裁決・判例事例21 相当の地代が授受されている場合、借地権の価格は控除できない | 税理士こーちゃん・たかちゃん・だんちゃんと男女7人の○○な話

税理士こーちゃん・たかちゃん・だんちゃんと男女7人の○○な話

大阪府寝屋川市の税理士法人長瀬会計事務所のスタッフブログ。楽しくやってまーす!
税務、会計だけでなく助成金申請や事業再生支援など会社経営のサポートに力を入れてます。
インボイス登録事務所 T7120005020272

土地の賃貸借では権利金の授受に代えて相当の地代が授受されているから、土地の評価において、財産評価基本通達25の定めによる借地権の価格は控除できないとした事例


請求人(納税者)は、相続により取得した貸宅地である本件土地について、財産評価基本通達25の定めに基づ、本件の自用地としての価格からその借地権の価格を控除した金額によって評価すべきである旨主張する。


国税不服審判所は貸宅地の評価において、借地権の価格を控除するのは、借地権の設定により、当該宅地の自用地としての価格のうち借地権部分に相当する経済的価格の地主から借地人への移転があり、借地人が経済的に相当の価格を有する借地権を取得したとみるべき経済的実態が存在するからであって、この場合、借地権部分に相当する経済的価値の移転の対価というべき権利金を授受することが広く行われていることからすると、借地権の設定に当たり権利金を授受する取引上の慣行があるにもかかわらず権利金を授受しなかった場合であっても、その土地の使用の対価として相当の地代を授受するときは、地主にとって経済的実態において自用地と異なることのない土地となることから、借地人への経済的価値の移転はなく、控除すべき借地権の価値もないこととなる。


これを本件についてみると、本件土地は、借地権の設定に際し、通常権利金を支払う取引上の慣行のある地域内にあるところ、本件土地の賃貸借契約は、権利金の授受に代えて相当の地代が授受する内容であったと認められることから、本件土地の借地権部分に相当する経済的価値の賃貸人から賃借人への移転があったとは認められず、また、本件相続開始日においても相当の地代を収受していたと認められる


そうすると、本件土地の価格は、財産評価基本通達25の(1)の評価方法によることはできず、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取り扱いについて」の6の定めにより、本件土地の自用地としての価格の100分の80に相当する金額によって評価するのが相当である。


 平成22年2月15日裁決


参考

財産評価基本通達25の(1)

(1) 借地権の目的となっている宅地の価額は、11((評価の方式))から22-3((大規模工場用地の路線価及び倍率))まで、24((私道の用に供されている宅地の評価))、24-2((土地区画整理事業施行中の宅地の評価))、24-4((広大地の評価))及び24-6((セットバックを必要とする宅地の評価))から24-8((文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価))までの定めにより評価したその宅地の価額(以下この節において「自用地としての価額」という。)から27((借地権の評価))の定めにより評価したその借地権の価額同項のただし書の定めに該当するときは、同項に定める借地権割合を100分の20として計算した価額とする。25-3((土地の上に存する権利が競合する場合の宅地の評価))において27-6((土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価))の定めにより借地権の価額を計算する場合において同じ。)を控除した金額によって評価する。
 ただし、借地権の目的となっている宅地の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した価額の宅地の自用地としての価額に対する割合(以下「貸宅地割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が貸宅地割合を定めている地域においては、その宅地の自用地としての価額にその貸宅地割合を乗じて計算した金額によって評価する。


財産評価基本通達27ただし書

27 借地権の価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、当該価額に対する借地権の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した借地権の価額の割合(以下「借地権割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める割合を乗じて計算した金額によって評価する。ただし、借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しない。(昭41直資3-19・平3課評2-4外改正)

「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取り扱いについて」の6

6 借地権が設定されている土地について、相当の地代を収受している場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、次によって評価する。

(1) 権利金を収受していない場合又は特別の経済的利益を受けていない場合
 当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額

(2) (1)以外の場合
 当該土地の自用地としての価額から3((相当の地代を支払っている場合の借地権の評価))の(2)による借地権の価額を控除した金額(以下この項において「相当の地代調整貸宅地価額」という。)
 ただし、その金額が当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額を超えるときは、当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額

(注) 上記(1)及び(2)のただし書に該当する場合において、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を貸し付けている場合においては、昭和43年10月28日付直資3-22ほか2課共同「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達(以下「43年直資3-22通達」という。)の適用があることに留意する。
 この場合において、上記(2)のただし書に該当するときは、43年直資3-22通連中「自用地としての価額」とあるのは「相当の地代調整貸宅地価額」と、「その価額の20%に相当する金額」とあるのは「その相当の地代調整貸宅地価額と当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額との差額」と、それぞれ読み替えるものとする


    税理士ゆーちゃん より

 

最後まで読んで頂き、有難うございます
人気ブログランキングに参加しています


クリックお願いします。 ↓

         人気ブログランキングへ


税理士ゆーちゃんの記事一覧