 抱きつきまでしたらだめでしょう? 今からバスタイムだっていうのに邪魔になる!


「でも、周りの人にすっごく迷惑になるんだからね? 同じことがあったら、ちゃんと休んで治さないとだめよ?」

 その腕のなかに閉じ込められるのを感じて、急いで正しいことを主張した。


「もう風邪はひかないようにするよ」

「そうね それが一番の解決策ね」

「こんなに可愛いキョーコを前にして、キスもできないのは辛すぎる」


「なっ! わわっ!」

 抱き締める腕をきつくされたと思ったら、キスの代わりと言わんばかりに、頭のうえで頬ずりをして私の髪をぐしゃぐしゃにしていった。

 どれだけキスしたかったのよ…昨夜と同じくらい寂しそうな声して!
(※その表情は頭上にあったため見えませんでした)


 困った人にため息がでる。
 それを甘く感じてしまうのは本当にどうかと思う。


「朝から破廉恥なんだから……」

 キスの代わりに、お弁当にXでも書いちゃおうかしら。


 いえいえ 何考えてるのよ! そんないやらしいお弁当は却下!!
(↑純情乙女には、愛妻弁当ではなく猥褻物カテゴリー)

 なんだか、思いもよらないところで悪い影響を受けてる気がするわ。

 そんなこんなで、今度は呆れだけを120%のためいきをついて、私は愛妻弁当(もちろんマトモな)づくりに戻った。



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無形かよっ!(と盛大につっこんでやってください)
そして、タイトルにはつっこまないでやってください
この出来にふさわしいタイトルまでは降りてこなかったんです(TAT)

情の薄い人間なのです
平均からしたら、ハンパなく。
恋情に対する憧れも実感も圧倒的に足りていないので、いつもラブい感じがでないんだろうなあと苦笑します(´∀`;)