国税庁質疑応答事例44 保険料等② 解約返戻金のない定期保険の取り扱い | 税理士こーちゃん・たかちゃん・だんちゃんと男女7人の○○な話

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解約返戻金のない定期保険の取り扱い


{照会要旨)


法人が自己を契約者及び保険金受取人とし、役員又は従業員を被保険者として次のような内容の定期保険に加入した場合には、被保険者の加入年齢等によっては長期平準定期保険の要件に該当するときもありますが、契約者である法人の払い込む保険料は、定期保険の原則的な処理に従って、その支払時に損金の額に算入して差し支えないでしょうか。


(定期保険の内容)

1 保険事故及び保険金

・ 被保険者が死亡した場合 死亡保険金

・ 被保険者が高度障害状態に該当した場合 高度障害保険金

2 保険期間と契約年齢

保険期間 加入年齢 保険期間 加入年齢
30年満了 0歳から50歳まで 75歳満了 0歳から70歳まで
70歳満了 0歳から65歳まで 80歳満了 0歳から75歳まで

3 保険料払込期間
  保険期間と同一期間(短期払込はない)

4 払戻金
 この保険は掛捨てで、いわゆる満期保険金はありません。また、契約失効、契約解除、解約、保険金の減額及び保険期間の変更等によっても、金銭の払戻しはありません。

(注) 傷害特約等が付された場合も解約返戻金等の支払は一切ありません。



{回答要旨}


契約者である法人の払い込む保険料は、その支払時に損金の額に算入することが認められます


(理由)

1 定期保険の税務上の取扱い
定期保険は、養老保険と異なり満期返戻金や配当金がないことから、その支払保険料については、原則として、資産に計上することを要せず、その支払時に支払保険料、福利厚生費又は給与として損金の額に算入することとされています(法人税基本通達9-3-5)。


 ただし、定期保険といっても、保険期間が非常に長期に設定されている場合には、年を経るに従って事故発生率が高くなるため、本来は保険料は年を経るに従って高額になりますが、実際の支払保険料は、その長期の保険期間にわたって平準化して算定されることから、保険期間の前半において支払う保険料の中に相当多額の前払保険料が含まれることとなりますこのため、例えば、保険期間の前半に中途解約をしたような場合は、支払保険料の相当部分が解約返戻金として契約者に支払われることになり支払保険料を支払時に損金算入することに課税上の問題が生じます。

 そこで、このような問題を是正するため、一定の要件を満たす長期平準定期保険の保険料については、保険期間の60%に相当する期間に支払う保険料の2分の1相当額を前払保険料等として資産計上することとされています。「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて(通達)」参照


(注) 長期平準定期保険とは、その保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものをいいます。


2 解約返戻金のない定期保険の取扱い
 本件の定期保険についても、加入年齢によっては、上記の長期平準定期保険の要件に該当する場合がありますが、当該定期保険は、その契約内容によると、支払保険料は掛捨てで、契約失効、契約解除、解約、保険金の減額及び保険期間の変更等があっても、一切解約返戻金等の支払はなく、純粋な保障のみを目的とした商品となっています。


 したがって、当該定期保険については、保険料の支払時の損金算入による税効果を利用して、一方で簿外資金を留保するといった、課税上の問題は生ずることもなく、また、長期平準定期保険の取扱いは本件のような解約返戻金の支払が一切ないものを対象とする趣旨ではありません

 このため、本件定期保険については、長期平準定期保険の取扱いを適用せず、定期保険の一般的な取扱い(法人税基本通達9-3-5)に従って、その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入して差し支えないものと考えられます。



参考

法基通9-3-5(定期保険に係る保険料)

法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下9-3-7までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。




税理士ゆーちゃん より

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(1) 死亡保険金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。

(2) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。