梅雨になったのに、全く雨が降らない6月。

犬が死んだ。

ずっと病気ではあったけど、病気なりに元気に過ごしていた。いつも通りに病院に行って、いつも通りご飯を食べ、いつも通り吠えて、いつも通り寝た。
たまたま遅くまで起きていたわたしは、翌日の仕事の事を考え、いい加減寝ようとした。その時、変わった声を出した犬が気になって電気をつけたら、そこにはもうぐったりした犬が寝ていた。2回息を吸ったところで、もう起き上がることはなかった。まだ体は暖かくて、何度も名前を呼んでみたけれど、虚ろに宙を見ている目は瞬きひとつせず、少しくすんでいた。

嘘みたいに、あの日から雨が続く。
今更、梅雨が頑張りだしたのか。

雷が嫌いで、土砂降りになると落ち着かなくなっていた彼はもういない。

死ぬほど降ればいい。



帰ってきて。お願い。
大好きだから。