【独偏ベストテン 18-2】 小泉今日子のシングル作品 (1~5位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 

 お待たせしました。キョンキョンのシングル作品を対象とした「独偏ベストテン」、さっそく上位5曲の発表いってみましょう。

第5位 迷宮のアンドローラ 【オススメ度★★★★★】
作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:船山基紀
[1984.6.21発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数37.7万枚]


 第5位の「迷宮のアンドローラ」は、キョンキョン10作目のシングル。アイドルとしては当時まだ珍しかったプロモーションビデオ(PV)を気合い入れて製作したり、長嶋茂雄にプロデュースを依頼して話題を提供するなど、前作「渚のはいから人魚」で獲得した人気をさらに固めるべく、随分気合いの入ったプロモーション活動が展開されていたのがとても印象的な作品でしたね

 で、肝心の作品の方はと言うと、“アイドルテクノ歌謡の嚆矢”として知られる名作「ロボット」(榊原郁恵)を生んだ「松本-筒美-船山コンビ」の黄金ラインナップ、つまり、「これでコケたら打ち首モン」ってなくらい盤石な態勢で臨んだだけあって、詩も曲もひっくるめて見事なテクノ歌謡に仕上がってます。従来の「テクノ歌謡」というとどうしても「音の軽さ」が気になることが多かったのですが、この曲ではサウンドエフェクト(SE)をこれでもかというくらい駆使することで、音に厚みを出すことにも成功。メロディラインも変化に富んでいて私好みですし、とってもいい感じです

 それと、この曲で私がずっと気になってるのは(・・・あ、別に悪い意味ではないんですよ)、やはりこの部分の歌詞ですねぇ。
♪ “アンドローラ” 好きだよと言って 何度も宇宙遊泳させたくせして
  “アンドローラ” お願いよ一緒に 銀河に連れて行ってほしい


 単に「宇宙遊泳させた」だけなら、言葉の持つ本来の意味に解釈しておしまい!なんですよね。・・・ところが松本隆はそこに “く・せ・し・て” を付けてきたこれで「宇宙遊泳」の示すところの意味が一気にエ□エ□な方向にシフトしちゃってるんですけど、お分かりでしょうか(詳しい説明は自粛しときますので、皆さんの方で想像して下さいネ)。うーむ、さすが松本センセ、恐るべきテクニックと言えましょう・・・




第4位 スマイル・アゲイン 【オススメ度★★★★★】
作詞:川村真澄、作曲:井上ヨシマサ、編曲:土屋昌巳
[1987.7.1発売; オリコン最高位2位; 売り上げ枚数15.3万枚]


 第4位には、7/5の「井上ヨシマサ作曲シングル 独偏ベストテン」で第1位になった「スマイル・アゲイン」が入りました。井上ヨシマサくんが「ノスタルジー」と「メルヘン」の要素をふんだんに詰め込んで仕上げた極上の歌謡ポップスということで、私の好みにバッチリはまった作品です(もう少し知りたいという方は、是非7/5の記事をご覧下さい)。

 ところが何とこの曲、熾烈な争いとなった今回はベスト3に入れないという結果となってしまいました(・・・って、お前が勝手に決めたくせに何言ってんだよー、なわけですが)。いや、つまり「キョンキョンのシングルは、やっぱ名曲揃いだわ~」ってことが言いたかったわけです




第3位 渚のはいから人魚 【オススメ度★★★★★】
作詞:康珍化、作曲:馬飼野康二、編曲:馬飼野康二
[1984.3.21発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数33.1万枚]


 第3位の「渚のはいから人魚」は、シングル9作目にしてキョンキョンにとっては初のオリコン1位獲得となった記念すべき作品です

 やはりこの曲では、
♪ 渚のはいから人魚 キュートなヒップに ズッキンドッキン
  渚のはいから人魚 まぶしい素足に ズッキンドッキン

の部分が特筆すべき点だと思います。「ズッキンドッキン」というフレーズを持ち出した康珍化センセのアイデアも秀逸なのですが、このフレーズに馬飼野康二センセが当てたメロディーが、アイドル歌謡としてはちょっと想像を絶する冒険ともいうべき代物・・・(←ほめてます)。しかし、これをキョンキョンがこれ以上ないくらい完璧に「可愛らしく」歌い上げた結果、「後世に語り継がれるべき名作アイドル歌謡」のステージへと巧みに昇華させているのです。お世辞にも歌は上手とは言えないのに(失礼!)、こういうのやらせるとキョンキョンは、ホント上手いんですよねぇ、これがまた




第2位 ひとり街角 【オススメ度★★★★★】
作詞:三浦徳子、作曲:馬飼野康二、編曲:竜崎孝路
[1982.9.21発売; オリコン最高位13位; 売り上げ枚数15.4万枚]


 第2位にランクインした「ひとり街角」は、シングル3作目にしてファン待望の「初のオリジナル作品」でした。ただし、この次の「春風の誘惑」もそうなんですが、オリジナルとは言ってもまだまだ‘70年代のビクター路線を重く引きずった「古いタイプの歌謡曲」なのです。

♪ 明日もあなたと さりげない気持ちで
  微笑み合うと微笑み合うと 知っているけど
  これきりこの恋 午後の陽射しの向こうに
  消えちゃいそうでこわい 揺れる揺れる揺れる街角


 要するにこの歌詞の主人公は恋にとっても臆病で、現在進行形の彼とのことも不安でたまらないんですね(ま、キョンキョン自身は絶対こんなタイプではないと思いますが)。こういう「つかず離れず」の恋愛模様は私が十代の頃(昭和50年代あたり)は結構ありがちなパターンで、じれったい段取り(苦笑)を経て、ごく一部の“カップル候補”が「両想い」に発展していく・・・というのが普通だったと思うんですけど、きょうびのオコチャマのカップル成立プロセスはこれとはだいぶ違うのかな・・・

 ・・・と、そんなちょっと懐かしい時代の心象風景を見事に描いた三浦センセの詞に、イントロからエンディングまで終始切迫するようなアップテンポのマイナー調サウンドがとても良く調和して、最後まで飽きさせない味わいの作品になっているのが実にお見事
 そして私にとっては、第1位の曲と並んで、キョンキョンのシングルでは今までで最もヘビーローテーションした作品。そんなこんなで第2位と相成ったわけです



第1位 半分少女 【オススメ度★★★★★】
作詞:橋本淳、作曲:筒美京平、編曲:川村栄二
[1983.7.21発売; オリコン最高位4位; 売り上げ枚数21.9万枚]


 栄冠(?)の第1位は、彼女の6作目のシングル「半分少女」でした第4位の「スマイル・アゲイン」もそうなのですが、やはり私はノスタルジックなテイストの曲に滅法弱いみたいです。これまで私のブログ記事を熟読して下さっている方は、今回の1位を予想するのは案外簡単だったかも知れませんね・・・(ぽりぽり)。

 のっけから、「ひとつぶの涙」(シモンズ日高のり子でも可))を連想せずにはおれないAメロで始まるこの曲ですが、すぐに別の作品と判別可能に(当たり前か)。・・・とはいえ、両者の根底に横たわるノスタルジックな雰囲気はほぼ同一のものと言ってよさそうです

 さて、この曲にも、この辺り
 にちょっとドキドキする歌詞がありまして・・・
♪ 肩と胸とそして 髪が触れ合うから そこだけが大人びてくるの Hold me tight
 橋本淳センセと言えば、やはり’70年代がメインの活躍時期だった作詞家だということもあって、同じ「色っぽい表現」をするにしても、「迷宮の・・・」の松本隆センセあたりと比べると、随分とベーシックで直截的な手法によっていることが分かりますね



 

 

 ・・・さて、「wishy-washyが選んだ小泉今日子のシングル 独偏ベストテン」の発表は以上で終わりですグッド!。なぬ、今回のレビューは「エ□歌詞」の入ってる曲ばっかり意識的に選んだだろう・・・だって? いえいえそんなことはないんですよ。例えば、「ひとり街角」のB面「Teenage どりーむ」なんか見ても、冒頭からいきなり、♪ 早すぎるのは Year Year 遅すぎるのも Non no non・・・ ですからねぇ(ちなみにYear Yearは「イヤイヤ」に聴こえる仕掛けになってますにひひ

 

  要するにキョンキョンってのは、もともと“その手の(どの手だ)”歌詞の曲を歌わせたくなるようなタイプの娘だったってことです(この辺の論理展開、ちょっと無理があるか・・・?ま、いっか。そして彼女の方も、「いやーん、こんなの歌えなーい」なーんていう“タマ”のはずもなく(爆)、次々と難なくハードルを越して男のコやオヤヂを大いに喜ばせる恋の矢。さらに彼女が「元ヤン(自己申告による)」ってことも、きっと一般大衆の下世話な思考回路に直接作用して劣情をかき立てるのに一役買ってますな。よう分からんけど。いずれにせよ、こんなところにもキョンキョンのアイドルとしての「強さ」と「したたかさ」が窺えるのでした・・・ひらめき電球

 

 いやー、今回も長々と語ってしまいました。ここまでお付き合い下さった皆さん、どうもありがとうございました!! キョンキョンのシングルはヒットしたものばかりなので、誰にでも好きな作品が一つや二つあるのではないでしょうかニコニコ。コメント欄を利用して、皆さんのFavorite Song(s)をぜひ教えて下さいねグッド!

 

  そうそう、大事なお知らせをもう一つ。今回、図らずも圏外になってしまった作品などについて少しばかりexcuseするため、次回の記事は 【独偏ベストテン Vol.18-3】 小泉今日子のシングル作品 (補足&資料編) と銘打ってお送りしたいと思いますニコニコ

 

 それではまた~パー