経営は「原価」に宿る
日本経済新聞 大機小機
ある経営者の著書に「値決めこそ経営」という一節がある。値決めはマージンを設定したうえで、販売量を予測して決めるもので、その企業の業績を大きく左右する。
商品の価格は、経営者の能力と経営哲学を反映したものといえるだろう。
値決めには無限の選択肢がある。その中から最も適切な価格を見つけるには、先入観を捨て、市場が求める価格と品質を持つ商品を、最も少ないコストで作る方法を見つけ出さなければならない。一銭のもうけへの執着をおろそかにしては、経営者失格ということになる。
この20年、経済のグローバル化とIT(情報技術)革命の進展で、世界経済は大きく変化した。
その中で日本企業はデフレ局面の長期化に苦しみ、円高傾向を受けて、生産拠点を海外へ移転。社内組織も大きく変える動きが続いている。
生産拠点の海外移転は、値決めをするのに必要な原価計算を的確に行うことを難しくしている面がある。
国境を越えた生産・販売体制が取られるようになり、垂直分業型の製造業の場合、各国に分散する組織の中で、為替変動による売価や仕入れ価格の変動を日本で一元的に、しかも敏速に管理するのが難しくなる傾向にあるのだ。
管理体制が中途半端ななかで、原価を度外視してシェア拡大を最優先した販売戦略を採ると、思わぬ失敗を招くことがある。日本では売価が抑えられるデフレ局面が長引き、その中で採算を無視した”幻価”を選んだことが、経営体力をそぐ一因となった企業もあるはずだ。
「着眼大局、着手小局」という言葉通り、経営者は常に物事の全体像をつかみ、「小局」の原点ともいえる原価計算を厳格に行う必要がある。
原価管理は利益管理そのものだ、事業は個別の製品の集合体で個別の製品の集合体で、個別原価計算の収支が改善しないと経営は良くならない。
拠点別、製品別の原価と、グローバルな事業組織全体の原価構造とに整合性を持たすことが重要である。
グローバルな視点からの大きな枠決めと、原価管理の仕組みの「確認と運用」は経営者の大切な役割である。
経営の原点は細部にこだわること。企業の実態を反省した原価管理の手法をいかに経営環境にがっちさせ、磨いていくかが問われている。
以上
税理士ゆーちゃん より
最後まで読んで頂き、有難うございます
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