経常赤字で困ることは・・・
日本経済新聞 大機小機
日本の経常収支は2011年から黒字の減少が続いている。13年の黒字は1985年以降で最少となり、単月では13年10月から今年1月まで4カ月連続の赤字になっている。
経常赤字を問題視する多くの議論は、当然のように「経常収支は黒字が望ましい」「赤字は困ったことだ」というのを前提にしているようだが、これは必ずしも正しくない。
理由を述べよと言われると困るが、逆に「経常収支が赤字化すると何が困るのか」と問われるともっと困るはずだ。
まず、経常収支の赤字化は国力の衰えを示しているという考えがある。
しかし、これまでの「失われた20年」の間、日本の経常収支は黒字を続けてきた。
逆に米国は一貫して赤字だ。経常収支が国力を表しているわけではないことが分かる。
財政のファイナンスが困難になるとの考えもある。
確かに経常収支の赤字化は国内の資金余剰が資金不足に転じることを意味するから、国際のファイナンスが海外頼みになる可能性はある。
しかし、だからといって財政困らないように経常収支の黒字を維持しようとするのは、本末転倒。
いつまでも定年間近のお父さんのすねをかじっているドラ息子のようなものだ。
財政再建を軌道に乗せ、海外の投資家が安心して日本国債を買ってくれる状態にするのが正しい政策的姿勢である。
製造業の空洞化を示す点で心配だという声もある。しかし、生産拠点を海外に移す動きは続いており、グローバル化が進む中で日本企業が生産拠点の最適化を目指す動きを止めることはできない。
無理に止めれば日本企業の活力は損なわれてしまう。
出ていく企業を嘆くよりも、新しい企業活動の場を国内に生み出すほうが重要だ。
要するに、経常収支をどうするかということは経済政策の目標ではないのだ。
先進国でそれを政策目標にしている国はないのが何よりの証拠だ。
多くの経済学者は随分前から、人口構成の高齢化によって、日本の経常収支は赤字化すると考えてきた。
高齢化すればおのずから「稼ぐ人」よりも「使う人」が増えるからである。
その場合は、その自然な流れを損なわないこと、つまり経常収支が赤字化することこそが国民の福祉を最大化する道だということになる。
以上
別の記事の紹介
「経常収支が赤字に転じたら危険信号であり、黒字である方がいいことは間違いない」。
甘利明経済財政・再生相は今月国会でこう答弁した。
本当に経常赤字は悪、経常黒字は善といえるのか。
経常収支は貿易・サ^ビス収支と、海外投資に伴う利子・配当金などの所得収支の合計。
別の計算式では企業と家計の収支(貯蓄から投資を差し引いた額)と財政収支の合計でもある。
日本は財政赤字が大きく、企業と家計の蓄えで穴埋めして経常黒字を保ってきた。
経常赤字そのものが悪いわけではない。米国、英国、豪州、カナダは1980年代から赤字がほぼ常態となったいるものの、日本より経済成長率が高い期間が長い。
「良い経常赤字と悪い経常赤字がある」と松林洋一神戸大教授は語る。
良いのは、企業が将来の成長率押し上げにつながるような投資をした結果、経常赤字になるケースだ。
たとえばノルウエー。70年代は北海油田開発に巨額の投資をして経常赤字となったものの、80年代には原油生産による所得・貯蓄が増え、経常黒字に転じた。
逆に悪い経常赤字とは、財政悪化を伴うケースだ。経常赤字と財政赤字という「双子の赤字」のもとで国債を国内の資産家だけでは消化するのが難しくなり、長期金利が急上昇しかねない。80年代前半の米国や最近のギリシャがあたる。
以下略
以上のように経常赤字は将来の成長への投資による赤字は良いが、慢性的な財政赤字によるものであれば、危険である。経常収支は財布の中身と考えるべきで、日本も慢性的な経常赤字国家になることを避けるべく、貿易自由化など企業が日本で活動しやすい環境を整え、国内生産に回帰するよう仕向け、経済の活性化を図りつつ・財政健全化の工程を早期に示し、財政改革を断行しなければいけないと思います。
税理士ゆーちゃん より
最後まで読んで頂き、有難うございます
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