子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る応答事例②
(寄付金課税の対象となるか否かの検討)
Q2-1
法人税法上の寄附金は、どのようなものをいうのですか。
A2-1
法人税法は、寄附金そのものについての直接的な規定を置かず、「寄附金の額」についての規定を置くことにより、寄附金を間接的に意義付けています。
【参考】
法人税法第37条
第1項~第6項省略
第7項 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
第8項 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
なお、過去の裁判において、寄附金について次のような判決があります。
1 寄附金とは、名義のいかんや業務の関連性の有無を問わず、法人が贈与又は無償で供与した資産又は経済的利益、換言すれば、法人が直接的な対価を伴わないでした支出を広く指称するものと解すべき(昭57.9.30 広島高裁松江支部昭56(行コ)1)。
2 法人が無利息貸付け等により経済的利益の供与をした場合、相手方からこれと対価的意義を有するものと認められる経済的な利益の供与を受けているか、あるいは、その経済的利益を手放すに足る何らかの合理的な経済目的その他の事情が存する場合でない限り、経済的利益相当額は、その法人の収益として認識される(寄附金課税の対象となる)ことになる(昭53.3.30 大阪高裁昭47(行コ)42))。
Q2-2
再建支援等により損失負担等をした場合において、損金算入が認められるときとはどのようなものですか。
A2-2
寄附金とは、法人税法第37条第7項において「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」とされていますが、その経済的利益を供与することについて、経済合理性が存する場合には、その供与した経済的利益の額は寄附金に該当しないものとして取り扱うこととしています。
再建支援等事案における損失負担等の額の損金算入が認められる経済合理性とは、経済的利益を供与する側からみて、再建支援等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることが明らかな場合や子会社等の倒産を回避するためにやむを得ず行うもので合理的な再建計画に基づく場合などその再建支援等を行うことに相当な理由があると認められる場合をいいます。
税理士ゆーちゃん より
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