まあ、よくやってるなとは思うものの、

親父のフリッツ・フォン・エリックの存在感は

飛び抜けていたからな。

昭和プロレスを愛していた者からみると、

なんだか甘いなと思っちゃう。

エリックの全身から醸し出す雰囲気は半端なかった。

その登場シーンからして、

その傍若無人さは、誰にも出せないものがあったのだ。

 

とは、いうもののこの映画自体はよくできていた。

とにかく、この監督がプロレスを愛していることがわかるんだ。

特にその会場の雰囲気、

スポットライトに映える汗の飛びちりかた、

観客の歓声やブーイングなど、

行った者しかわからないと感じた。

 

この映画は"呪われたプロレスファミリー"

を描いたものではあるけど、

昔ながらの家族愛や家父長性のいいところと同時に、

その危うさまで描いた。そんな問題提起もしてると思う。

(評価9 kinocinemaにて鑑賞)

 

映画「オッペンハイマー」

 

異次元の科学は時代を飛び越える

それが道徳的であるかなんてことを考えずに、一直線に突き進む。

あとで考えて、あれはなかった

と思ってももう遅いのだ。

 

原爆を生み出した天才の苦悩

そんなことを思った映画だった。

 

ベラは私の愛する人です」

と、エマ・ストーンは言っている。

うまれたばかりの純粋無垢な一人の女の子が旅に出る。

いろんな場所に行く。そこはシュールな船の上だったり、

パリの裏世界だったり、子どもたちが残酷にも殺される世界だったり、

虐げられる女たちが住む世界だったり、生まれたての女の子が出会うには苛烈な世界。

でも、そこはゴシックに彩られている。憎らしいほど美しいのだ。

 

「ベラはセクシュアリティに関して偏見がない」

と、エマ・ストーンは言っている。

彼女を取り巻く男たちはキャラクターもいろんなバリエーションがある。

そこには、産みの父親であり奇妙な科学者であったり、性的な関係ではなく、

知的な関係を結びたいとする男だったり、独占欲の強い古典的な男だったり、

権力に任せて一方的に支配しようとする 男だったりする。

この構図は現代的でもある。

 

そんな中、学び、成長し、行動する女性を演じた。

だから、この映画はエマ・ストーン以外には考えられない。

ストーリー、映像、役者の力が一体となった奇跡のような映画だった。