佐藤さとる 偕成社
佐藤さとるの童話が好きだった。
箱を集めるのがすきな男の子や、なぞめいた箱庭を作る少女、
大きな木がほしい、と、お父さんと語る少年、編み物で飛行機をつくってしまうおばあさん。
西洋の童話ほどかけ離れた世界ではなく、
日本の昔話や民話のもつ、貧しさの翳もなく、
佐藤さとるにしか描けない、小さな世界が好きだった。
その佐藤さとるが、子ども時代好きだったという、「家なき娘」。
「家なき子」の姉妹編で、作者もおなじマローながら、
佐藤さとるが好きだったのは(そしていまでも好きなのは)「娘」の
方だと言う。
じつは私も十歳で読んだときから、ずっと、同じ思いだったので、
佐藤さとる、万歳!の気持ち。(つづく)