山陽新幹線N700系「のぞみ56号」(博多発東京行き)の車内に白煙が充満した事故で、車軸付近にある歯車箱(ギアボックス)内部で歯車がかけるなどのトラブルが起き、ボックスが破損し、漏れ出た潤滑油が過熱、白煙を出した可能性が高いことが4日、JR西日本への取材で分かった。JR西は同日、車両を大阪府摂津市の鳥飼車両基地へ移して詳しい原因を調べるとともに、同様のギアボックスを搭載する全新幹線632車両についても緊急検査を始めた。

 JR西によると、破損したギアボックスは、上部に縦18.5センチ、横12.5センチの五角形の欠損があり、下方に向かって長さ約36センチの亀裂ができていた。同社は、破損部分から潤滑油が漏れて飛び散り、車輪や車軸に付着、過熱して白煙を発生させ、車両の換気口から入り込んだ可能性が高いとみている。

 同社は、ギアボックスが破損した原因について、飛来物が走行中にぶつかった可能性は低いとみており、ボックス内部に収納されている歯車が欠け、ボックスの内側にぶつかり、この衝撃で破損するなど、内側からの要因とみて、歯車の状態を確認している。

 破損した歯車箱は平成21年2月から使用され、これまで50万~60万キロ以上走行したが、これまでに不具合はなかった。ただ、同様の事故としては平成5年に、走行中の300系新幹線の歯車箱が破損したケースがあったという。

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