メロキュンプレゼンツ!!
《ハッピー♡プレゼント!!》
続々とお話がUPされてて嬉しいですー!!
風月も漸く一話が書けた!!…と思ってのUPですが、何故かプレゼントとはかけ離れてるような??
ここからお題に添えるお話になるかわかりませんが、とりあえずメロキュンの為に書こうとしてたら頭を占拠してきた話なので、ハッピー♡プレゼントで押し通そうと思います!!(笑)
だって蓮様にとってはキョーコちゃん絡みの出来事は日常の全てがハッピー♡プレゼントなはずですもの!!(ちょっと苦しい言い訳?)
MCがそんなんでどうするー!!とか言われちゃいそうですが、メロキュンな話にするつもりなので許してください♡(←強引に進める気満々。)
そして冒頭の一言。
某CMから引用しちゃいました!!
この言葉キョーコちゃんに言わせたい!!っていうだけで書き始めた話なので、この先ノープラン過ぎて恐ろしい!!
なるべく短く収めるように頑張ります!
そしてもう一つくらい本当のハッピー♡プレゼントが書けるようにしたいですね(笑)
*****
トワ エ モア ♡1♡
「私と28日間付き合ってください。」
キョーコの発した言葉に反応した蓮は固まり、社は手にしていた携帯をするりと落としていた。
カシャンという微かな音が静かな部屋に重く響く。
水を打ったように静まった部屋に耐えかねたキョーコは潤んだ瞳で男を見上げた。
「ダメ…ですか?」
そんなキョーコの声にも固まった男達だったが、先に我に返ったのは社で、青褪めたままキョーコに問いかけた。
「えっと…キョーコちゃん?聞いてもいいかな?色々とツッコミたいことがあるんだけど、付き合うって…どういうこと?」
「あ、今度ドラマの役でヒロインの友人の役をするんですが、その役がヒロインに恋人と長く続くコツなどをアドバイスする役なんです。アドリブも大歓迎だと言われてるんですが…でも、私今まで男性とお付き合いなんてしたことありませんし、それなのにアドバイスが出来るとは到底思わなくて…誰かとお付き合いしてみなければと…」
「そ、そうか…でもなんで28日間?」
「私の出番が丁度一ヶ月後かららしくて…でも流石にこんなことで私のようなつまらない者に一ヶ月間も付き合わせてしまうのもどうかと思いまして…。とはいえ、二週間じゃ付き合ったとは言えないような気がして…。」
「はぁ…そうか…。うん。でもね、聞いてもいいかな?」
「はい。何でしょう?」
大きなクリクリとした目を輝かせて問うてくる少女に、社は冷や汗がダラダラと背中をつたうのを感じる。
「なんで、相手が“俺”なのかな?」
「それはもう、社さん以上の適任者が浮かばなかったからです!!」
良くぞ聞いてくれましたとばかりに堂々とキョーコは言うが、社は素直に喜べずに慌てた。
「いやいや、キョーコちゃん!俺よりももっと適任者がいるだろう?」
チラリと視線を動かせば、落ち込んで視線を床に落としている蓮が視界に入った。
「例えば、れーー」
「いいえっ!社さんがいいんですっ!!」
蓮とかさ…と言おうとした社の言葉は見事にキョーコによって遮られた。
「な、何で…俺?!」
「だって、優しくてかっこ良くて、頭が良くて、頼り甲斐があって、まさにパーフェクトじゃないですか!!それに、こんなことタレントや役者の方になんて頼めません!!スキャンダルになったら相手の方に迷惑かけちゃうじゃないですか!!」
何やら必死にまくし立てるキョーコの剣幕に社は押され始める。
「…俺はいいの?」
「だって社さんはマネージャーさんですし!」
隣にいる担当俳優からは、ピシピシと痛いくらいのプレッシャーを感じ、絶対零度の空気を纏う大魔王を降臨させた気配がした。
「お願いします!!社さんしかいないんです!!」
どうかしたらキョーコは泣いて縋ってくるのではないかと思わせて社は首を縦に振るしか選択肢がなかったのだった。
明らかに機嫌の悪い担当俳優に、社は今にも爆発する時限爆弾を相手にしているような気分になった。
何処と無く重い空気になってしまった原因は原因だけに社も重々承知している。
「お、おい、蓮…」
「…何ですか?」
恐る恐る声を掛ければ、少しの間を置いて、鋭い視線と共に低く重い声が響く。
「わかってると思うけどな、振りだよ?フ、リ!」
「…えぇ。勿論ですよ。」
「だからそろそろ機嫌直してくれよー!!28日間だけじゃないか…もう一週間は終わったんだ。あと少しだろ?」
そんな社の言葉は蓮の一睨みで飲み込まれる。
ピリピリしたプレッシャーを感じる楽屋は社の胃に悪く、キリキリと悲鳴を上げる。
そんな二人の間に軽快なノックの音が響いた。
「はい!」
天の助けとばかりに社が出れば、現れたのはにっこり微笑む俺の…いや、蓮の天使で…タイミングの悪さに思わず固まる。
「おはようございます!倖一さん!倖一さんのためにお弁当持ってきました!!」
にっこりと微笑むキョーコちゃんは可愛い…とは思うが、素直に笑顔で答えることが出来ず、後ろの気配を感じ取って笑顔が引きつってしまう。
「あ、いつもありがとう。キョーコ…ちゃん。」
明らかに蓮の機嫌が更にわるくなっている。
「あ、敦賀さんもいらしたんですね!おはようございます。」
そんな蓮に気付いたキョーコも蓮に話しかける。
「…おはよう。」
返事を返してきた蓮にホッとしたように、キョーコはソファに座る蓮に近付いた。
「あの…敦賀さんの分も作ってきたので、良かったら召し…」
「悪いけど、食欲ないから。」
蓮は言いかけたキョーコの言葉を遮るように冷たく言い放つと、そのまま立ち上がってキョーコを避けるようにドアへと向かう。
「…お、おい!蓮!!」
社の制止も聞かずに、蓮は何も言わずそのまま外に出てしまった。
「…………。」
ソファに向かったまま固まってしまったキョーコに慌てて社は話しかける。
「ご、ごめんね。キョーコちゃん、あいつ…ちょっと今機嫌悪くて…」
「いえ…。あの、倖一さん…」
「ん?」
「私…何か敦賀さんを怒らせるようなことしちゃったんでしょうか?」
ズーンと沈んだ声を出すキョーコに曖昧に笑った社は少し答えに困った。
おそらくは、キョーコが「倖一さん」と呼んでることも気に入らないのだろう。
「うーん?まぁ、色々とね…あるんだよ。あいつも…。」
小さく肩を落として溜息を吐いたキョーコに、社は疑問を投げかける。
「それにしても…何で急に倖一さんって呼び始めたの?」
「普通、付き合ってたら下の名前で呼び合うって皆さん口を揃えて言うもので…共演者の方の話を参考に…」
「あー。そっか…。」
「それであの、今夜のご予定は…?」
「ん。一応今日は23時まではテレビ局に缶詰めかな。」
「そう…ですか…。」
俯いてしまったキョーコに、社は遠慮気味に問いかけた。
「今夜…は、どうする?」
「…今日も…お邪魔して…いいでしょうか?」
「うん。わかった。いつもありがとう。じゃあこれ鍵ね。」
社が苦笑しながらポケットから鍵を取り出して渡すと、キョーコは受け取りつつ笑顔を浮かべた。
「はい。…じゃあ、また…」
「うん。キョーコちゃんも撮影頑張ってね。」
「はい!ありがとうございます!」
キョーコは元気に挨拶すると、蓮の楽屋を出るためドアを開けた。
すると、ドアのすぐ外には蓮が立っていて、部屋を出ようとしたキョーコはぶつかりそうになってしまった。
「きゃ!え…?つ、敦賀さ…?!」
慌てて蓮に呼びかければ、呆然と佇んでいた蓮はハッと我を取り戻したが、動揺を隠せず、慌ててキョーコと楽屋から顔を逸らし、視線を彷徨わせた。
「え…あ、いや…。ちょっと、台本を忘れたことを思い出して…。」
聞かれてもいない言い訳を始めた蓮は部屋に入り、自分の鞄から何事もなかったように台本を取り出した。
「あ、あったあった。うん。良かった。あ、じゃあ、社さん俺は時間まで適当に外出てますから。」
「え…あ!れ、蓮。今の聞いて…?」
「じゃあ、失礼しました。」
蓮はさっさと行ってしまった。
キョーコと社の間に微妙な空気が生まれる。
「あの…敦賀さん、大丈夫でしょうか?なんか…普通じゃなかったような…。」
「あー。うん。だいぶ…キテるかな…。」
ハハハハと乾いたように社は笑うしかなかった。
「はぁー。」
キョーコは帰りながら深く溜息をついていた。
社長から直々に持って来られた役はキョーコの頭を悩ませた。
あの社にお願いした日、本当は社長から、蓮に期間限定で私と付き合ってください!って言えば絶対に面白いことになるから今すぐ行ってこい!と言われて勢いで蓮の楽屋に行ったのだ。
しかし、いざ蓮を目の前にすると恐れ多すぎて言うことが出来ず、思わず近くにいた社に向かって言ってしまったのだった。
社と付き合うふりをすれば、弁当を持って行く時についでに蓮の弁当を用意してもおかしくはないだろう。
社長にそのことを報告すれば、物凄く残念そうな憐れむような目を向けられてしまったが、蓮と付き合ってるなんて噂になってしまったらそれこそ、とんでもないことだったから、社に言っておいて良かったと自分では思う。
しかし、蓮の機嫌がどうもかなり悪いので気になって仕方が無い。
キョーコは深くため息をついた。
社から預かった鍵を見つめて、蓮の顔が頭に浮かびポツリとつぶやく。
「やっぱり…行かない方がいいのかなぁ?」
不安な気持ちに押しつぶされそうになりながら、キョーコは手のひらの中の鍵をぎゅっと握りしめていた。
携帯電話を閉じながら楽屋に戻った社は、蓮を見て深々とため息を落とした。
昨日よりも更に機嫌が悪化している蓮は珍しく静かにウォークマンを聞いて楽屋の隅を陣取っていた。
社が入ってきたことを一瞥して無視するかのように視線を戻した蓮だったが、我慢が出来なかったのかポツリと呟いていた。
「どこまで…手を出したんですか?」
「…は?」
あまりにも小さく静かに問われたので一瞬社は聞き逃しそうになって慌てて聞き返した。
すると蓮はため息を一つ落として、耳からイヤホンを抜いた。
「最上さんにですよ。どこまで手を出したんですか?」
暗く沈んだ目に光はなく、闇を映していて、社はぞくっと悪寒が走って慌てて弁解した。
「え?!いや!何処までもなにも…お前が目くじらを立てるようなことは何もしてないっ!!誓ってしてない!!」
「まさか、家にまで呼んでおいてそんなはずないじゃないですか。」
自嘲気味に笑う蓮に、社は事実を述べる。
「いや、結局昨日は俺が帰る前に帰ってたし…」
「は?」
「琴南さんに呼ばれたとかで、琴南さんの家に泊まることになったってはしゃいでたぞ。」
「そう…なんですか…。」
何処と無くホッとしたような蓮の空気が流れ、社は蓮に文句を言った。
「…ったく、そんなに心配ならちゃんと告白しろよ!!俺は手を出すつもりもないし、恋人としての振る舞いなんて教えられないしさ!それに俺があそこで頷いてなかったら、キョーコちゃん他の人のとこに行くかもしれなかっただろ?!だから俺にヤキモチ妬くのはお門違いなの!」
「…じゃあなんで家に呼んだりするんですか。」
「あ、あれは…その…」
社が返事に窮するので、蓮の機嫌は益々急降下する。
それに耐えかねて、社は深々とため息をつくと、白状し始めた。
「実家から猫をね、預けられちゃって…」
「は?猫…?」
「両親が一週間旅行に出掛けるとかでさ。全部で5匹いるんだけど、その世話がなかなか大変で…キョーコちゃんが俺が帰れない時に来ては、たまに世話してくれてるんだよ。」
「………」
「本当はさ、キョーコちゃん…最初はお前にお願いしようとしてたらしいぞ。恋人の役…」
「は…?」
「楽屋に来てお前の顔見て怖気付いたんだってさ。」
「っ!なんで…」
「キョーコちゃんって自分を卑下してる部分あるだろ?お前は芸能界一抱かれたい男とか言われてるし、もしそんなお願いしてスキャンダル何かになりでもしたら迷惑かけるって思ったんじゃないか?」
「………。」
「チンタラしてないでさ、俺からキョーコちゃんを攫ってみろよ。じゃないと俺も男だからな、もしかしたら本気になって、手を出すかもしれないぞ?」
「なっ?!」
社の言葉に真っ青になって目を見開いた蓮は、ニヤニヤ笑いをしている社と目が合い、一瞬にして遊ばれたことがわかって無表情になった。
「…冗談でもやめて下さいよ。」
「えー?わかんないだろ?キョーコちゃんは元々可愛いしさ、器量もいいし、俺だってあんな子に懐かれたら本気になっちゃうかもしれないんだぞ。」
「えぇ…。そうですね。」
「猫の面倒見てくれた時は必ず何かしらご飯作っててくれるし…」
蓮は社を恨めしげに睨む。
「そんな目で睨むくらいなら拗ねてないで早く行動移せっての!」
「でも、そんな時間なんてーー」
「この撮影、1時間巻きで終わらせたらラブミー部に顔出す時間を作ってやるよ。もちろん、キョーコちゃんがいることも確認済みだ。」
「…社さんは?」
社の言葉に少しまだ素直に従えない蓮は、ブスッとした顔で確認する。
「俺は、事務処理が溜まってるからお前一人で行け。」
「…わかりました…。」
蓮はそう言うとスッと立ち上がった。
「必ず巻きで終わらせてみせます。」
真剣な目で言い放った蓮を見て、社は漸く安堵の息を吐くことが出来たのだった。
「あとは、コレだけね!ふぁー!やっぱり敦賀さんレベルだとファンレターも桁違いに多いわね~!!」
キョーコは段ボールから溢れ出しそうなくらいギュウギュウに詰め込まれたファンレターの仕分けをしていた。
蓮へ寄せられたファンレターの数に感嘆の声を漏らす。
「かっこいいもんね…」
蓮の顔を思い出してポツリと呟いていた。
一人で何か作業する時は気付かない内に独り言を言ってしまうのだ。
暫しぼうっと蓮のことを思い出して物思いに耽っていると、ラブミー部の部屋にノックが響いた。
「わっ!はい!!」
ファンレターに埋れた状態で身動きが取れなかったキョーコは返事だけ返す。
でもそれに対し何もアクションがないので、キョーコは首を傾げながらドアの外に呼び掛けた。
「鍵開いてますよ?どうぞ。」
その声を受けてガチャリと開いたドアから顔を覗かせたのは今の今まで頭の中を支配していた蓮でキョーコは慌てて立ち上がった。
膝に乗せていたファンレターがバラバラと散らばる。
「つ、敦賀さん!!おはようございます!!散らかってますがどうぞっ!!」
「一人?」
「あ、はい!今日はモー子さんも天宮さんも一日忙しいみたいで…」
「そう…。お邪魔して…いいかな?」
「あ、どうぞ!すみません!すぐ片付けますっ!!」
慌てて空いている段ボールに机の上に置いていたファンレターを詰め込み、床に散らばったファンレターも集め始める。
スッと近付いた蓮も拾うのを手伝ってくれた。
テキパキと拾い集めていたキョーコが最後のハートだらけの敦賀蓮宛のファンレターに手を伸ばすと、その手に蓮の手が重なった。
どうやら同時に取ろうとしていたようだ。
ドキンッとキョーコの心臓が大きく跳ねる。
「あっ、す、すみません!!」
慌てて手を引こうとしたが、その手はそのまま蓮に握りこまれてしまった。
「え?」
キョーコがビックリして蓮の顔を見上げると、そのまま蓮に腕を引かれ、キョーコの唇はあっと言う間もなく蓮に奪われていた。
(続く)
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《トワ エ モア》は、風月がたまたま見かけたテレビで紹介されてたケーキの名前です♪
意味が~あなたと私~と聞いた時から絶対タイトルとして使いたい!!って思ってました!!
今回の話のタイトルを悶々と考えてた時に、このタイトル、メロキュンっぽい!!と思って付けちゃいました♪
お楽しみいただける作品になるかはわかりませんが、がんばりまーす!!
他の新着メロキュン作品を楽しみたい方はこちらから♪↓↓↓
メロキュンお祭り会場&参加表明広場→期間限定!メロキュン♡リターンズ☆蓮誕&VDお祭り会場~!!
もちろんまだまだ参加者募集中です~
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続々とお話がUPされてて嬉しいですー!!
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だって蓮様にとってはキョーコちゃん絡みの出来事は日常の全てがハッピー♡プレゼントなはずですもの!!(ちょっと苦しい言い訳?)
MCがそんなんでどうするー!!とか言われちゃいそうですが、メロキュンな話にするつもりなので許してください♡(←強引に進める気満々。)
そして冒頭の一言。
某CMから引用しちゃいました!!
この言葉キョーコちゃんに言わせたい!!っていうだけで書き始めた話なので、この先ノープラン過ぎて恐ろしい!!
なるべく短く収めるように頑張ります!
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トワ エ モア ♡1♡
「私と28日間付き合ってください。」
キョーコの発した言葉に反応した蓮は固まり、社は手にしていた携帯をするりと落としていた。
カシャンという微かな音が静かな部屋に重く響く。
水を打ったように静まった部屋に耐えかねたキョーコは潤んだ瞳で男を見上げた。
「ダメ…ですか?」
そんなキョーコの声にも固まった男達だったが、先に我に返ったのは社で、青褪めたままキョーコに問いかけた。
「えっと…キョーコちゃん?聞いてもいいかな?色々とツッコミたいことがあるんだけど、付き合うって…どういうこと?」
「あ、今度ドラマの役でヒロインの友人の役をするんですが、その役がヒロインに恋人と長く続くコツなどをアドバイスする役なんです。アドリブも大歓迎だと言われてるんですが…でも、私今まで男性とお付き合いなんてしたことありませんし、それなのにアドバイスが出来るとは到底思わなくて…誰かとお付き合いしてみなければと…」
「そ、そうか…でもなんで28日間?」
「私の出番が丁度一ヶ月後かららしくて…でも流石にこんなことで私のようなつまらない者に一ヶ月間も付き合わせてしまうのもどうかと思いまして…。とはいえ、二週間じゃ付き合ったとは言えないような気がして…。」
「はぁ…そうか…。うん。でもね、聞いてもいいかな?」
「はい。何でしょう?」
大きなクリクリとした目を輝かせて問うてくる少女に、社は冷や汗がダラダラと背中をつたうのを感じる。
「なんで、相手が“俺”なのかな?」
「それはもう、社さん以上の適任者が浮かばなかったからです!!」
良くぞ聞いてくれましたとばかりに堂々とキョーコは言うが、社は素直に喜べずに慌てた。
「いやいや、キョーコちゃん!俺よりももっと適任者がいるだろう?」
チラリと視線を動かせば、落ち込んで視線を床に落としている蓮が視界に入った。
「例えば、れーー」
「いいえっ!社さんがいいんですっ!!」
蓮とかさ…と言おうとした社の言葉は見事にキョーコによって遮られた。
「な、何で…俺?!」
「だって、優しくてかっこ良くて、頭が良くて、頼り甲斐があって、まさにパーフェクトじゃないですか!!それに、こんなことタレントや役者の方になんて頼めません!!スキャンダルになったら相手の方に迷惑かけちゃうじゃないですか!!」
何やら必死にまくし立てるキョーコの剣幕に社は押され始める。
「…俺はいいの?」
「だって社さんはマネージャーさんですし!」
隣にいる担当俳優からは、ピシピシと痛いくらいのプレッシャーを感じ、絶対零度の空気を纏う大魔王を降臨させた気配がした。
「お願いします!!社さんしかいないんです!!」
どうかしたらキョーコは泣いて縋ってくるのではないかと思わせて社は首を縦に振るしか選択肢がなかったのだった。
明らかに機嫌の悪い担当俳優に、社は今にも爆発する時限爆弾を相手にしているような気分になった。
何処と無く重い空気になってしまった原因は原因だけに社も重々承知している。
「お、おい、蓮…」
「…何ですか?」
恐る恐る声を掛ければ、少しの間を置いて、鋭い視線と共に低く重い声が響く。
「わかってると思うけどな、振りだよ?フ、リ!」
「…えぇ。勿論ですよ。」
「だからそろそろ機嫌直してくれよー!!28日間だけじゃないか…もう一週間は終わったんだ。あと少しだろ?」
そんな社の言葉は蓮の一睨みで飲み込まれる。
ピリピリしたプレッシャーを感じる楽屋は社の胃に悪く、キリキリと悲鳴を上げる。
そんな二人の間に軽快なノックの音が響いた。
「はい!」
天の助けとばかりに社が出れば、現れたのはにっこり微笑む俺の…いや、蓮の天使で…タイミングの悪さに思わず固まる。
「おはようございます!倖一さん!倖一さんのためにお弁当持ってきました!!」
にっこりと微笑むキョーコちゃんは可愛い…とは思うが、素直に笑顔で答えることが出来ず、後ろの気配を感じ取って笑顔が引きつってしまう。
「あ、いつもありがとう。キョーコ…ちゃん。」
明らかに蓮の機嫌が更にわるくなっている。
「あ、敦賀さんもいらしたんですね!おはようございます。」
そんな蓮に気付いたキョーコも蓮に話しかける。
「…おはよう。」
返事を返してきた蓮にホッとしたように、キョーコはソファに座る蓮に近付いた。
「あの…敦賀さんの分も作ってきたので、良かったら召し…」
「悪いけど、食欲ないから。」
蓮は言いかけたキョーコの言葉を遮るように冷たく言い放つと、そのまま立ち上がってキョーコを避けるようにドアへと向かう。
「…お、おい!蓮!!」
社の制止も聞かずに、蓮は何も言わずそのまま外に出てしまった。
「…………。」
ソファに向かったまま固まってしまったキョーコに慌てて社は話しかける。
「ご、ごめんね。キョーコちゃん、あいつ…ちょっと今機嫌悪くて…」
「いえ…。あの、倖一さん…」
「ん?」
「私…何か敦賀さんを怒らせるようなことしちゃったんでしょうか?」
ズーンと沈んだ声を出すキョーコに曖昧に笑った社は少し答えに困った。
おそらくは、キョーコが「倖一さん」と呼んでることも気に入らないのだろう。
「うーん?まぁ、色々とね…あるんだよ。あいつも…。」
小さく肩を落として溜息を吐いたキョーコに、社は疑問を投げかける。
「それにしても…何で急に倖一さんって呼び始めたの?」
「普通、付き合ってたら下の名前で呼び合うって皆さん口を揃えて言うもので…共演者の方の話を参考に…」
「あー。そっか…。」
「それであの、今夜のご予定は…?」
「ん。一応今日は23時まではテレビ局に缶詰めかな。」
「そう…ですか…。」
俯いてしまったキョーコに、社は遠慮気味に問いかけた。
「今夜…は、どうする?」
「…今日も…お邪魔して…いいでしょうか?」
「うん。わかった。いつもありがとう。じゃあこれ鍵ね。」
社が苦笑しながらポケットから鍵を取り出して渡すと、キョーコは受け取りつつ笑顔を浮かべた。
「はい。…じゃあ、また…」
「うん。キョーコちゃんも撮影頑張ってね。」
「はい!ありがとうございます!」
キョーコは元気に挨拶すると、蓮の楽屋を出るためドアを開けた。
すると、ドアのすぐ外には蓮が立っていて、部屋を出ようとしたキョーコはぶつかりそうになってしまった。
「きゃ!え…?つ、敦賀さ…?!」
慌てて蓮に呼びかければ、呆然と佇んでいた蓮はハッと我を取り戻したが、動揺を隠せず、慌ててキョーコと楽屋から顔を逸らし、視線を彷徨わせた。
「え…あ、いや…。ちょっと、台本を忘れたことを思い出して…。」
聞かれてもいない言い訳を始めた蓮は部屋に入り、自分の鞄から何事もなかったように台本を取り出した。
「あ、あったあった。うん。良かった。あ、じゃあ、社さん俺は時間まで適当に外出てますから。」
「え…あ!れ、蓮。今の聞いて…?」
「じゃあ、失礼しました。」
蓮はさっさと行ってしまった。
キョーコと社の間に微妙な空気が生まれる。
「あの…敦賀さん、大丈夫でしょうか?なんか…普通じゃなかったような…。」
「あー。うん。だいぶ…キテるかな…。」
ハハハハと乾いたように社は笑うしかなかった。
「はぁー。」
キョーコは帰りながら深く溜息をついていた。
社長から直々に持って来られた役はキョーコの頭を悩ませた。
あの社にお願いした日、本当は社長から、蓮に期間限定で私と付き合ってください!って言えば絶対に面白いことになるから今すぐ行ってこい!と言われて勢いで蓮の楽屋に行ったのだ。
しかし、いざ蓮を目の前にすると恐れ多すぎて言うことが出来ず、思わず近くにいた社に向かって言ってしまったのだった。
社と付き合うふりをすれば、弁当を持って行く時についでに蓮の弁当を用意してもおかしくはないだろう。
社長にそのことを報告すれば、物凄く残念そうな憐れむような目を向けられてしまったが、蓮と付き合ってるなんて噂になってしまったらそれこそ、とんでもないことだったから、社に言っておいて良かったと自分では思う。
しかし、蓮の機嫌がどうもかなり悪いので気になって仕方が無い。
キョーコは深くため息をついた。
社から預かった鍵を見つめて、蓮の顔が頭に浮かびポツリとつぶやく。
「やっぱり…行かない方がいいのかなぁ?」
不安な気持ちに押しつぶされそうになりながら、キョーコは手のひらの中の鍵をぎゅっと握りしめていた。
携帯電話を閉じながら楽屋に戻った社は、蓮を見て深々とため息を落とした。
昨日よりも更に機嫌が悪化している蓮は珍しく静かにウォークマンを聞いて楽屋の隅を陣取っていた。
社が入ってきたことを一瞥して無視するかのように視線を戻した蓮だったが、我慢が出来なかったのかポツリと呟いていた。
「どこまで…手を出したんですか?」
「…は?」
あまりにも小さく静かに問われたので一瞬社は聞き逃しそうになって慌てて聞き返した。
すると蓮はため息を一つ落として、耳からイヤホンを抜いた。
「最上さんにですよ。どこまで手を出したんですか?」
暗く沈んだ目に光はなく、闇を映していて、社はぞくっと悪寒が走って慌てて弁解した。
「え?!いや!何処までもなにも…お前が目くじらを立てるようなことは何もしてないっ!!誓ってしてない!!」
「まさか、家にまで呼んでおいてそんなはずないじゃないですか。」
自嘲気味に笑う蓮に、社は事実を述べる。
「いや、結局昨日は俺が帰る前に帰ってたし…」
「は?」
「琴南さんに呼ばれたとかで、琴南さんの家に泊まることになったってはしゃいでたぞ。」
「そう…なんですか…。」
何処と無くホッとしたような蓮の空気が流れ、社は蓮に文句を言った。
「…ったく、そんなに心配ならちゃんと告白しろよ!!俺は手を出すつもりもないし、恋人としての振る舞いなんて教えられないしさ!それに俺があそこで頷いてなかったら、キョーコちゃん他の人のとこに行くかもしれなかっただろ?!だから俺にヤキモチ妬くのはお門違いなの!」
「…じゃあなんで家に呼んだりするんですか。」
「あ、あれは…その…」
社が返事に窮するので、蓮の機嫌は益々急降下する。
それに耐えかねて、社は深々とため息をつくと、白状し始めた。
「実家から猫をね、預けられちゃって…」
「は?猫…?」
「両親が一週間旅行に出掛けるとかでさ。全部で5匹いるんだけど、その世話がなかなか大変で…キョーコちゃんが俺が帰れない時に来ては、たまに世話してくれてるんだよ。」
「………」
「本当はさ、キョーコちゃん…最初はお前にお願いしようとしてたらしいぞ。恋人の役…」
「は…?」
「楽屋に来てお前の顔見て怖気付いたんだってさ。」
「っ!なんで…」
「キョーコちゃんって自分を卑下してる部分あるだろ?お前は芸能界一抱かれたい男とか言われてるし、もしそんなお願いしてスキャンダル何かになりでもしたら迷惑かけるって思ったんじゃないか?」
「………。」
「チンタラしてないでさ、俺からキョーコちゃんを攫ってみろよ。じゃないと俺も男だからな、もしかしたら本気になって、手を出すかもしれないぞ?」
「なっ?!」
社の言葉に真っ青になって目を見開いた蓮は、ニヤニヤ笑いをしている社と目が合い、一瞬にして遊ばれたことがわかって無表情になった。
「…冗談でもやめて下さいよ。」
「えー?わかんないだろ?キョーコちゃんは元々可愛いしさ、器量もいいし、俺だってあんな子に懐かれたら本気になっちゃうかもしれないんだぞ。」
「えぇ…。そうですね。」
「猫の面倒見てくれた時は必ず何かしらご飯作っててくれるし…」
蓮は社を恨めしげに睨む。
「そんな目で睨むくらいなら拗ねてないで早く行動移せっての!」
「でも、そんな時間なんてーー」
「この撮影、1時間巻きで終わらせたらラブミー部に顔出す時間を作ってやるよ。もちろん、キョーコちゃんがいることも確認済みだ。」
「…社さんは?」
社の言葉に少しまだ素直に従えない蓮は、ブスッとした顔で確認する。
「俺は、事務処理が溜まってるからお前一人で行け。」
「…わかりました…。」
蓮はそう言うとスッと立ち上がった。
「必ず巻きで終わらせてみせます。」
真剣な目で言い放った蓮を見て、社は漸く安堵の息を吐くことが出来たのだった。
「あとは、コレだけね!ふぁー!やっぱり敦賀さんレベルだとファンレターも桁違いに多いわね~!!」
キョーコは段ボールから溢れ出しそうなくらいギュウギュウに詰め込まれたファンレターの仕分けをしていた。
蓮へ寄せられたファンレターの数に感嘆の声を漏らす。
「かっこいいもんね…」
蓮の顔を思い出してポツリと呟いていた。
一人で何か作業する時は気付かない内に独り言を言ってしまうのだ。
暫しぼうっと蓮のことを思い出して物思いに耽っていると、ラブミー部の部屋にノックが響いた。
「わっ!はい!!」
ファンレターに埋れた状態で身動きが取れなかったキョーコは返事だけ返す。
でもそれに対し何もアクションがないので、キョーコは首を傾げながらドアの外に呼び掛けた。
「鍵開いてますよ?どうぞ。」
その声を受けてガチャリと開いたドアから顔を覗かせたのは今の今まで頭の中を支配していた蓮でキョーコは慌てて立ち上がった。
膝に乗せていたファンレターがバラバラと散らばる。
「つ、敦賀さん!!おはようございます!!散らかってますがどうぞっ!!」
「一人?」
「あ、はい!今日はモー子さんも天宮さんも一日忙しいみたいで…」
「そう…。お邪魔して…いいかな?」
「あ、どうぞ!すみません!すぐ片付けますっ!!」
慌てて空いている段ボールに机の上に置いていたファンレターを詰め込み、床に散らばったファンレターも集め始める。
スッと近付いた蓮も拾うのを手伝ってくれた。
テキパキと拾い集めていたキョーコが最後のハートだらけの敦賀蓮宛のファンレターに手を伸ばすと、その手に蓮の手が重なった。
どうやら同時に取ろうとしていたようだ。
ドキンッとキョーコの心臓が大きく跳ねる。
「あっ、す、すみません!!」
慌てて手を引こうとしたが、その手はそのまま蓮に握りこまれてしまった。
「え?」
キョーコがビックリして蓮の顔を見上げると、そのまま蓮に腕を引かれ、キョーコの唇はあっと言う間もなく蓮に奪われていた。
(続く)
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《トワ エ モア》は、風月がたまたま見かけたテレビで紹介されてたケーキの名前です♪
意味が~あなたと私~と聞いた時から絶対タイトルとして使いたい!!って思ってました!!
今回の話のタイトルを悶々と考えてた時に、このタイトル、メロキュンっぽい!!と思って付けちゃいました♪
お楽しみいただける作品になるかはわかりませんが、がんばりまーす!!
他の新着メロキュン作品を楽しみたい方はこちらから♪↓↓↓
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もちろんまだまだ参加者募集中です~