「失われた20年」 終止符打てるか
日本経済新聞 掲載 大機小機
バブル崩壊以来、日本経済は「失われた20年」に苦しんできた。デフレが足かせとの認識は共有されている。最近までデフレは実体経済の問題点を反映したものであって実体を改善することが大切だ、と考える人の方が多かったように思う。
問題解決の方向性として、痛みをこらえて構造改革に取り組む方法と、まずは痛みを和らげるため稼働率を回復する方法の2つが試行錯誤された。
慶応大学出身の橋本龍太郎・小泉純一郎元首相が構造改革派であるのに対して、早稲田大学出身の小渕恵三・森喜朗元首相が需給ギャップ解消派であるのは興味深い。
橋本氏は日本版ビッグバンなど6大改革に挑戦したが内外の通貨・金融危機に巻き込まれた。後継の小渕氏は金融危機乗り切りに多額も公的資金を投入し、需要不足を埋めるため財政拡大路線に転換した。森氏その路線を承継した。
これでは、「失われた10年」からの脱却はおぼつかないと懸念され、小泉氏の構造改革が支持を受けた。
こうしてみるとアベノミクスの第2・第3の矢は自民党政権下で10年以上の歳月をかけて実験済みだが、十分な成果にはつながっていない。
短期交代の6政権を経た後、安部政権が再登場した。政策に込めた「気合」、リーダーの「気力」、国民の「期待」が経済運営に与える影響力は強い。多くの国民は勢いを維持して「失われた20年」に終止符を打ってほしいと願っている。
先行きに明るさを感じている人は多いいが、今のところまだ「気」以上の本格政策は打ち出されていない。その「気」はもっぱら第1の矢としての金融政策のアナウンス効果に依存している。デフレは貨幣現象なので金融政策で変えていけるとの論法はどこまで現実的か。物価上昇で世の中が流動化する効果は期待できるが、それだけで経済が活性化するわけではない。
さすがにアベノミクスも第3の矢が本命との議論を展開しようとしているが、手法は橋本・小泉路線として経験を積んできたものだ。小泉内閣では「痛み」は看板だったが、当面痛みを感じない第1の矢から入り、円安・株高効果が期待の源泉になっている。痛みを伴う本格路線への切り替えは容易ではあるまい。
日銀のお手並み拝見ムードが漂っているが、本当は政治家の出番なのだ。
以上
税理士ゆーちゃん より
最後まで読んで頂き、有難うございます
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