大変お待たせいたしましたー!!!!
どんだけ待たせるんだよ!!って感じですが、漸く書き終えることが出来ました!!
こちらも【年末】&【カウントダウン】と合わせてフリーです!
お気に召した方は一言言葉を下さればどうぞお持ち帰り下さいませー!


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君と過ごす時間【年始】


「…ん?最上さん?…最上さん?」

目の前でふよふよと手のひらをかざされてキョーコはハッと意識を戻した。

「あ、あぁ!ああああけまして…おめでとう、ございますっ!!」

ピシッと背筋を伸ばして遅れて新年の挨拶を繰り出すキョーコを複雑な心境で眺めた蓮がなるべく笑顔を作る。

「今年もよろしくね?」

そう言っただけなのに、キョーコはポンッと、音がしそうなくらい真っ赤になった。
蓮の目が見開く。

「はわ。は、はい!よ、よろしくお願いしますっ!!」

床に頭突きを繰り出す勢いで頭を下げたキョーコにぎょっとしつつ、耳の後ろまで真っ赤なのを眺めて、蓮の中で期待が生まれる。

ーーーもしかして、少しは意識…してくれてる?

今まで尊敬する大先輩としか思っていなかっただろう少女が、告白をしたことで目の前にいるのが男だと意識してくれるようになったのかもしれない。

蓮とてキョーコがラブミー部員で恋愛を拒絶していることは重々承知しているため、いきなり恋人になりたいなどという贅沢は言えないと思っていた。
先輩の認識から男の認識にステップUP出来ただけでも凄いことではないだろうか。という気分にさえなるのだ。
それなのに、キョーコはそんなことを考えていた蓮の遥か斜め上に飛んで来た。

いや、安堵して幸せを噛み締めるように目を閉じて休んでいた所にいきなり飛び込んで来た…という表現の方が正しいかもしれない。

「あ、あの!!ご存知の通り、ワタクシ最上キョーコは今まで男の方とお付き合いというものをしたことがないので、こういう時、どう言ったらいいのかわからないんですけど…あの!不束者ですが、よ、よろしくお願いします!!」

どもりながらも真赤な顔で蓮を真っ直ぐに見つめて頭を下げた少女に面食らう。

今度フリーズするのは蓮の番だった。

「………え?」

たっぷり間をとって、漸く頭を働かせるため、言葉を出そうとするがうまいこと出てこない。

「あ!お茶!!お茶、入れ直してきますね!!」

「あ、あぁ…」

すっかり冷めてしまった蓮の湯のみを取り上げてそそくさとキッチンに逃げ込む様に駆け込んだキョーコの後ろ姿をぼんやりと目で追う。

「え…今の…って…まさか…?」

どくんどくんどくっどくっどっどっどっどっ…

心臓が段々と刻むスピードを上げて行く。

真っ赤になった顔が嬉しさで崩れているのがわかる。
こんな顔社さんに見せたら絶対にからかわれるな。ということをぼんやりと思いながら、彼女の戻ってくるのをそわそわと待つ。

しかし、そんな待つ時間さえももどかしくて、蓮は耐えられずに立ち上がると、キョーコがいるキッチンへと駆け出した。

「最上さ…」

「きゃっ!!つ、敦賀さん?!」

蓮がキッチンに飛び込むと、キッチンから出ようとしていたキョーコと鉢合わせた。
あまりの蓮の勢いに入れ直したお茶を落としそうになり慌ててバランスを取り直す。

「あ…ごめん。いや、あの…なんて言うか…。」

「もう!零れたら危ないじゃないですか!!」

「ごめん。」

「いえ…まぁ零れませんでしたからいいですけど、驚かさないでください。」

「最上さん…」

「はい?何でしょう?」

「好きだよ。」

ボンッ!!

キョーコの顔が音と共に真っ赤に染まる。
またもやお茶を零しそうになり、あわあわと慌ててバランスを取り直す。

「つ、敦賀さん!!それはさっき聞きました!!」

「好きだ…!」

「もう!わかりましたから!!」

「…だから、抱き締めても…いい?」

「……お茶があるから…今は駄目です。」

「お茶を置いたら…いい?」

「……お、置いたら……そ、その…いい…ですよ?」

真っ赤な顔でもじもじという姿に蓮はぞわぞわとした歓喜が背中に駆け巡るのを感じた。

「じゃあ。俺が運ぶよ。貸して!」

「え?!そ、そんな、私が…」

「いいからいいから。ほら、早く行こう!」

「きゃっ!!も、もう!敦賀さん!!」

片手に湯のみを乗せたトレーを持ち、蓮がキョーコの手を握った。
驚いたキョーコが抗議の声を上げるも、蓮はさっさと歩き出す。

テーブルにトレーを置いて、キョーコと向き合うと、互いに緊張してるのがわかるほど張り詰めた空気が流れた。

「……置いたよ。…いい?」

「…は、はい!!」

ドキンドキン…

二人の心臓が大きく跳ねる。
そしてそっと、二人の距離が近付くと、恐る恐ると言った様子で、蓮がその身を抱き締める。
二人の心音が重なった。

蓮がキョーコを優しく包み込むように抱き締めると、キョーコもそろそろと蓮の背中に手を回し、服をきゅと握り締めた。

二人はじわじわと湧き上がる歓喜と、幸福を噛み締めながら暫く無言で抱き合っていたが、蓮がちゅッとキョーコの頭のてっぺんにキスしたことで、キョーコがビックリして飛び上がった。

「つ、つつつつつ敦賀さん?!」

「ん?何?」

ここまで笑み崩れた敦賀蓮を誰か目にしたことがあるだろうか?蓮の顔はこれ以上ないくらい崩れ切っていた。

「も、もうっ!!何って顔してるんですか!!」

キョーコは直視するのが恥ずかし過ぎて蓮の顔を見れず、蓮の胸に頭を預けて隠すと、蓮がまた嬉しそうにぎゅうっと抱き締めた。

「嬉しいよ。君が俺の気持ちに答えてくれるなんて…夢見たいだ。」

「そんなっ…それは私のセリフです!!敦賀さんが私なんかのことを好きになってくれるなんて、あり得ないって思ってたから…。」

「本当に俺、今年の運をこれで使い果たしたかも!!」

「敦賀さんったら大袈裟ですよ!!そんなはずないじゃないですか!!」

「いや…俺今この瞬間なら死んでも構わないってくらい幸せだよ。」

「それは私が困ります!!縁起でもないこと言わないでください!」

「はは。ごめん。なんだか舞い上がってるみたいだ。」

「もう…舞い上がってるのは私の方ですよ。」

二人は抱き合ったまま、互いの体温を感じるように抱きしめあう。

そっと蓮の手がキョーコの頬を捉えた。
頬を大きな手に包み込まれたキョーコが顔を上げる。

「キョーコ…って、呼んでもいい?」

ジッと透き通った綺麗な目がキョーコの瞳を覗き込む。

「…は、はい。」

恥ずかしさの中に嬉さを滲ませて答えたキョーコに蓮がそっと顔を寄せて囁く。

「キョーコ…」

「敦賀さ…」

近付く美貌に、見惚れながらもキョーコはそっと目を閉じた。

ちゅっと音がなって一瞬で唇が離れると、二人は余韻を感じるように目を閉じたまま額を合わせ、そしてくすぐったそうにくすくすと笑った。

互いの腕の中にある温もりが幸福をさらに膨れ上がらせる。
無言でも全く苦になることはなく、二人は静かに抱き締めあっていた。
そしてキョーコがいい事思いついた!とばかりに顔を上げた。

「あ!!敦賀さん、私、敦賀さんと一緒に初日の出が見たいです。」

「うん。見よう。今日の朝、一緒に…。」

蓮の優しい笑顔に笑みを零してキョーコはそっと、蓮の背中に手を回して愛を込めて抱き締めた。
蓮がキョーコの頭を抱き込むように大切に抱き締め返すと、キョーコの心に今まで感じたことのない甘い甘い感覚が心臓を締め付ける。

胸がキュンキュンと音を立てる。

「敦賀さん…もう一度…」

小さく囁いたキョーコの声を聞き取れたのはすぐ側にいる蓮だけ。

キョーコの言葉にまたさらに嬉しそうに頷いた蓮の手がそっとキョーコの頬を捉えたのだった。


END



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な、なんとか書けた!!本当はもっと早く書き終わるはずだったのですが、何故か話の方向がずれまくりまして、実はこの話は消して書き直したんですが、その前のが長くなり過ぎて初詣まで発展しそうだったんで慌てて別口から切り込んで書き始めたんです!!
なんとか年始で収まらせることが出来てホッとしました!!

もう少しで、なんで年始からこんな話?!って思われそうな話になってたー!!キョーコちゃんが中々素直にならないから二人の関係が何故か変な方向に向かいそうでしたよー!!(汗)

ハッピーエンドに出来て風月も一安心♪

年末年始で無謀なフリーに挑戦してしまいましたが、楽しんで頂けてれば幸いです☆

散々待たせてなんじゃこりゃ…って思った方がいらっしゃったらすみません~!!

風月…修行が必要ですね!精進します!!