【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

「プルトニウム1キロで原爆可能」 管理強化求める 米研究機関

【ワシントン22日=大塚隆】

米の民間研究機関自然資源防衛評議会(NRDC)は22日、「最新技術を使えばプルトニウム1キロで原爆が作れる」と警告、国際原子力機関(IAEA)が核物質管理の基準にしている量をプルトニウムの場合、8キロから1キロに減らして管理を徹底するよう求め、IAEAと米エネルギー省に書簡を送ったと発表した。ドイツで続発している核物質摘発を契機に、核拡散の防止を実質的なものにするのが狙い。NRDCは核兵器保有国だけでなく、日本の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)などの再処理にも同様の管理強化を求めている。
NRDCの核兵器専門家トーマス・コクラン博士らが最新の技術を検討、核爆弾製造可能量を計算し直した結果をまとめた。最新技術を使えばプルトニウム1キロで大都市なら数千人以上を殺傷する1キロトン級原爆ができ、多くの国が持つ中程度の技術でも1.5キロで原爆ができるという。NRDCはやはり核兵器の材料になる高濃縮ウランについても、25キロを8分の1の3キロにするよう求めている。
IAEAは核爆弾が製造可能な核物質の量を「有意量」として核物質管理の指標にしている。プルトニウムの場合、長崎に落とされた原爆に6.1キロのプルトニウムが使用されたことから、製造ロスを見込んで8キロを有意量にしたという。
しかし、コクラン博士は当時でもプルトニウムが3キロあれば小型原爆の製造は可能だったとし、「基準は時代遅れ。核物質がブラック・マーケットに流れる現状を考えると基準強化が緊急課題」と指摘する。
提言通りプルトニウムの有意量が小さくなれば、再処理やプルトニウム燃料製造などの各段階で工場設備の大幅な改善のほか、細かい運用を迫られるなど負担を強いられることになる。
同博士は日本の再処理にも触れ、「動燃東海工場では70キロを超えるプルトニウム残留があった」と非難、日本を規制強化の標的のひとつにしていることを明言した。

(朝日新聞 1994/08/23)