「M字形」を変える時だ 大機小機
日本経済新聞 掲載
人口の減少が続いている。そうした中、昨年は労働人口が6577万人となり、前の年に比べ22万人増加した。
男性の労働力は16万人減少したが、それを穴埋めする形で女性の労働力が38万人増加した。
現役世代の女性が増えたわけではない。労働市場に参加する女性の比率、いわゆる労働力率が高まったからである。
20代後半の女性4人のうち3人が労働市場に参加している。
これは欧米諸国と変わらない平均的な姿だ。しかし、他の先進国では60歳まで労働力率が同じ水準なのに対して、日本では30代になると60%台に低下してしまう。
年齢別にみた労働力率がM字形になるのである。
底が少しずつ上がってきたとはいえ、欧米の台形に比べ日本の女性の労働力率はいまだにM字になっている。
理由は簡単だ。多くの女性が結婚・出産、子育てを機に仕事を離れるからである。
日本の女性は仕事か、結婚・出産かの二者択一を迫られる度合いが欧米諸国と比べて著しく高い。
労働力人口が減少する中で、女性の労働力率が日本経済の将来を左右することは、昨年のデータが示すとうりである。
震災復興、さらに2020年の東京五輪を見越して、建設業界などではすでに深刻な人手不足が生じている。
問題は労働力人口にとどまらない。そもそも人口減少そのものが、若い女性のワークライフバランスの悪さに起因しているところが大きい。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(中位推計)によると、日本の人口は2110年には4300万人に減少する。
誰もこれをこのまま放置しておいてよいとは思わないだろう。
少子化の原因は2つ。
結婚しない(できない)人の割合が上昇していることと、
結婚の時期が遅くなっていることだ。
背景には、非正規労働の拡大なども含めて若い人の賃金・所得が伸び悩んでいることもある。
しかし年齢別にみた女性の労働力率をM字形にしているワークライフバランスの悪さが、婚期を遅らせる一因になっている。
来年度予算では待機児童対策など3000億円が増額される。しかし職場を提供する主役は民間企業だ。
仕事イコール残業の旧弊を一掃し、若い男性も女性もワークライフバランスの現状を大改革したい。
参考
ライフワークバランスとは
「仕事 と生活 の調和」と訳され、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭 や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生 の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる」ことを指す
日本経済をデフレから脱却させ、中小零細企業の経営を安定させ、安心して早期に結婚・出産できる環境を早く作って欲しいですね。
税理士ゆーちゃん より
最後まで読んで頂き、有難うございます
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