合成添加物と天然添加物 | ギモンの科学(仮題)

合成添加物と天然添加物

今日は、添加物の分類のうち、
合成(人工)と天然の分け方とその考え方について。
前々から書くと宣言していましたので。

合成添加物の定義は、
「添加物のうち、化学的手法により、
分解反応以外の化学反応で得られた物質」です。
天然添加物は、
「添加物のうち、合成添加物でないもの」になります。

合成添加物を細かく分類すると、
天然に存在しない成分を合成した添加物は約40種類、
その他は、天然に存在する物質を合成した添加物か、
無機化合物になり、あわせて200種類超。
純粋に化学合成と呼べるものは少ないことが分かります。
前者の代表が、タール色素やサッカリン
後者はアミノ酸やビタミン、亜硝酸、ソルビン酸などです。

ここまで細かく見ていくと、
「なんだかおかしい分類だなぁ」と思う方もいるはずです。
例えば、レモンやアセロラから抽出した、
天然のビタミンCを食品に加えても、
そのビタミンCは合成添加物の扱いになります。
逆に、ほうれん草などの葉物の野菜には、
亜硝酸が多く含まれていますが、
いくら含まれていても添加物扱いされません。
両方とも、体の中に入る成分としては
合成か天然か、添加物かそうでないかに関わらず、
まったく同じものになるはずなのに。


さらに、合成と天然の安全性については、
前にも書いたとおり
合成のほうはさまざまな毒性試験をクリアして、
安全性をかなり確保できていますが、
天然のほうは、食経験がある、使用実績があるなどの
あいまいな基準で登録されているものがいまだに多く、
安全性の確保はされていないのが現状です。
(現在では、新しく添加物として登録されるものは、
天然由来であっても特別扱いされず、
毒性試験を行い、安全性を確保しなければいけません)

天然物が必ずしも安全とはいえない例としては、
カビが自然に作ってしまうアフラトキシンや、
ふぐが持っているテトロドトキシン
青梅に含まれるシアン(青酸)
生の豆に含まれるレクチン
海産物に含まれるヒ素や水銀などの重金属
ワラビに含まれるプタキロザイド
ジャガイモの芽にあるソラニン
など、数え上げればきりがありません。
そういえば、前に使用禁止にされた、
アカネ色素天然添加物ですね。

ここまで情報があれば、
合成や天然などと分類し、「天然だから安全」なんて、
考えること自体が根拠が薄いことが分かるでしょう。
合成でも天然でも、安全なものはあるし、危険なものもある。
それが事実です。

わざと書かないでここまで引っ張ってきたんですが、
添加物に合成と天然の分類があるのは、日本だけなんです。
合成・天然の分類が、いかに無意味かわかるでしょう?