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岩手県立美術館のグランドギャラリー。
このカーブと直線の組みわせがすきだ。



きょうは午後に美術館ボランティアによる解説が2つありまして、
常設展示室の解説と萬鉄五郎室の解説の2本立てを聴いてきました。

生憎のお天気だったのですが、静岡からと秋田からのお客様が参加してくださってよかったなあと。

やっぱりよそから足を運んだお客様には、有難いなあという気持ちがつよくなります。

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常設展示室では、新収蔵品を中心に、

「さわってみたい」をテーマにしたトークで、いつも不思議なのは、

解説を聴いている時って、自分ひとりで絵と相対しているときより絵に入り込めるんですよね。


絵と対峙して会話するときは、頭の中に言葉がぎっしりつまっているんだけど、

(絵の解説パネルや自分の感想などをメモするせいもあるけど)

解説を聴いているときは、純粋に作品だけが入ってくる…私だけでしょうか。



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新収蔵品の吹田文明さんの版画についても、解説を聴いていると版画の中に深く吸い込まれていきそうで。

こないだ北斎の「神奈川沖裏浪」の主線を擦るプログラムを見たので、

版画について前よりはわかってきたことも引き込まれた一因かな。

知識がなくても作品は楽しめるかもしれないけれど、知識があればより深く味わえる気がします。

解説に難解な専門用語や背景などを語らず、画面から五感が受け取る感じを表現しようとしているのが伝わる解説でした。

同時に自分はけっこう、すきな作品や作家はすきだけど、常設展でもスルーしている作品がけっこうあるなあと思いました(笑)。


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もうひとつは私もやっている萬鉄五郎室の解説。

静岡からのお客様は新幹線の時間があってお帰りになりましたが、

ずっと聴いてくださっているご婦人がいて、あとでいろいろ伺ったら秋田からの方で、

ほんとうに美術がすきで、いろいろ見てあるいている方でした。

きょうの萬鉄五郎室は、ブロックごとにまとめられている展示で、

東京美術学校(いまの芸大)時代の裸体画、

美術学校卒業後から土沢へ戻るまでの近代西洋美術史を体現したかのような、ガラガラ画風を変えた自画像、

土沢時代の風景画、

再度東京へもどってからの日本のキュビスムのひとつの到達点をみせた作品、

晩年(といっても41歳5ヶ月なので早すぎる晩年なんですが)の作品について、

萬さんが好きなんだなあ、というのが伝わっくる解説でした。


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岩手県立美術館を設立しようという声は戦後すぐからあったのですが、実際に建てられたのは2001年10月(来年は開館15周年です!)でして、


岩手県立美術館のコレクションは岩手県立博物館所蔵の美術作品がベースになっています。

少し前の図録などをみると、所蔵が岩手県立博物館になっていて、

はじめは何で?と思っていましたが、そういう背景もだんだんわかってくるとおもしろいです。

きょう解説してくれた方は博物館で働いていらしたので、萬さんの解説もプロなのですが、


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萬さんの絵について、分析するというより、こういう描き方をなぜしたんだろう、という視点があって、そこに共感する。

一緒に解説に参加した、秋田からきたご婦人が、萬さんが亡くなった年に生まれたと言えば年齢がわかるでしょう、とおっしゃったのが二つの意味でインパクトがあったなあ。

萬さんの逝去は昭和2年。え!87歳ですと?


そして、年齢に画家の没年をもってきたところ。

秋田の美術館のみならず、十和田市現代美術館、萬鉄五郎美術館など、ほんとうによく見ておいでで、

岩手県立美術館も4度目なのでした。

これから「キリコ展」を見てから帰る、とおっしゃっていて、それがすごく印象的でした。


あんなシルバーレディに私もなりたい。