【独偏ベストテン 31-1】 とんねるずのシングル作品 (6~10位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 一つ前のアーティスト別独偏ベストテンでは、’70年代女性アイドルの浅野ゆう子を取り上げました。今度はちょっと趣向を変えて、’80年代の男性非アイドルはどうかなってことで、今回のお題は“とんねるず”にしたいと思います


 ちょっとだけ心配なのは、彼らの場合、読者の方々の間でもハッキリと好みが分かれそうな予感(悪寒
がするところでしょうか・・・ でも、いわゆる“企画”としては相当に工夫の跡が見えましたし、楽曲の面から言ってもなかなか質の良い作品が多かったように私は思います。ということで、本業こそ“歌手”ではない彼らですが、今回めでたく独偏ベストテンが成立したというわけなんですねぇ

 石橋貴明木梨憲武は、’70年代後半の高校時代からピンで様々な素人参加番組に出てそれなりに注目されていたらしいんですが、私にはこの時代の彼らの記憶がほとんどありません
。リアルタイムで覚えているのは、彼らがコンビ“とんねるず”を結成して臨んだ「お笑いスター誕生」(1980年頃)ですね。ただねぇ、私が鮮明に覚えてるのはとんねるずより、警官ネタの“アフロヘア”小柳トム(バブルガムブラザーズのブラザートム)とか、筋肉漫談のぶるうたすとか、法律漫談のミスター梅介とか、キーボード漫談の牧田博とか(←しつこいのでそろそろイエローカードか)ばっかで、とんねるずがどんなネタやってたかはあまり・・・(さすがにこの辺りの有象無象のメンツと並ぶと、とんねるずがマトモに思えてくるから不思議ですね)。

 閑話休題。とにかく彼らは「お笑いスター誕生」で、苦労しながらも1982年に10週勝ち抜いてグランプリを受賞したんですね
。その後はお笑い芸人として順風満帆に・・・とはいかないのが今となっては面白いところなのですが1984~85年頃にかけてようやく、「オールナイトフジ」と「夕焼けニャンニャン」で大ブレイク この両番組に関わっていたのがかの“秋元康大明神”で、とんねるずが歌うシングルの9割は彼の作詞によるものです。つまり、石橋&木梨にとって、秋元康は足を向けて寝られない“神様”のような存在ということになるでしょう

 その後の2人の活躍については、あえて説明の必要もないと思うので、さっそく独偏順位の発表に移りたいと思いま~す
。今回もいつもと同様に、とんねるずがこれまでにリリースした全シングルA面曲(23作品)の中から、私の独断と偏見によって10作品をピックアップしてみました(注: 誠に勝手ながら、ANDY’S野猿矢島美容室など別ユニットとしてリリースされた作品は除きました・・・m(_ _ )m)。

 なお、記事の方は、6~10位、1~5位、資料編の全3回にわたってお送りする予定です
それでは10位から6位まで一気にどうぞ~


第10位 ガラガラヘビがやってくる 【オススメ度★★★】
作詞:秋元康、作曲:後藤次利、編曲:後藤次利
[1992.1.24発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数140.9万枚]


 1981年8月の歌手デビューから数えて18作目にして初のオリコン1位獲得作品で、彼らにとって唯一のミリオンセラーとなった「ガラガラヘビ・・・」が第10位に滑り込みました。テレビの歌番組で酸素缶を片手に大暴れする2人が懐かしいこの曲は、1992年のオリコンシングル年間ランキングの第6位でもあるのですが、この曲のすぐ下の順位には、槇原敬之チャゲ&飛鳥今井美樹中島みゆきB’zと、錚錚たるアーティストが・・・本業の歌手を差し置いて失礼な感じがいかにもとんねるずらしくて笑えます。曲の中で、「踊るポンポコリン」のミリオンセラーを意識した ♪ タッタタラリラ~ の“やりたい放題”っぷりも、彼らの持ち味がよく出ていて好きですねぇ

 前作「情けねぇ」のシリアス路線が74万枚の大ヒットとなって、まさかまさかの「日本歌謡大賞」を受賞
普通ならここらで守勢に回るところだと思うのですが、子供ウケを狙ったコミカル路線へと180度方向転換してミリオン達成・・・ この辺が秋元康の非凡なところで、ここは素直に賞讃したいと思います。まぁでも、「お子様仕様に見えるけど、実はエ□歌詞なんだぜー」と言いたげな秋元大明神の“ドヤ顔はあんまり見たくありませんケドね



第9位 人情岬 【オススメ度★★】
作詞:秋元康、作曲:後藤次利、編曲:高田弘
[1986.10.25発売; オリコン最高位2位; 売り上げ枚数11.4万枚]


 9作目のシングル。タイトルの人情岬=納沙布岬ということで、題材としては「襟裳岬」の向こうを張った恰好ですが、曲の方はやっぱり「北酒場」が下敷きになっているんでしょうバックで鳴りまくる“お囃子隊”のチャカポコチャカポコ・・・のすっとぼけぶりといい、オバちゃんの“合いの手”といい、彼らお得意の“おちょくり”モード全開で、聴いても歌っても楽しそうな作品です

 それにしても、後藤次利クンはどんなジャンルの作品も小器用にこなしちゃうんだなぁと思わず感心
(もっとも私にとっては、当たりの確率がかなり低いのが玉に瑕なのですが)。彼の場合、この小器用さが若い女のコ相手にもいかんなく発揮されるんでしょうねェ・・(←とんだ言いがかり)。



第8位 ガニ 【オススメ度★★】

作詞:秋元康、作曲:後藤次利、編曲:後藤次利
[1994.12.7発売; オリコン最高位6位; 売り上げ枚数16.1万枚]

 第8位に入った22作目シングル「ガニ」は、とんねるずと秋元・後藤コンビが好き勝手なことをやりまくった印象が非常に強いシングルです。さすがにこれは私でもちょっと悪ノリが過ぎるような気がするほどですが(でも結構好きなんだからしゃあない)、まぁ、とんねるずの持ち味はもともとこんな感じですから・・・。とにもかくにも、好き嫌いがハッキリ分かれる“問題作”ではないかと思います。

 YouTubeを聴いてもらえれば、曲のテーマは分かるはずなのであえてここには書きません
前半の暴走部と後半の昇天部のコントラストがバカっぽいのにメリハリが利いていて意外と効果的だったりして・・・

 それにつけても、ラスト部分で波の打ち寄せる音の中にガニガニと聴こえるつぶやきは、一体なんなんでしょ
。やっぱり「カニ」を表現してるのか。・・・いやいや、これはきっと秋元大明神の”仕掛け”なのであって、「カニ≒ガニ」の音韻連想もどきですべてをウヤムヤに誤魔化そうとする意図が見え隠れしちゃいないか・・・(←ん 妄想)。この“仕掛け”に引っかかるのはそれこそ大明神の思うツボ。本来はお下劣なテーマの作品なんだってコトを忘れちゃいけません



第7位 おまえが欲しい 【オススメ度★★★】
作詞:秋元康、作曲:後藤次利、編曲:後藤次利
[1996.2.12発売; オリコン最高位12位; 売り上げ枚数8.9万枚]

 彼らにとって23作目にして現段階での最新シングル「おまえが欲しい」が第7位にランクインしました。とんねるず人気のピークが過ぎてから発売されたシングルということで知名度こそ低い作品ですが、堂々と謳い上げるような壮大なスケール感がgood 特にサビ部 ♪ おまえが欲しい 今すぐに せめて夢の中で この俺の両手に 抱いて奪いたい~ あたりのメロディなんか、かなりハマってまーす

 とんねるずと言えば、スピード感があって傍若無人なナンセンスソングというイメージが強いのですが、意外なことにバラードが結構イケると思うんですよね。もちろん、木梨憲武の歌唱力あってこその話ってことですが



第6位 炎のエスカルゴ 【オススメ度★★★】

作詞:秋元康、作曲:後藤次利、編曲:後藤次利
[1988.2.25発売; オリコン最高位7位; 売り上げ枚数8.9万枚]

 14作目のシングル。日清焼きそばUFOのCMソングでもあったこの「炎のエスカルゴ」は、ちょうど1年前にリリースされた「嵐のマッチョマン」の中で口からデマカセに言っていた曲名をそのまま歌にしてしまったという、ナンセンスソングの典型みたいな作品です。

 カラムーチョとか、ラ・バンバとか、いかにもそれっぽく聴こえる“おバカ”フレーズがてんこ盛り
で、どちらかと言うとアドリブを含めた歌詞の方がポイントが高い作品ではないかと。・・・とは書いたものの、まともな歌詞は下に挙げたたった3行だけで、あとは ♪ ア~イアヤヤヤ~イ・・・ ばっかでゴリ押ししただけという説もありますが

   ♪ おまえの瞳に愛のエナジー
   ♪ 熱い接吻は燃える火の海
   ♪ 二人の誓いは遠いエルパソ


 曲の方もインパクト十分でノリも良くって個人的にはかなりお気に入りなんですが、いかんせんメロディが単調な繰り返しなので賛否両論かも・・・

 それではこの辺で、 ♪ 去り~の~  ってことで




  ・・・さてっと。今日の記事はここまでにしておきましょう。今回の独偏では、いつもと比べるとそれなりに売れた作品が並んだように思うんですが、いかんせん“とんねるず”は歌手が本業じゃないですからねぇ
。それだけに、読者の皆さんにとって果たして馴染みがあったかどうか

 次回の記事ではいよいよ上位5曲を発表しますので、もう少々お待ち下さいね
。それではまたお逢いしましょう~