2分コーションルールの問題点 | レスリングを考える

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今回のルール改正は様々な点から考える必要はあるものの、クリンチルールが無くなったこと、攻撃の積極性を高めたことは評価できると思いますし、そこが最大の特徴でしょう。


しかし、あまりにも性急な変更だったためにあらかじめ細かい検証が為されたわけではなく、おそらく実際にやっていく中で様々な修正が為されると思います。


 その中でも恐らく消えてなくなると思われるのが、2分で0-0の場合、どちらかに消極性のコーションを与え、その選手が30秒以内に点を取らないと相手に1点が与えられるという厳しいルールです。これはやる前から失敗するだろうなあと予想していました。消極的コーションは消極的だから与えるのであって、2分の段階でどっちも積極的だったらどうするのか、という問題が必ず起こるからです。そもそも2分全体の流れで判断するのか、2分時点の場面判断なのか、それすらも分かりません。

 
 案の定、というか予想外の問題が散見されました。

 例えばF120kg決勝、荒木田選手対岡選手の試合です。流れ的には岡選手っぽかったのですが荒木田選手に少し傾きかけてきたかなあ、という状況で2分経過し0-0。そうなると岡選手の方にコーションが行ってしまいます。これは仕方がないとして、その後の30秒、荒木田選手は相手に点を取られなければ1点もらえる状況ですから「守り」に入ります。対する岡選手は当然攻めに行きます。ならば荒木田選手はコーションだろうと思うのですが30秒後に岡選手が1失点となってしまいました。こうなると一体何の意味があるのか、という話です。
 

 もう一つ、もっと微妙なことが女子の試合で起こっていました。誰の試合だったか忘れたのですがこんな展開です。赤が積極的に攻めている場面で青に消極性のコーションが与えられました。青はそこで攻めに転じすぐさま片足タックルに入り足を取ったのですが少し膠着しました。そこで2分になったのです。0-0でしたからさあどっちにコーションを与えるのか。赤に入っちゃったんですね。そして青は逃げ切って1点を先取しました。直前まで赤が攻めていて青が苦し紛れにタックルに入って足を取り、その時点でどっちのコーション?などと言われてもそれは審判だって困りますよね。
 

 今回は試合が終わるたびに引き揚げてきた審判が安堵の表情を浮かべたり苦笑いをしたりするのが妙に印象的でした。


 というわけで皆さん、何があってもしばらくは審判の方々を責めるのはやめにしましょう。