東京の桜と都市化 | 気象予報士のさくらコラム

東京の桜と都市化

 杉江勇次です。


 このところ東京の桜の開花には、
 明らかに都市化の影響か?
 と思われる傾向が出てきています。


 1989年以降(平成元年)で、
 東京の桜の開花した曜日をまとめてみると、
  日(1)、月(1)、火(4)、水(2)、木(5)、金(4)、土(4)
 となっていて、
 週の半ば~後半にかけて多く開花していることが分かります。


 更に、1994年以降に限定すると
 この傾向が一段と顕著になり、
  日(1)、月(0)、火(2)、水(1)、木(5)、金(4)、土(3) と、
 過去16年間のうち、
 実に12回もの開花が木金土の3日間に集中しています。

 もちろん単なる偶然の可能性もありますが、
 もしかしたら都市化と深い関係があるのかもしれません。
  
 東京などの大都市では人間活動のサイクル
 (自動車の排熱やオフィス街の稼動など)の影響で、
 平均すれば、週が明けるとともに気温が高くなり、
 木曜~金曜頃にピークを迎えます。

 そして、日曜頃は都市部での熱の発生が最も少なくなり、
 一番気温が下がる傾向にあるのです。
 桜はこの影響を受けているのかもしれません。
 
 桜にしてみれば、
 いつ咲いてもおかしくない状態(開花直前)になった時、
 少しでも暖かい時(週の後半)に咲きたいと思うのは
 当然かもしれないですからね。




 
 さて、今年の予想に少し触れると、
 3月後半に木金土となるのは、
 18日、19日、20日及び、
 25日、26日、27日。

 そして、今回(第一回)発表になった東京の開花予想日は、
 3月24日、これは水曜日!

 ちょっと微妙なところですが、
 開花がまだ2ヶ月ほど先なために、
 今後の気温経過によっては、
 予想が多少前後する可能性も考えられます。
 
 果たして、東京の桜は、
 今年も都市化と桜の法則通りに進むのか?
 はたまた、独自路線を突き進むのか?
 
 今後の予想も含めて、
 皆さん注目してみて下さい。


Photo by Kazuya Takahashi