【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
北極で広い放射能汚染 トナカイ肉 基準の4-7倍
核実験など影響 初の総合環境調査
過去の核実験や原発事故などによるとみられる放射能で、北極周辺に広範囲の環境汚染が起きており、住民が食用にしているトナカイの肉から、日本の食品暫定基準の4-7倍に相当する放射能が検出されていたことが、北極域の環境汚染に関する国際調査プロジェクトの報告書で6日までに分かった。放射性物質が大気の流れや海流により、北極周辺に運ばれ蓄積したとみられる。北極域の放射能汚染はこれまで一部で指摘されてきたが、発生源まで含めた包括的な研究は初めてという。
これは米国やカナダ、北欧諸国など8カ国が1991年に組織した「北極モニタリング・アセスメント計画(AMAP)」による北極の環境に関する初の総合的調査研究。
報告書によると、放射能汚染は最近、低下傾向にあるとみられるものの現在もかなり深刻。グリーンランドやノルウェーの沖から北極海中央部にかけての広い地域で、表層水1立方メートル中8-16ベクレルのセシウム137が検出された。
1993年の日本海での調査の最高値が同3.8ベクレルだったのに比べかなり高い値だ。
また、ノルウェー北部などでトナカイの肉1キログラム当たり1,500-2,500ベクレルという高濃度のセシウム137が検出され、トナカイの肉を特に多く食べる先住民の放射能摂取量は、そうでない人の50倍と見積もられた。日本は食品中の放射性セシウムの暫定限度を同370ベクレルとしている。
こうした高い数値について報告書は、過去の核実験やチェルノブイリ原発事故に加え、英国などの核燃料再処理工場も主要な放射能発生源の1つとしている。
ダイオキシンや農薬などの有機塩素化合物や重金属の汚染もひどく、北極の魚や動物の肉を多く食べるカナダの先住民で一部農薬の摂取量が世界保健機関(WHO)の許容量を超えるケースもあった。
(中日新聞 1999/05/06)