幸之助の株式立国論
日本経済新聞 一目均衡
「国民のすべてがどこかの会社の株主であるというようなところまでもってゆければ・・・・」。
パナソニックの創業者である松下幸之助は1967年、「国民総株主化」を求める論文を公表した。
その先にある国のかたちはこうだ。
株主は産業を発展させる使命感を持ち、見込んだ企業の株を永久投資のつもりで持つ。
経営者は株主の叱咤(しった)激励を受け入れる。政府はそれらの環境を作る。産業が興隆し社会が繁栄すれば国民全体が豊かになるーーー。
企業と株主の対話を軸とする壮大な構想だが、経営者が多様な衆知に触れるためにも、発展の恩恵が人々に行き渡るためにも株主の裾野を広げる必要がある。戦後22年。財閥解体で株が分散された後だけに、幸之助には「株式立国」へのチャンスと映った。
48年後の今、日本がそんな姿になっていると言い切れる人はいないだろう。幸之助自身も論文発表の6年後、理想から遠ざかったことへのいらだちを表明している。「個人大衆株主が優遇されていない」と。
企業の配当姿勢も、少数株主への税制面の配慮も物足りない。実質的な配当利回りが低ければ、目先の株価変動でもうけようとする投機家しか株を買わない。つまり、企業も政府も長く保有する株主に喜んでもらう発想を欠き、企業と株主の健全な対話ができていないと批判したのだ。
長期的視点を失う落とし穴には、「株の国」自任する米国ですら何度も陥っている。
2001年に暴露したエンロン事件には、株式市場の短期的な収益圧力に追われて経営者が不正会計に手を染めた結果だ。
米国は04年、産学協同で国の競争力を高めるための提言者「イノベート・アメリカ(通称パルミサーノ・リポート)」をまとめた。
同書は株式市場発の短期主義が、企業や国の長期的成長の障害になりかねないと警告している。それでもウオール街の金融機関は、目先の株価や収益の競争に集中して住宅バブルを膨らませた。その末路が08年のリーマン危機だ。市場を舞台に長期的な視点を堅持するのは、必要と分かっていても難しい。
67年の幸之助論文「株式の大衆化で新たな繁栄を」は今、市場関係者や政策当局者の間で静かに読み直されている。論文が株主、経営者、政府に求めた内容と最近導入した措置が、重なるように見えるからだ。
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投資家が企業に物を言うための「ステュワードショップコード」、企業に株主の声を聞くよう求める「企業統治指針」、そして幅広い個人に投資を促す少額投資非課税制度(NISA).株の持ち合いが減り、株が分散する条件も整った。
焦点は、これらが生かされて幸之助が目指した株式立国への道を進むのかどうかだ。
成功すれば世界的な注目を集めるだろうし、再び挫折すれば次の機会はいつ来るのか分からない。
半世紀ぶりに訪れた日本経済の岐路である。
以上
NISAの制度は、安倍政権の株式相場を安定さす政策で良かったと思います。
現状は海外投機家の大量買い越し状態が続き、高値を更新していますが、株式相場を安定させる為にも、株式投機を減らし、株式投資を増加させる為にも、企業は株主に目を向けた還元率を示し実行して欲しいですね。
税理士ゆーちゃん より
最後まで読んで頂き、有難うございます
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