誰しもが通る食の関門と言ったら大げさだが、ハンバーグの誘惑に取り憑かれた人は少なくないだろう。
周囲を見て「ハンバーグなんて子供の食い物だ。俺は男だステーキだ!」と言う人に限って隠れてハンバーグを食べている様だ。
確かに、ハンバーグはステーキに比べて外れ率が低い。
財布の中にちょっとだけお金があって、よし今日はステーキだと意気込んで頼んだら硬かったとか、そうなると頼んだ自分に腹が立つ。
しかしハンバーグはそれが極めて少ないのである。
ところがである・・ハンバーグにもいろいろあって、高級店のハンバーグほどその王道から外れている様な気がしてならないのが多いのだ。
王道と言ったって表題にもある様に自分で勝手に決めつけているだけの話なのだが、まずソースはドミグラスソース、これだね。
理由は簡単な話で、ソースだけでもご飯が進む。
ハヤシライスの源なのだから進むのも当然なのだが、出来ればソースが溢れんばかりになっている方が当然うれしい。
ある店があって、そこはご丁寧にもハンバーグの全面だけにソースをかける。
当然ご飯にソースをくっつけるとソースが足らなくなる。
牛丼にはつゆだくという極めて便利な言葉があるそうだが、ハンバーグにもぜひ導入して欲しい。
それと欠かしてはならないのが半熟目玉である。
目玉のオヤジではない。
これを如何にして食べるか、いきなり潰す派と大事に黄身だけにしてご飯に乗せて食べる派といる。
中にはナイフに黄身を乗せて運動会のスプーンレースよろしく口に運ぶ人もいる。
この焼き加減が実に難しく、固くなり過ぎては意味が無いしかと言って生過ぎると今度はハンバーグ自体が冷えてしまう。
この左端の様な、実に微妙な火の通りかげんこそ腕の見せ所なのかもしれない。
普通ステーキ系は焼き立てを賞味するのが常だが、ハンバーグはステーキとは名乗るが煮込んであっても良いのがまた良い。
焼いたのをソースに漬けてあって軽く煮込み状態か、焼きながら仕上げに少し煮込むか、そのいずれでも良いが、ソースあってのハンバーグだなと云うのが率直なところか。
そういう訳で、今夜の食事はハンバーグにしよう。