消費増税はブレずに
日本経済新聞 大機小機
来年春に予定通り、消費税率を3%引き上げるかどうかが議論になっている。
いったん国会で決議したが、おそらく選挙前の配慮もあって。「実際に実行するかどうかは経済状況次第で判断する」とした言葉の是非を問う段階になったきた。
世界最悪の財政状況の下で、国際的には低水準の消費税の増税が不可避であることは多くの国民が理解している。
国民総生産(GDP)の2倍の債務がありながら長期金利が低水準にあるのは、日本にはまだなお担保力があるとの市場の信頼に基づいている。
いずれ必要と誰もが理解している増税が長い混迷を経て国会決議されたにもかかわらず、再び方針がぶれるようでは国際的な信用にかかわる。
見直し論の根拠は増税による消費水準の低下がデフレ脱却に悪影響を及ぼすとの懸念であろう。
だが、消費は年々の所得ではなく、生涯に安定的に見込める所得水準によって決まる。増税を延期しても、それがいずれ実施されることが分かっているので、延期による消費下押しを緩和する効果は大きくない。
しかも消費増税はすでに周知されて消費行動には織り込み済み。住宅など駆け込み需要で活発化している産業もある。
円安、株高などを通じて景気回復の期待に働きかけるアベノミクスの政策の効果が実証されている中で、いったん決定して期待に織り込まれた政策を変更するのは、その否定に等しい。
政府の役割は、国民が将来を正しく予想して誤りなく行動できるような枠組みを整えることである。
朝令暮改は国でも企業でも組織の勢いをそぐ大きな要因であり、大組織になるほど悪影響は大きい。
消費増税の是非を検討する審議会をつくること自体が疑心暗鬼を生む。
もともとデフレ脱却は金融政策の課題で、財政政策や消費動向とは直接関係がない。
仮に消費が一時的に低迷し成長率が下がったとしても、金融緩和を継続すればデフレ脱却に支障はない。
いったん国際公約の不履行による、国際の信認低下の方がはるかに深刻な影響を与える。
20年間低迷してきた日本経済の活力を取り戻すには、それに匹敵する長期的視野が必要である。
国民が支持した「期待に働きかける政策」を、一時的な事情で踏み外して大きな道を誤ってはならない。
以上
税理士ゆーちゃん より
最後まで読んで頂き、有難うございます
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