成長投資、3つのカギ
日本経済新聞 大機小機
日本の国内総生産(GDP)統計を眺めていると奇妙な事実に気づく。有形固定資産(主に設備)の残高が減少傾向にあることだ。
経済が成長しているのなら、その基盤としての設備残高も増えるはずである。その減少は何を意味するのか。
ありうる一つの説明は、過去の無駄な投資の精算だ。しかし、バブルの精算は10年ほど前に終わっており、その後に無駄な投資があったとは思わない。
もう一つの説明は、設備の効率が高まり、少ない設備でより多くの価値を生み出すようになったことだ。
しかし、これも説得力に乏しい。日本の新規投資の絶対額は底位に推移しており、設備全体が老朽化している。家電や情報端末に象徴されるように、日本製品の国際競争力も低下しているから、生産効率性が高まったとは到底いえない。
設備残高の減少は、経済規模が一定なら設備の稼働率を高め、製品需給と企業業績に好影響をもたらす。
とはいえ、これも経済活動にとって一時しのぎにすぎず、極論すれば縮小均衡を意味する。
経済発展には、設備残高の増加と技術革新が求められる。
こう考えると、設備残高の減少は深刻な事態である。この状態が続けば人口減少とあいまった日本経済に大きなダメージを与えよう。
一方で多くの日本企業は豊富な現預金を保有している。事業のリスクを回避するために設備投資を抑制し、現預金を積み増すことが日本好みの経営というのなら、「業を企てる」企業の本質から大きく逸脱している。
企業に求められるのは、次の3つを組み合わせて成長投資を積極化することである。
第1に、革新的な技術に基づいて事業を展開し設備を増強すること。これは理想であり、かつ先進国の企業がしのぎを削っている中では一部の企業しか達成できない。
第2に、国内設備の刷新と増強である。老齢化と人口減少が進んでも、有望な新規事業はある。
例えば、子供教育を念頭に置いた職住接近の仕組みである。この点、政府としても、既存の発想を超えた規制緩和とルール作りに注力すべきだ。
第3に、積極的な海外展開である。国内設備の増強にはつながらないが、企業がどこで稼ごうが、その成果を国内に還元してくれるんなら、大歓迎である。
以上
参考資料
一般社団法人日本産業機械工業会が平成26年2月28日発表された、平成25年度・平成26年度 産業機械の受注見通しを紹介します。
平成25年度のわが国経済は、アベノミクス効果等により経済成長がマイナスからプラスへ大きく転換するとみられるものの、製造業の設備投資については力強さに欠けており、輸出の持ち直し等も遅れている。そのような情勢の下、平成25年度と平成26年度の産業機械(当工業会取扱い)の受注見通しを以下の通り策定した。
(平成25年度)
内需は、民需・官公需ともに増加していることから、対前年度比8.6%増の3兆131億円と見込んだ。
民需は、紙・パルプ、石油製品、業務用機械、その他輸送機械、電力、卸売・小売等で増加していることから、製造業・非製造業ともに前年度を底とした増加が続くと見込んだ。
官公需は、ボイラ・原動機や化学機械、ポンプ、送風機、運搬機械等が増加していることから、前年度実績を上回ると見込んだ。
外需は、中国を始めとするアジア向けや、中東、北アメリカ、ロシア・東欧向けが増加していることから、対前年度比13.7%増の2兆694億円と見込んだ。
この結果、内外総合では、対前年度比10.7%増の5兆825億円と見込んだ。
(平成26年度)
内需は、民間設備投資が緩やかな回復基調を維持するとみられることから、対前年度比3.8%増の3兆1,270億円と見込んだ。
民需は、生産拠点の再編や老朽設備の更新、エネルギー・環境関連の設備投資だけではなく、政府の各種政策の効果もあって、国内のものづくり競争力を高めるための新規投資が徐々に現れてくるものと見込んだ。ただし、海外への生産移管等が進む中、大型投資に慎重な姿勢を続ける需要部門が多いと思われることから、需要の大幅な増加は期待しがたい状況であり、回復の勢いは緩やかなものに留まると思われる。なお、
官公需については、被災地の復興事業、国土強靱化、防災・減災の取り組み、社会インフラの老朽対策等に貢献していくことで、前年度を若干上回ると見込んだ。
外需は、シェールガス関連産業を始めとした資源・エネルギー分野や環境関連の需要が堅調に推移するとみられることに加え、日本政府が戦略的に取り組んでいる官民連携による社会インフラ輸出の強化等による需要増を見込み、また、新興国の工業化投資やグローバルに展開する日系企業の生産拠点の整備等に伴う需要が持続的に拡大するとみられることから、対前年度比11.9%増の2兆3,165億円と見込んだ。
この結果、内外総合では、対前年度比7.1%増の5兆4,436億円と見込んだ。
以上
税理士ゆーちゃん より
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