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監督 杉江敏男

出演 伊藤久弥
   児玉清
   香川京子

**江田、浦橋、岩瀬の3人は夏の鹿島槍で悪天候のため遭難。岩瀬は谷に転落し命を落とした。岩瀬の姉真砂子は山登りには慣れてた弟が死に、初心者の浦橋が無事だったことに疑問を持っていた。浦橋は、友人の死を思い山岳雑誌に記事を書き鎮魂の意を表した。冬が近ずいた頃、真砂子が江田に事故現場に花を捧げたいと申し出た**


松本清張モノの中ではとてもスリリングで楽しめた。主人公江田は表情の変化があまりわからない人物。主にこの人物が最初から最後まで描かれ続けるが、前半は事故死が起こるように企んでいるようには見せない演出でもあるので、ただ、無口で親切な人物としての印象しかむしろ見受けられない。それが後半に再び山を訪れた時の心情の変化へとつながり、とても緊張感に溢れていた。
目はゴーグルで隠れているので表情は余計にわかり辛い。それでも、次第に同様していく様子は道中からも伝わって来る。特に、偶然友人に遭遇してしまったエピソードは良かった。このシーンの大半は江田の後ろ姿から撮られているので、画面には背中が映り表情は分からない。連れ槙田が友人とやりとりしているを傍観しているだけだ。無表情で無言。江田の顔が映される時間も短いが、今までのポーカーフェイスが凍りついているのがわかる。



一方、被害者の姉真砂子も腹の底はなかなか見せない。事故直後は弟の死を悲しみながらも何故とという疑念を抱いていたようだった。それでもその後に江田と接触を取った時は常に笑顔だ。江田の配慮に感謝し、あたかも心を切り替えたようにも見える。結局、江田を疑っていたことは、最後の事故後までは基本的に見せない。
この二人の人物の描き方はとても良かった。後半の緊張感は確実に増した。そして二人とは対照的に、他の登場人物が口数が多い人物として描かれているのも引き立たされた。
登場人部の描き方が素晴らしかった上に、同じ山で起こる二つの事故が、夏山、冬山と分けられたコントラストも、登場人物の心情変化を表現する上でプラスに働いていたと思う。