皆さんこんにちは!
今年初の頂き話のご紹介です!!
いつも大好きで、読者を萌え萌えさせられちゃうこのお方♪蓮キョ好きなら知らない人はいないのでは?!と、さえ思っている『SWEET!』の美花さんが、フリー作品を公開してくださったので、頂いちゃいました!!
美花さんのお話は何度読み直しても飽きないくらい大好きです♪
ほんわかキョーコちゃんと、優しくてかっこいい敦賀さんの組み合わせが素敵です!!!!

今回のお話もとってもほっこりしました!!
『SWEET!』の美花さんのお家(ページ)にまだいったことがない!!っていう方がもしも、いらっしゃいましたら、この機会に覗いて見られてはいかがですか?
メロメロキュンキュンなること間違いなし!!ですよー♪

きっと蓮キョが更に好きになります!!

それではお楽しみ下さいませ♪

最後になりましたが、美花さん!持ち帰り許可ありがとうございます~☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


***


「最上さん。今、何をお願いしたの?」

合わせていた手から、顔を上げたところ。

不意にそう声を掛けられて隣を仰ぐと、そこでは同じく手を合わせていた蓮が、今はキョーコを見下ろしてきていた。

彼を掬い見たキョーコは、嗜めるように目線を向ける。

蓮が、こう言う習慣に疎いのは相変わらずのことだ。

「もう、敦賀さんたら。こういう時のお願いごとは、聞かないのがルールなんです。神様と私だけの、秘密なんですからね」

すると、めっと見つめた先で、蓮は綺麗な眉目を小さく寄せる。

「神様との秘密?それは、聞き捨てならないな」

そして唇で笑って見せて、

「俺の前でこんなに堂々と、他所の男と秘密を作るだなんて酷いな。これは、何としてでも聞き出さなくては」

悪戯っぽい瞳で見つめられて、キョーコは白い頬をふわりと染めてしまう。

「な、よ、他所の男って…何を言ってるんですか…!」
「何をって、俺以外の男は神様も含めて全部恋敵だよ。それに、大事な彼女の考えていることを全部知りたいって思うのは、当然のことだよね?」
「…っ…!!」
「で、何をお願いしたのかな。最上さん?」

耳まで赤くなったキョーコを、蓮は楽しそうに見つめてきている。

お付き合いを始めて日の浅い『恋人』に、キョーコはいつも、こんなふうにからかわれ通しなのだ。



元旦の午後、キョーコは蓮に誘われて初詣に来ていた。

と言っても、場所はだるまやの近所のこじんまりとした神社だ。

TVで取り上げられているような名の知れた場所ではない為、参拝する人の数はそう多くはない。
人ごみに押されることも忙しい思いをすることもなく、穏やかなお参りが出来ていた。

1月と言うことでさすがに風が冷たいけれど、晴れた空は澄み切っていて、心地のいい冬の引き締まった空気を作り上げている。

同行者が『敦賀蓮』ということで、人より頭ひとつ高い目立つ姿に目を止められたらと、キョーコは内心気が気ではなかったのだけど…

本人はいたってのんきな様子で、

「これが案外、気付かれないものなんだよ。バスケットとかバレーの選手と間違われることはあるけどね」

帽子に黒のショートコートと細身のパンツと言う、キョーコにしてみれば隠す気がないのではと思うような、いつもの姿で笑っていた。

車で迎えに来てくれた彼は、だるまやの大将と女将さんに丁寧な挨拶をして、着物姿のキョーコを神社まで見事にエスコートしてくれている。

この日のキョーコは、女将さんが成人式に着たと言う、濃い紫の地に、白い牡丹の花が描かれた晴れ着を借りて着ていた。

初詣に行くならと、話を聞いた女将さんが箪笥の奥から出してきてくれたのだ。

『ああ、でもやっぱり、今の晴れ着に比べると随分地味だねえ。ないよりはマシだろうけど、古いものだから…こんなもの出してきちまったけど、嫌なら遠慮しないで言ってくれていいんだよ、キョーコちゃん』

女将さんは心配げにそう言っていたけれど、丁寧に保存された着物は綺麗なままだ。

派手さのない色味も凛とした様子を醸し出していて、お正月の晴の雰囲気に合っているし、自分が少し大人になれた様な気がしてくる。

なによりも、長く大事にされていたものを借して貰えたことが、キョーコにとってはとても嬉しいことだった。

『綺麗だね。よく似合っているよ』

会うなり蓮にそう褒められたことも、ひと際嬉しいことだった。

お正月からいいことばかりで、幸先がいいわと思っていたのだけれど…

「ほら、何をお願いしたの、最上さん。もしかして、教えられないようなこと?」

楽しげな蓮にそう問われて、キョーコは唇を尖らせる。
お正月の初詣で、こんなふうな質問攻めをされるとは思ってもみなかった。

自分よりずっとずっと大人だと思っていた恋人は、最近、本当はそうではなかったことを、少しずつキョーコに教え始めてきている。

困るキョーコを楽しんでいることが分かるから、参道を戻りながら叱る調子でそんな蓮を見る。

「そう言うのは聞いちゃダメなんですってば。他の人に、こういうことをしたらダメですからね」

短い参道の両脇には、露店が店を広げている。

そんな露店の店頭に並べられている商品を、疎らに見ている人々の間を通り抜けていると、隣を歩く蓮がキョーコを見返す。

「最上さんのお願いにしか興味はないよ。君の願いは、俺が全部叶えたい」

…そのくせ、不意打ちでキョーコがどきりと来ることを言ったりするから、蓮は凄く性質が悪いと思う。

子供みたいな素顔の中に、『敦賀蓮』を隠し球みたいに混ぜてくるのだから。

照れ臭い想いを抱いたキョーコは頬を染め、

「っ、そ、それは嬉しいですけど…『一年健康でいられますように』とかだったら、難しいじゃないですか」

赤い顔を見られてからかわれないようにと、急いでそっぽを向く。

すると蓮は、

「なるほど、そうやって言うってことは、願いごとは『健康』じゃないんだね。『健康』以外で、君が願うことはなんだろうな」

そう言って考える素振りを見せて、全て見透かされそうなその台詞に、キョーコは慌ててしまう。

「あ、もう、敦賀さんたら!推理するのもダメですっ」

そうして振り返って見たら、自分が思うよりずっと近くに彼はいて…

瞳を瞬かせたキョーコの目の前で、蓮はふわりと微笑む。

「実は、大体予想はついているんだ。俺の願いと、きっと一緒だと思うから」

そのまま手を取られ引き寄せられる動きと同時に、不意に柔らかな何かが微かに頬に触れる。

…それが何か気が付いて、真っ赤になるキョーコに蓮は間近でにっこりと笑って見せて。

「ほら最上さん、飴細工の店が出てるよ。凄いな、器用だね」

なんでもないことのように違う話題を振りながら、重なった掌を、蓮は大きな手でぎゅっと握り締めた。

「つ、つ、敦賀さんたら…!」

いきなりのことに、慌てふためいたキョーコはますます頬を赤くしてしまう。

蓮の唇が触れた側の頬を掌で隠したいと思っても、そちらの手は蓮の掌の中だ。

長い指先を絡められて、触れ合う互いの指と指の感触が、キョーコの胸をきゅうっと締め付けて…

「…もう…願いごとが一緒かどうかなんて、分からないじゃないですか…敦賀さんの願いごとって、なんだったんですか?」

頬を染めたまま、悪戯が成功した時の子供みたいに笑っている蓮を詰るように見上げたキョーコは、その手を困った顔で握り返した。

キョーコの願いごとを蓮が知るはずがない。
蓮に察知されてしまうようなことは、何ひとつ口にしてはいないのだから。

勿論一緒なら嬉しいけれど、多分きっと、外れているのではないかと思う。

それでも、もしかしてと思う気持ちが心から離れない。

蓮はそんなキョーコを笑って見つめて、

「願いごとの内容を聞くのは、ルール違反なんだろう?」

着物の上に羽織っていたショールを合わせてくれながら、そっと瞳を細めた。

その楽しげな表情に、自分の台詞を返されたキョーコは頬を膨らます。

「敦賀さん、それずるいです!私にあんなに聞いておいて、自分は言わないなんて」
「ずるくないよ。最上さんだって、俺に教えてはくれていないだろう?」

確かにその通りだ。

けれど、納得のいかないキョーコは、

「そうですけど…私の顔を見て、何か分かったんじゃないですか?敦賀さんもこっちを向いて下さい」

下から蓮の顔を覗き見る。

彼はますます笑みを深め、

「はいはい、よおく見て、俺の願いを当ててみて」

そう言って、長身を屈め顔を近付けてくる蓮のその美貌をまじまじと見つめたけれど、勿論、何かが分かるわけではなかった。

本当に蓮が言うみたいに、お互いの願いごとが重なっているのだろうか?

『敦賀さんとずっと一緒にいられますように』

キョーコの願いはひとつだ。

仕事運も健康運も、結局は自分次第だと思う。

神様にお願いしたくなるようなことと言えば、自分の頑張りが追いつきようのないこの願いに限る。

12月の始めに蓮から告白を受けた時、これは夢なのではないかと思った。
その気持ちは年の明けた今も、そのまま続いているのだ。

「…ねえ敦賀さん。ちょっとだけでいいですから、教えて下さい」

強請るように見つめると、蓮が瞳を細める。

…それはまるで、本当に愛しいものを見つめるような仕草で。

「もう少し、考えてみて?いくらでも俺を見つめていいから、ね」

促すように手を引かれて、キョーコも瞳を細めた。

特別なことを自分だけが許されているようで、幸せだった。
『敦賀蓮』を見つめていていい許可を貰えるなんて、まずありえないことだ。

「じゃあ…ずーっと見ていて、いいんですか?」
「ん、君が飽きたら、今度は俺が代わりに君を見ているよ」
「ええ?それじゃ、目的がおかしな感じになっちゃうじゃないですか」
「そうなれば、俺の願いにも重なるから…結果的には、問題ないんじゃないかな」

あら…

敦賀さんの願いごとに、私も関係している?

それって、もしかして。

そう思って蓮を上目遣いで見上げると、穏やかな眼差しを向けられるのと共に、絡んだ指先をぎゅっと握り締められた。

肯定するようなそんな行為に、キョーコの心がふわふわと浮き立つ心地になる。

…願う気持ちは、同じなんだ。

それが分かって、自然と唇の笑みが深まっていく。

お互いの気持ちが重なることは、酷くくすぐったくて、嬉しい気持ちになることだった。
甘やかな感覚が、ゆっくりと心の中で広がって行く。

繋いだ手からは、幸せなぬくもりが伝わってくる。


「最上さん、帰りに何か温かいものでも飲んでいこうか」
「はい、敦賀さん。あ、今夜のお夕飯はだるまやで食べて行って下さいね。大将が腕を振るうって、仰ってくれていました」
「うん、ありがとう。お世話になるからには、何か手土産を用意したほうがいいね。何がいいかな?」
「すみません、ありがとうございます。ええと、そうですねえ…」


そんな会話を交わしながら、蓮とキョーコが手を繋いだまま仲良く参道を降りていく様子を、境内の寒梅が見下ろしてきていた。

咲き綻び始めている蕾が、新春の訪れを告げているようだった。



*END*


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