まずはメキシコ | 世界!バンバントラベラー

まずはメキシコ

この旅の始まりの国はメキシコに決めた。






旅は、本来楽しいもの。






決して頑張るものではない。くじけたらすぐに帰ろう。






そういうスタンスで旅をしようと思っていた。






世界一周がしたい!と思って、仕事を辞めたりしてみたけれども、






いざルートや、行きたい所を考えているうちに、






別に一周しなくてもいいと思うようになり、






特に一周にこだわらなくなった。






一周だけにこだわるなら、極端な話、






日本→ニューヨーク→ロンドン→上海→日本でも、一周ということになる。






いやいやでも、そうではない。






いくら旅に出る目的が、






「世界でいろんなものが見てみたい」






というただ漠然としたこと以外何も持ち合わせていない私でも、






それは自分のやりたいことではないと思った。






たとえば南米が気に入ったのなら、






お金が尽きるまでずっとそこを狭く深く旅したっていいじゃない!くらいに思っていた。






そのほうがなんとなく自分らしい気がする。






自分がしっくりくるような旅をしよう。






そういう旅のスタンスだけはできていった。






でもまあ世界をあちこち放浪するのであれば、一周するのが効率がよい。






となると、東回りか西回りか。






私は、東回りを選んだ。






世界一周のブログを見ていると、先にアジアを周っている人が多いし、






実際に旅に出てみても、西回りの人が圧倒的に多かった。






アジアは日本人バックパッカーが他のエリアよりも多く、旅がしやすいことはわかっていたし、






まだ旅に慣れていないのもあったから、先にアジアに行って徐々に慣らしていきたい気持ちは当然あった。






だけど、南米から太平洋をバビューンと飛行機で飛び越えて、ハイ帰国。






というのに、なんだか味気なさを感じた。






何より東から周ることによって、「だんだん日本に近づいてくる感」を味わいたかった。






それと実際問題、旅をする上で先立つものは金だ。






これから始めようとしている旅の中で、






自分は一体どのルートでどこに行って、どのくらいの期間滞在して、どのくらいのお金を使うのかが全く読めなかった。






だったら先に遠くに行って、アジアを最後にしておけば、物価も安い。






銀行口座にブリザードが襲来し、寒い感じになるのが容易に予想される旅の終盤、






いざ日本に帰るにしても、航空券も安い。






アジアなら日本から近いから、また気軽に来ることもできる。






ということで、浮上してきた案がメキシコ。






ドキドキしながらメキシコシティー行きの片道航空券を買った。






その後の予定は未定。






最初のほうは、不安が募って色々調べていたけど、






調べるほど頭が、ポンッッ!!!となって、私はいよいよ考えるのを辞めた。






あれこれ考えて調べてみても、わからないことだらけだ。






見所はナスカとかマチュピチュとか、メジャー級のものしかわからないし、






大体これから自分が行こうとしているところが、






脳内で凝り固まったイメージだけが暴走するばかりで、






いまいちリアリティーがない。






なにもかもがあまりにも未知すぎて、






現実のものとしてピンとこない。






あれこれ細かく調べることに、無意味さを感じた。






それにせっかく手に入れた、時間だけは贅沢に使えるステキな状況。






事前にあれこれ決めて動くのも、なんだかもったいない気がした。






そういうわけで、けっこう早い段階から、






無計画で行く無計画計画を企てていた。






小心者のクセに。






正直ノープランだと、ステキな場所を逃す可能性もあるけど、






その分思いがけないステキな場所に行ける可能性もある。






それで全然よかった。






むしろ、それが理想だった。






行きたい所なんてものは、その場に行けば見えてくると思っていた。






「こうしなければならない…!」というスタンスは、できるだけ捨てたかった。






メジャーな見所はもちろん見ようとは思っていたけど、






そこで暮らす人々を眺めたり、知らない町を歩いてみたり、移動中の窓から流れる景色が見られるだけでもいい。






その土地の食べ物だとか、においだとか、空気だとか、






とにかくなんでもよかった。






行けば何かある。






旅中も、どんどん貪欲にはなっていったけれども、そのスタンスはずっと変わらなかった。






そういうわけでトラブルーの真っ只中、






涙ながらに新千歳空港を後にして、とうとうメキシコに到着した。






あんなに不安になっていたのに、いざ現地にたどり着いてみると、






さっそく頼れるのは自分しかいない、自分で動いてどうにかするしかない状況なわけで、






案外しっかりするもので。






到着した日は夜だったので、宿に着くとシャワーを浴びてすぐに寝た。






次の日起きたら、






トラブルーにより連日続いた、寝不足やら長時間のフライトやらで、






私の体は未だかつてないくらい、史上最強にむくんでいた。






足がまるで象みたいで、よくもまあ人の体がここまでむくむものだとたまげたほどである。






ドキドキしながら、さっそく宿を出て、そこらへんをふらふら歩いてみる。






すごい。






空気、におい、目に飛び込んでくる文字や看板、道行く人々。






違う…!






何もかも昨日まで見ていたものと全部違う…!






トラブルーやら時差ボケやら、移動疲れなどで、私の体も頭はアンニュイな感じだったけど、






心の中では相当興奮していた。






ああ…ほんとに来ちゃったんだな。






じわじわと実感が沸いて来た。






すべてが刺激的だった。






さらには、私がメキシコに着いたのは、ちょうど「死者の日」と呼ばれる年に一度のイベントの時期だったようで。






「死者の日」というのは、日本で言うところのお盆の位置づけの行事で、






ハロウィンの時期と被っているため、仮装をして歩いている人たちがいたり、出店が立ち並んでいたりと、雰囲気がとても明るい。






町のいたるところで、ガイコツのオブジェでいっぱいだった。






そのかわいらしい色使いやデザインのラブリーさに、見る度に「大変だぁ~」と心の中で何度も叫び、大いに萌え萌えした。






ああ…なんと良い時期にきたことか。






そこらへんの屋台のタコスを食べて、さらに元気が出てきて、






不安な心は、好奇心へと一気に早変わり。






完全にイケイケのラン&ガン!






オフェンスモードになった。






その次の日には、もうテオティワカンに行っていた。






テオティワカンとは、メキシコシティーから北東50kmに位置する紀元前2世紀から6世紀まで存在した、古代都市で世界遺産となっている。






テオティワカン人の宇宙観、宗教観を表す極めて計画的に設計された都市で、ピラミッドが存在する。






エジプトのギザのピラミッドと驚くほどの共通点も持っている点も、何やら神秘的で興味深い。






テレビで見て、その存在を知ってから訪れるのをずっと楽しみにしていた。






世界遺産の特集といったような、外国をテーマにした番組を見るときは、






「いいなーいつか行ってみたいなー」






というように受身オンリーだったけど、






旅に行くと決めてからは、






「あ、ここもいいな。行こう!」だとか、






「ふふふ、ここ、行くんだよな」






といった能動的モードが加わり、変化した。






テオティワカンは、もちろん素晴らしくて、人生初のピラミッドにドキドキしていたけれども、






それよりなにより、公共の乗り物を乗り継いで、一人で目的地まで行くということにドキドキしていた。






やればできるじゃない!






目的地に初めてたどり着いたときは、素直に嬉しかった。






それもそのはず。






メキシコに到着してから、まず私を襲った不安。






思っていたより、英語が全然通じない。






そんなこともよくわからず来てしまい、






実は私はメキシコ滞在2日目から、オフェンスの押せ押せモードになった反面、






今後の中南米の旅はえらいこっちゃだなーと不安に思った。






当時の私の英語なんざ、旅英語すらままならないような、とてつもなくしょぼいレベルだったから、






いずれにせよ苦労することは変わらないのだけど、






それでも一応実験旅行のときは無理矢理なんとかなった。






しかし、スペイン語はそれ以下だ。






ディスイズアペンどころか、ウノ!ドス!!トレス!!!くらいしかわからない。






ほんとにえらいこっちゃだなーと思った。






それでもなんとかなるものだ。






それもこれも、地元の人々が親切にしてくれたおかげなわけで。






どこに行っても、地元の人々は優しかった。






一人旅だけど、全部一人で気負わなくてもいい。






困ったら誰かに聞けばいいんだから。






メキシコの旅は、自然とそう思わせてくれて、気持ちがずいぶんと楽になった。






だから、あんなに怖かった一人旅も楽しくなっていったのかもしれない。






その土地を自分の足で歩くことによって、






その国の人々をひとくくりで見るのではなく、






もっともっと小さな単位で見ることができるのに気が付いた。






普通にその土地で生活している人は、自分となんら変わらない、本当に普通の人なんだと。






当たり前のことだけど、なかなか気が付けない。






当たり前のことなのに、気が付かないことばかりだ。






そういう発見が、私にとってはとても楽しいことだった。






どの国をチョイスしていてもそう思うのだろうけど、






最初の国がメキシコでよかった。






人は優しいし、ごはんはおいしいし、見所も多くて楽しい。






死者の日に、メキシコプロレス・ルチャリブレ。






カリブの島に、奥深いマヤ文明の遺跡。






テキーラの村や、かわいらしい街並みのグアナファトや、






先住民族が多く住むサンクリストバル・デ・ラスカサス。






本当はたくさんつれて帰りたかった、いちいち萌え萌えさせてくれるラブリーな雑貨たち。






町の雰囲気。






とても旅がしやすかった。






やはり旅は楽しいものだ。






そう思わせてくれたメキシコは、いつまでも胸に残る。






最後にメキシコを旅して痛切に思ったこと。






言葉はなくともコミュニケーションは取れる。






しかしまあなんと窮屈なことか。






言葉の壁は厚い。






ぶ厚すぎる。






勉強しよう。スペイン語。






そう思い、メキシコをあとにした。








◎ メキシコ ◎




時期:2010.10.28-2010.11.28




ルート:メキシコシティ→グアナファト→グアダラハラ→サカテカス→メキシコシティ→カンクン→コスメル島→パレンケ→サンクリストバル・デ・ラスカサス




お金:総額¥119,653(1日平均 ¥3,740)

    食費 ¥12,412

    移動 ¥39,037

    宿  ¥25,588

    観光 ¥3,871

    娯楽 ¥32,223(ダイビングライセンス取得代込み)

    雑費 ¥6,522(WIFI使用料とかSkypeのお金とか)







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