読書は「快楽」にも「苦痛」にもなります。


例えば、自分の好きな作家の本や、

趣味などの興味のある本を読むのであれば、

それは快楽になるでしょう。


逆に、全く興味のない本を無理矢理

読まされたとしたら、それは苦痛でしかありません。


これは、引っ越しにも同じことが言えます。


自分の好きなところに、好きなタイミングで

引っ越すのであれば、ただの楽しい出来事ですが

それが会社の命令であればどうでしょうか。

人によっては、それが苦痛になることがあります。


では、その会社命令の引っ越しを

「イヤだ」と言って拒否する社員がいたら

会社としてどう対応すべきか?


それに関する裁判例があります。


ある塗料メーカーの会社で、

転勤命令に従わなかった社員が懲戒解雇されました。


その社員は、その処分を「納得いかない!」として

裁判を起こしました。


その結果、どうなったか?


会社が勝ちました。

その懲戒解雇は有効と裁判で認められたのです。


さて、この結果について

みなさんはどう思いますか?


「転勤は会社命令なんだから従うのが当たり前」

という人が、もしかすると多いかも知れません。


ただ、その会社命令は必ずしも

「当たり前」ではないのです。


別の裁判例があります。


ある食品メーカーの会社で、

転勤を拒否した社員が裁判をおこしました。


その結果。

会社は負けました。


その転勤命令は無効であるとして、

社員の転勤拒否を認めたのです。


同じような転勤命令で、

なぜこのように結果が違ったのか?


まず、前提条件をお話すると

会社は、会社の都合で転勤命令を出すことができます。

これは法律上、認められていることです。


ただ、それには条件があります。


まず、その内容が

労働協約や就業規則に定められていること。


そして、下記の3点に該当しないことです。


●業務上の必要がない

●転勤命令が不当な動機、目的である

●(転勤命令を受けた)社員に

 著しい不利益を負わせるものではない


つまり、会社の転勤命令は

なんでも認められる訳ではないのです。


後者の裁判例で、

社員の転勤拒否が認められた理由もここにあります。


実はこの社員には、介護が必要な家族がいました。

転勤をしてしまうと、この家族の介護が

非常に困難になります。


これを、裁判所は

「転勤は社員に著しい不利益を負わせるものである」

と判断したのです。


「転勤命令をするのに、その社員の家族の事情まで

 考えていられないよ」

という人もいるかも知れません。


また、

「そんなのを認めてしまったら、転勤命令が

 出せなくなる」

「転勤命令を出せるのが一部の社員に偏ってしまい

 不公平になる」

と考える人もいるでしょう。


確かに、ある程度前まではその考えで良かったかも知れません。

実際に裁判になった例でも、会社の転勤命令を

認めるケースが多かったのも事実です。


ただ、今後もその考えだと非常に危険です。


育児介護休業法でも、育児や介護の状況に配慮するように

という規定が設けられています。


また、社員の意識も「会社の転勤命令は絶対」

では無くなってきています。


転勤命令を出す際には、その事情も含めて検討を

する必要があるのです。


ただ、だからと言って

「転勤命令をなるべく出さないように」

という意味ではありません。


会社の業務上、必要な転勤は当然あるでしょう。


その際の人選や本人への説明は

事情を考慮して行いましょうということです。


また、今後は育児や介護の事情をかかえた社員が

増えることが予想されます。


その事情を考慮した配置転換は

「社員満足度の向上」にもつながります。


その点も含めて、対策を検討していきたいですね。

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※このブログはわかりやすさを最優先しています。

そのため、法律等の一部の例外については省略している場合があります。

また、すべての会社において同じパターンが当てはまるわけではありません。


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