資産税⑤ 取得費について②
相続により取得した不動産は、被相続人が実際に取得した時期と価額を引き継ぎます。
※相続税の申告書の提出期限の翌日から3年を経過する日までの間に売却した場合には、一定の計算した額を取得費として加算することができる。
参考
この特例は、相続により取得した土地、建物、株式などを、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。
(注) この特例は譲渡所得のみに適用がある特例ですので、株式等の事業所得、雑所得に係る株式等の譲渡については、適用できません。
(2) 特例を受けるための要件
イ 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
ロ その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
ハ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
(3) 取得費に加算する相続税額
取得費に加算する相続税額は、次のイ又はロの算式で計算した金額となります。ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。
イ 土地等を譲渡した場合
土地等(注) を譲渡した人にかかった相続税額のうち、その者が相続や遺贈で取得した全ての土地等に対応する額
<算式>
ただし、既にこの特例を適用して取得費に加算された相続税額がある場合には、その金額を控除した額となります。
(注)
1 土地等とは、土地及び土地の上に存する権利をいいます。
2 土地等には、相続時精算課税の適用を受けて、相続財産に合算された贈与財産である土地等や、相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した土地等が含まれ、相続開始時において棚卸資産又は準棚卸資産であった土地等や物納した土地等及び物納申請中の土地等は含まれません。
ロ 土地等以外の財産(建物や株式など)を譲渡した場合
建物や株式などを譲渡した人にかかった相続税額のうち、その譲渡した建物や株式などに対応する額
<算式>
【参考】
平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した財産を譲渡した場合の算式は、土地等又は土地等以外の区分にかかわらず、次のとおりとなります。
<算式>
2・所得税法60条(贈与等「により取得した資産の取得費等)
居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
前条第二項の規定に該当する譲渡
居住者が前条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。