国税庁タックスアンサー49  有価証券の評価損が認められる場合⑤  Q&A ④ | 税理士こーちゃん・たかちゃん・だんちゃんと男女7人の○○な話

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◆ 株価の回復可能性の判断基準に該当した場合の評価損否認金の取扱い ◆



[Q4]

当社は、前事業年度において、長期保有目的で所有する上場株式の前事業年度末時点での時価(株価)が帳簿価額の50%相当額を下回っていたことから、会計上減損処理を行いました。

ただし、税務上の処理については、株価の回復可能性を判断した結果、合理的な判断基準に該当しなかったことから、その会計上減損処理した金額を申告調整により所得金額に加算して申告を行っています。


ところで、この上場株式の株価は、当事業年度末時点でも帳簿価額の50%相当額を下回っていますが、税務上の株価の回復可能性を改めて判断した結果、合理的な判断基準に該当したため、当事業年度において評価損として損金算入できる状況にあると考えています

このような過去の事業年度における評価損否認金のある上場株式について、その後の事業年度において、損金算入できる合理的な判断基準に該当することとなった場合には、損金算入の処理や損金算入される金額についてどのように取り扱えばよいのでしょうか。



[A]
評価損否認金の額(過去の事業年度において有税で減損処理した金額をいいます。)のある上場株式について、その後の事業年度で、税務上評価損を計上できる状況になった場合には評価損否認金の額も含めて、その事業年度の損金の額に算入することが認められます。なお、この場合の具体的な取扱いは、次のとおりとなります。


① 評価損否認金の額については、その事業年度において申告調整により損金の額に算入した金額を、評価損として損金経理したものとして取り扱うこととされています。



② 評価損として損金算入の対象となる金額は、その事業年度末における帳簿価額と株価との差額となります。


(注)税務上、評価損として損金算入される金額は、あくまでも損金経理した金額に限られますので、会計上減損処理していないものは含まれません。




[解説]
評価損否認金については、過去の事業年度において評価損として損金経理が行われていること、会計上、一旦損金経理されたものについて改めて評価損を計上させる必要性も認められないこと等の理由から、実際に税務上の合理的な判断基準に該当することとなった事業年度において、申告調整により損金の額に算入した場合には、この処理をもってその事業年度において評価損として損金経理したものとして取り扱うこととされています(法基通9-1-2)。


この場合の税務上の合理的な判断基準に該当することとなった事業年度における損金算入額は、その事業年度末における株価を基礎として算定することとなりますので、その事業年度末の帳簿価額と株価との差額に達するまでの金額となります。


例えば、当事業年度末の株価が、直近の減損処理による会計上の帳簿価額を上回るものの依然として帳簿価額の50%相当額を下回っている場合は、当事業年度末の帳簿価額と株価との差額が損金算入の対象となります。


《具体例1》
帳簿価額 :100 (A)
直近の減損処理後の会計上の帳簿価額 : 40 (B)
当事業年度末の株価 : 45 (C)
損金算入対象額 : 55 (A)-(C)


ただし、税務上、評価損として損金算入される金額は、あくまでも損金経理した金額に限られますので、会計上減損処理をしていない金額については、損金算入することは認められないことになります


例えば、当事業年度末の株価が、直近の減損処理による会計上の帳簿価額を更に下回るものの、当事業年度において会計上減損処理がされない場合は、帳簿価額と直近の減損処理後の会計上の帳簿価額との差額が損金算入の対象となります。


《具体例2》
帳簿価額 :100 (A)
直近の減損処理後の会計上の帳簿価額 : 40 (B)
当事業年度末の株価 : 35 (C)
損金算入対象額 : 60 (A)-(B)








税理士ゆーちゃん より

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