国民の代表が集まる国会に設置された「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」。
医学、地震学、化学、弁護士、ジャーナリストなど、政府や東京電力、原子力ムラとはまったく関係のない人たちを委員とした委員会です。
これまでに政府の事故調査検証委員会や東京電力からも事故発生の原因や対応に関する報告がなされていますが、
政府は主に東京電力側を批判、東京電力は原因を自然災害とし、過剰介入した政府を批判する内容となっていました。
しかし、今回公表された「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の報告書では、政府、東京電力の双方に問題があったと指摘。
内容を大まかに読んだところ、東京電力の対応、政府の対応をしっかりと第三者の目から客観的にとらえ、的確に問題点を指摘している内容だと感じました。
今後は、この「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の調査結果をもとに、原子力技術の取り扱い、原子力発電の取り扱い、自然災害への対応などを組み立て直すべきだと思います。
政府や東京電力の報告書なんぞもはや読む価値は無い。
やはり、改めて思うのは、
1960年代に想定していた地震、津波を超える可能性が何度も指摘されてきたにもかかわらず、
それに対して真剣に取り組んでこなかった東京電力と、その当時、監督、規制する立場にあった政府、
そして、事故発生後の対応の遅さや的確性の悪さが際立っていた現政府の責任は重大だと考えます。
以前から指摘していますが、
事故発生後の政府の対応の悪さを散々批判していた自民党、公明党にも、
監督、規制する立場にあった頃に何もしてこなかったという重大な責任があるわけです。
その責任はいつ、どのような形でとるのかを明確にすべきです。
批判は自分たちにも行うべきものです。
そして、今回の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の調査結果をもとにした新たな安全基準の策定、新たな事故対応マニュアルの策定をせずに原発再稼働をしてしまった現政府。
現状では誰も地震の予知などできない、いつ日本海側で地震が発生するかわからない状況下で大飯原発を再稼働させたのですから、
それなりの覚悟は持っているのでしょうね?
「想定外」という言葉を散々聞かされましたが、大飯原発に関しては「想定外」という言葉は使えないはず。
通常の平穏な状況下から日本海側の地震により津波が発生した状況、さらに、大飯原発直下で地震が発生した状況下までも想定し、
まったく問題無いという判断での再稼働ととらえてよいのでしょうか?
さらに、大飯原発で事故が発生した際にどのように対応するのかを明確に、具体的にしていないままに再稼働していることも問題です。
つまり、状況は福島第一原子力発電所事故以前とさほど変わっていないのです。
ということは、同様の災害が発生すれば、同様の事故が発生し、同様の対応しかできないということ。
火力発電所が火災となればそれを鎮火させればよいことですが、原子力発電所の場合にはそう簡単にはいきません。
日本の総理大臣ごときが辞任したところで責任をとったことにはならないのです。
もちろん、日本の総理大臣ごときが切腹したところで同様です。
どれほどの税金をつぎ込んでも事故以前と同様の状態に戻すことは誰にもできません。
つまり、誰も責任などとれない。
原子力発電所の事故とはそういうものなのです。
消費増税に政治生命をかけている野田首相。
原発事故が発生したら政治生命以上のものを失っても責任を取り切れないことを理解しているのでしょうか?
今の日本は一か八かという状況にあることを国民も認識しておかなければいけない。
福島第一原子力発電所では事故処理を行っていますが、
震災から1年以上が過ぎているのに、未だに発電所付近で地震が多発しています。
まるで日本をあざ笑うかのように、事故でボロボロとなっている発電所を揺らし続けているのです。
しかも、発電所付近には活断層もあります。
もし、付近で震度6以上の地震が発生したら・・・
4号機のプールが破損し、核燃料がむき出しとなったら・・・
事故発生時以上の強い放射線、放射性物質が拡散することになります。
となれば、関東一円も相当の被害でしょう。
もちろん、これらは仮定でしかありません。しかし、可能性がゼロとは誰も断言できません。
でも、これが火力発電所だったなら、こんな仮定をする必要も、地震の揺れや放射能に怯える必要もゼロだったことでしょう。それは断言できます。
現状で原発再稼働となると、このような一か八かという状況をさらに増やすことになるのです。
せめて、一番客観的に調査でき、一番信頼できる国会事故調査委員会の調査結果をもとにした安全対策などが施されたあとに、
原発を再稼働させるべきだったのではと思います。
少なくとも、それがベストでしょう。
しかし、一か八かの賭けに出た日本。
ギャンブル好きなお国なのだから、カジノ作ってはどうでしょう?と提案します。