請求人が負担すべき給与を関連会社が負担したとは認められないことから、請求人に受贈益が生じていないとした事例
《要旨》
原処分庁（税務署）は、請求人の関連会社（H社）が請求人の取締役に対して「褒賞金」の名目で支払った金員（第一金員）は、賞与として経理処理されているものの、
① 当該取締役には当該関連会社の従業員等としての勤務実態はなく、
② 当該取締役が当該関連会社に対し何らかの役務提供等を行ったという事実も認められないことから、請求人が支払うべき取締役に対する給与を当該関連会社が負担したものである旨主張する。
国税不服審判所は、
① 当該取締役が当該関連会社に対して何らかの役務提供をしていないことは推認できるものの、
② 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によって認定できる一切の事実をもってしても、
③ 第一金員が当該関連会社の取締役の地位にあることを理由に支払われたとまでいうことはできない。
④したがって、請求人が負担すべき給与を当該関連会社が負担したとは認められないから、
請求人に受贈益が生じたとする原処分庁の主張は採用できない。
一方、請求人は、
① 請求人の各関連会社（L社及びK社）が請求人の各取締役に対して「永年勤続賞金」又は「褒賞金」の名目で支払った各金員（第二金員、第三金員及び第四金員）は、
② 当該各関連会社と当該各取締役との間で交わした合意書（本件各合意書）に基づき、営業指導や情報提供を行ったことに対する対価として支払ったものであり、
③ 請求人が支払うべき給与を当該各関連会社が負担したものではない旨主張する。
しかしながら、
① 本件各合意書は調査時に提出されておらず、調査時におけるその存在又は成立に疑義があり、信用できないこと、
② 当該各取締役が提供した役務は、請求人の業務の一環としてなされたものであって当該各取締役が個人として提供したものとは認められないこと及び
③ 当該各金員の支払が当該各取締役の請求人における永年勤続表彰に関して支払われていることなどを総合すると、
当該各関連会社において当該各金員を支払う特段の理由はなく、請求人が支払うべき給与を当該各関連会社が支払ったものと認めるのが相当である。
したがって、請求人には受贈益が生じたものと認められる。
平成２３年８月２日裁決
税理士ゆーちゃん より
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