鳩山由紀夫首相は25日夜、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題を巡り、今月末に決める政府方針について「最終的に当然のことながら、閣議で何らかのことを決めていかなければならない」と述べ、閣議決定か、閣議了解の形で、政府の意思決定を行う考えを示した。首相官邸で記者団に語った。

 これに対し、沖縄県を訪問した社民党の福島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)は25日、稲嶺進名護市長との会談で「閣議決定、閣議了解でサインはしない」と述べ、署名を拒否する考えを改めて強調した。

 政府方針を巡る首相と社民党との対立は深刻化しており、福島氏は26日にも連立維持か離脱かの判断について党内の最終調整に入る意向だ。

 福島氏は25日、仲井真弘多沖縄県知事と沖縄県庁で会談。米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)への移設に反対の意向を伝え、「沖縄とも(連立)3党とも合意がなく、日米共同声明になるという手続きそのものがおかしい」と強調。県側との共闘を呼び掛けた。

 仲井真知事は「県民の納得がいく形での解決策を閣内でまとめてほしい」と述べ、政権内での意思統一を求めた。その後、会談した稲嶺市長も「社民党に頑張っていただき、首相が公約通り『県外、国外(移設)』を実現できるよう支援をお願いする」と要請。伊波洋一宜野湾市長からも、移設阻止に向け、連立内での努力に期待する意見が出た。

 福島氏は一連の会談終了後に名護市内で記者会見し、「民意に基づかない合意に実効性はない」と述べ、日米共同声明に「辺野古」という地名が入れば反対する考えを表明。ただ、焦点の連立離脱については「沖縄の人たちと一緒に新たな基地の建設をしないよう頑張り抜く。それをやる限り信頼を得られる」と語り、当面は連立の枠内で県内移設阻止に向けた動きをしていく考えを示唆した。

 社民党は26日、福島氏の沖縄訪問を受け、普天間問題を巡る党方針を協議する。党内には、連立離脱について「政権の中でいる時の仕事量と野党の仕事量は全然違う。離脱すれば政策決定に関与できない」(幹部)との慎重論が根強い。政府は普天間代替施設の場所や工法など詳細は今秋に最終決定する方針で、離脱論の先送りムードが強まっている。

 ただ、首相が25日、福島氏が署名を拒否する方針の閣議決定か閣議了解での権威付けを明言したことで社民党が反発することは必至だ。【西田進一郎、横田愛】

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