デヴィッド・ボウイ分析(70) ボウイが描く芸術 | デヴィッド・ボウイ(DAVID BOWIE)を100倍楽しむ方法

デヴィッド・ボウイ分析(70) ボウイが描く芸術

デヴィッド・ボウイ分析(70) ボウイが描く芸術
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アルバムLOWのB面、ブライアン・イーノとのインスト曲「ワルシャワの幻想」はナチスの爪跡が残った都市ワルシャワを描いたもので残り3曲はベルリンに関するもの。同じくHEROESのB面もクラフトワークのフローリアンに捧げたV-2 Shneiderとラストの曲を除くとボウイが当時ベルリンを訪れて体験した風景や空間を描写した曲が多いです。その中で"人の心の動き"を表現した曲がHEROESのB面に収められている疑惑 - Sense of Doubtです。今回の映像はLOW、HEROESをレコーディングしたベルリンのHANSA STUDIO(BONEY Mで有名な独HANSA RECORDSのメイン・スタジオ)で撮られた珍しいものです。この頃のボウイはベルリン在住のイメージに合わせた短髪に革ジャン、ジーンズとブーツというベルリン・ルック(現在もそう言うのかどうか知りませんが)で登場しています。

歌詞が無いので主観論になりますが要約しますと、"ダンダンダンダン"と反復する重苦しいピアノが深い疑念を想わせ、シンセによる主旋律は思考を表現しているようです。やがて疑念を晴らすべく深い思考、または疑惑の対象を回想するかのような中間部に入ります。疑惑が解決に近づき明るい方向に向きかけると再び"ダンダンダンダン"が被さり疑念が払拭されないまま残ります。もう一度思考を試みるとついに結論に辿り着き、疑念は払拭され光明が差してくるように音は明るさを帯びエンディングを迎えます。楽器はほとんどピアノとシンセのみで驚くほど単調な音楽なのですが他に例を見ない"心の動き"に着目し、それを的確に捉え音像化した4分間の逸品です。

初期の頃、"自分は音で絵を描く"と言っていたボウイ、ジギー・スターダストや1970年代の他のボウイ作品もそうですがブライアン・イーノと作り上げたのLOW、HEROESのB面のインスト曲はそんなボウイの想いが顕著に表れたアート作品です。

Dont you wonder sometimes  時折、あなたは驚きませんか?

About sound and vision  音の響きと映像の不思議さに

                        Sound and Vision より


ヒーローズ(紙ジャケット仕様)
ヒーローズ(紙ジャケット仕様)



Heroes Symphony / Low Symphony
Heroes Symphony / Low Symphony



映像はこちらをどうぞ

David Bowie - Sense of Doubt Hansa Studios Berlin

David Bowie - Sense Of Doubt Live in Dallas 1978


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