岩波少年文庫。もちろん、抄訳なのですが、訳者が
豊島与志男なので…。
20年くらい前に読んだ記憶はありますが、
それ以上に記憶に残っている場面は、たぶん、
小学校のころ読んだ、「ああ無情」でした。
子供が本を読む場合、やはり子供の境遇にどうしても
ひかれるもので、
5年生だったんですが、主役はコゼット、のつもりで
読んでいた気がする。なんかたぶん、世界中にある、、
継子いじめ譚というか、灰かぶりのひとつとして好んでいた
んだと思う。
子供って、基本マゾですから。
コゼットが包丁を人形にみたてて遊ぶところとか、
ジャンバル・ジャンが大きな人形をプレゼントして、喜ぶ場面とか、
泉に水を汲みにやらされて、そこでジャンバル・ジャンと出会うシーンは、
よーく考えてみると、継子いじめ譚のあるバージョンに似ている気がします。
すなおで気立てのいい妹の唇からは薔薇の花や宝石が、
根性のまがった姉娘の唇からは、蛇や蛙や、泥や石が、
そういう童話があったでしょう?
あの妹も泉に水を汲みにやらされたんでした。
コゼットの母、ファンティーヌが長い見事な金髪を売る場面は、
「若草物語」のジョーが髪を切るくだりや、「赤毛のアン」が緑色に
そまった髪を泣く泣く切るエピソードとおなじように受け止められていました。
私の中では。
ちなみに、大人になったコゼットにはあまり魅力を感じられない私です…。