配偶者に対する相続税額の軽減
1,適用要件
(1)婚姻の届出(民法739①をした被相続人の配偶者であること。
①配偶者が制限納税義務者であっても適用があります。(相基通19-2-1)
②配偶者が相続を放棄した場合でも、配偶者が遺贈により財産を取得した場合には適用があります。
③事実上婚姻関係と同様の事情(いわゆる内縁関係)にある者は含まれません。(相基通19-2-2)
(2)申告要件
①相続税の申告書(期限後申告書、修正申告書を含みます。)に適用を受ける旨、計算に関する明細(申告書第5表)を記載すること。
②①の申告書に次の書類を添付すること。
ⅰ戸籍の謄本(相続の開始の日から10日を経過した日以後作成のもの)
ⅱ配偶者が財産を取得したことを証する次の書類
イ、遺言書の写し
ロ、遺産分割協議書の写し(印鑑証明書貼付)
ハ、その他、財産の取得の状況を証する書類
2、配偶者の税額軽減額
(算式)次の(1)又は(2)に掲げる金額のうち、いずれか低い金額
(1)配偶者に係る算出相続税額-配偶者に係る贈与税額控除
(2)相続税の総額×下記(注)により計算した⑤の金額÷相続税の課税価格の合計額
(注)
①、相続税の課税価格の合計額×配偶者の法定相続分
②、1億6000万円
③、①と②の金額のうち、いずれか多い方の金額
④、配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額
⑤、③と④の金額のうち、いずれか少ない方の金額
3、未分割財産に対する取り扱い
(1)「配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額」には申告期限までに分割されていない財産は含みません。(ただし申告期限後3年以内に分割された場合は含めて計算します。)
また、分割を要しない財産(遺贈財産、相続又は遺贈により取得したものとみなされた財産等)で配偶者が取得したもの及び生前贈与加算財産は含みます。(相基通19-2-4)
(2)未分割財産があり、かつ、配偶者負担の債務控除額がある場合には、その債務控除額は配偶者の課税価格に含まれている未分割財産の価額から優先的に控除し、控除しきれない残額を配偶者の実際取得価額から控除します。(相基通19-2-6)