訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それでたりる(最二小判昭50.10.24民集2991417頁)。



ところがその「通常人が疑いを差し挟まない」がむつかしい・・・・

もっとも自然科学的証明が必要なら、救命可能性など一点の疑義なくは証明できないから、生命侵害が責任を問われることはまずなくなる。

待機手術死の場合(緊急ではない)、過失が明らかであれば手術前まで普通に生きていた人は、その過失がなければ少なくとも手術台の上で死ぬことはなかった、というのは通常人が疑いを差し挟まない程度の真実性の確信かな。